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遺留分とは何か[POSTED]:2017-10-24

1 遺留分とは何か遺留分とは何か

遺留分とは被相続人が遺言により自由に処分できない財産で、被相続人が相続人に対して最低限残さなくてはいけない遺産の部分です。被相続人が遺言により全財産を全く自由に処分できるとすると、相続人の間に著しい不公平が生じたり、一部の相続人が経済的な基盤を失ったりするので、この弊害を防ぐものです。

遺留分があるのは、被相続人のうち、兄弟姉妹以外の相続人です。各相続人の遺留分は、配偶者と子の場合は配偶者が4分の1、子が4分の1、子のみの場合は2分の1、配偶者と直系尊属の場合は配偶者が3分の1、直系尊属が6分の1、直系尊属のみの場合は3分の1、配偶者のみの場合は2分の1、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者が2分の1です。

遺留分権者の受けた相続財産が遺留分に満たない場合は遺留分を侵害されたことになります。遺留分を侵害された者は遺留分減殺請求権を行使して遺留分を取り戻します。遺留分を侵害された相続人は、ただ放っておくだけでは侵害された遺留分を取り戻せません。

遺留分の侵害する遺言や贈与も当然に無効ではなく、遺留分減殺請求をして初めて減殺されます。遺留分減殺請求権は相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ってから1年以内に行使しなければなりません。遺留分を侵害されたと思っても、遺留分を侵害されていると思った場合は、ひとまず減殺請求の意思表示をしておいて正確な額はその後に明らかにする方法もあります。

生前に推定相続人が相続の放棄をする場合がありますが、生前の相続の放棄は法律上、無効です。このような場合、遺言書を作成して、さらに家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄を利用する方法があります。

2 遺留分減殺請求の対象と範囲遺留分とは何か

遺留分減殺請求の対象となる処分行為は遺贈と贈与ですが、贈与は遺贈を減殺した後でないと減殺できません。遺贈には包括遺贈特定遺贈とがありますが、いずれも遺留分減殺請求の対象になります。遺言による相続財産の処分はほかにも、相続分の指定、遺産分割方法の指定がありますが、これらも減殺の対象になります。

贈与が減殺の対象となる場合は、遺贈と異なりその時期が問題になります。相続開始1年以内の贈与は、これが遺留分を侵害する限りすべて減殺の対象になるのに対し、相続開始1年以上前の贈与は、贈与の当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした場合にのみ減殺の対象になります。

遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした場合というのは、遺留分権利者に損害が加わる事実を認識していればよく、遺留分権利者に損害を加えることを積極的に意図している必要はありません。贈与の当時は損害が生ずる状況だったとしてもその後に財産が増加することが予想されていたときは、遺留分権利者に損害を加えることの認識がなかったものとされます。

この1年というのは贈与契約自体が1年以内になされたことをいいます。契約が1年以上前に締結されて履行が1年以内であった場合は該当しません。減殺すべき遺贈が複数ある場合には、全部の遺贈についてその価格の割合に応じて減殺し、特定の遺贈を選択して減殺することはできません。

もっとも、遺言により減殺の順序を決めた場合にはこれに従います。減殺すべき贈与が複数ある場合は、もっとも新しい贈与から減殺します。

3 遺留分の算定方法遺留分とは何か

遺留分は、被相続人の兄弟姉妹にはありません。そのほかの法定相続人についての遺留分額については、被相続人の配偶者または子が相続人になる場合は2分の1、被相続人の直系尊属のみが相続人になる場合は3分の1と民法がそれぞれ定めています。

遺留分算定の基礎となる財産の額にこの遺留分の割合をかけた額が遺留分です。遺言により遺留分が侵害されているかどうかは、遺言を前提として取得される財産の額と遺留分の額とを比較することにより判断されます。

遺留分算定の基礎となる財産は、相続開始時に存在する財産に被相続人が相続開始1年以内に贈与した財産を加え、これらから相続債務を引いたものです。被相続人が贈与した財産を加えることを持ち戻しといいますが、持ち戻しをするのはそうしなければすべての財産を贈与した場合に遺留分がなくなってしまうからです。

贈与は相続開始から1年以内のもののみを加え、それ以前の贈与は、贈与の当事者双方が遺留分権利者に侵害を加えることを知って贈与した場合のみ持ち戻します。相続人の特別受益も遺留分算定の基礎となる財産に加えます。

4 遺留分減殺請求権の請求方法遺留分とは何か

遺留分減殺請求を行うと、その効果として遺言によって生じた財産の処分が遺留分の限度で効果を失い、遺留分権利者の財産として取り戻すことができます。遺留分減殺請求権は遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内に、また相続開始のときから10年以内に行使しなければなりません。侵害をされたことを知ってからの1年間は時効期間で中断事由があれば中断しますが、10年間は除斥期間で中断することはありません。

遺留分減殺請求は侵害している相手に対して主張します。主張の順番はまず遺贈、次に贈与の順番で、贈与の中でも直近の贈与から順番に減殺請求をします。書面がなくても口頭の意思表示が到達すれば有効ですが、内容証明や裁判手続きの中で明確にすべきです。

内容証明郵便には、遺留分減殺請求の対象となる処分行為を特定し、減殺すべき遺留分の金額や割合を表示します。訴訟で遺留分減殺請求の意思表示は訴訟の場において行うこともできます。

調停の申し立てでの遺留分減殺請求が可能かについては、調停申立書が相手方に送達されないために、相手方に対して行う必要のある遺留分減殺請求の意思表示がなされたとはいえません。調停の場で当事者間で意思表示がなされた場合にはこれを調書に記載するなどして証拠化する必要があります。別途、内容証明郵便により意思表示をしておくべきです。

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行わないときは時効で消滅します。

5 遺留分減殺請求権行使の効果遺留分とは何か

遺留分減殺請求権を行使すると、遺留分を侵害する遺贈および贈与の効力は遺留分を侵害する限度において消滅し、受遺者または受贈者が取得した権利はこの限度で当然に遺留分権利者に復帰します。この結果、遺留分減殺請求の対象財産は受遺者または受贈者と遺留分権利者の共有になります。

そこでこのような共有状態を解消する方法ですが、共同相続人間で遺留分減殺請求がなされたとき、遺産分割手続きで行うのか、共有物分割の手続で行うのかが問題になります。判例は、遺留分減殺請求権が個人的・個別的な権利であることなどから、共有物分割の手続によって行うべきとしています。遺留分減殺の調停申し立てをして話し合う方法もあります。

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