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遺産相続がトラブルになる理由[POSTED]:2017-10-26

1 一人ぼっちと二人きり遺産相続がトラブルになる理由

遺言や生前贈与の検討の余地があります。相続争いを招きやすく、血縁関係がないもの同士での争いに発展する可能性もあります。

65歳以上の高齢者が1人でもいる世帯についてみると、平成18(2006)年現在、1,829万世帯で、全世帯(4,753万世帯)の38.5%を占めています。このうち「単独世帯」が410万世帯(22.4%)、「夫婦のみの世帯」が540万世帯(29.5%)、「親と未婚の子のみの世帯」が294万世帯(16.1%)、「三世代世帯」が375万世帯(20.5%)となっており、高齢者が1人でもいる世帯のうち高齢者単独世帯と夫婦のみの世帯で過半数に達します。

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65歳以上の高齢者の子供との同居率は、1980年にほぼ7割でしたが1999年には50%を割り、2006年には43.9%と、大幅に低下しています。反面、一人暮らし又は夫婦のみの世帯については、ともに大幅に増加しており、1980年には合わせて3割弱であったものが2004年には過半数を超え、2006年には52.2%まで上昇しています。

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高齢者が単身である場合、相続人がいない場合は財産が国庫に帰属してしまいます。たとえ個人的に信頼関係を築いている方がいても、遺言を残すことや生前贈与をするなどの方策をとっておかなければ、原則として、自分の財産を死後に託すことはできません。

高齢者の夫婦のみの世帯では、子供などの相続人と同居していないことから生じる相続人間の争いが生じやすい傾向があります。相続争いは、相続人間の価値観や考え方の相違が大きければ大きいほど複雑化します。高齢者夫婦だけで生活していると、相続人とのコミュニケーションがとれずに、生存配偶者の面倒をみる相続人が決まっていないために遺産分割でも配分に差が付けづらいなどの問題があります。

子供がいない夫婦の場合、血が通っていない者同士で相続問題を争うことがあります。たとえば配偶者の親がすでに亡くなっている場合には、配偶者の残した遺産を義理の兄弟と争う可能性もあります。やはり子供がおらず両親が健在の場合、配偶者が亡くなると配偶者の両親とともに相続人になります。義理の親子とはいえもともとは赤の他人ですし、結婚に反対していた場合などもあるでしょう。妻が夫名義の家に住んでいて夫がなくなると、相続分にそって不動産を共有にすることにもなりかねません。この後に義理の親が亡くなると、義理の親を相続した義理の兄弟と争う可能性もあります。法定相続人の配偶者が旗振り役に回るケースもあります。2世帯住宅に住んでいた場合は、もっとややこしい問題になります。

2 遠くの家族より近くの他人遺産相続がトラブルになる理由

遺言や生前贈与、養子縁組の検討の余地があります。

子供がいても子供と同居しておらず、連絡も頻繁にはしない高齢者も多いようです。 60歳以上の高齢者の別居している子との電話連絡を含む接触頻度についてみると、「週1回以上」(「ほとんど毎日」、「週に1回以上」の割合の合計)が46.8%(アメリカで約8割、韓国、ドイツ、フランスでは6割~7割と)であるのに対し、「月に1~2回以下」(「月に1~2回」、「年に数回」、「ほとんどない」の合計)は53.2%となっています。

子供や孫との付き合い方についての考え方も、密度の薄い付き合い方でよいと考える高齢者が増えているようです。60歳以上の高齢者の意識をみると、平成17(2005)年度において「いつも一緒に生活できるのがよい」が34.8%と低下傾向で、増加傾向にある「ときどき会って食事や会話をするのがよい」の42.9%に逆転されています。「たまに会話する程度でよい」の割合は14.7%と、5年間で2倍強になっています。

家族のきずなが希薄化する中で、子供同士でもコミュニケーションが取れていないことも考えられます。子供の数が複数でお互いに仲が悪かったり、所得格差があったり、親と同居している子供と別居していない子供がそれぞれいると、遺産分割の条件面で相続争いになる可能性があります。

子供との接触が減る一方で、高齢者にとって心の支えになっている人の割合をみると、下図のように、子の配偶者あるいはパートナーやその他の家族・親族、親しい友人や知人を挙げる割合が合わせて31.3%になっています。法定推定相続人以外を心の支えにしている高齢者も一定数存在しているように思えます。

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これらのことから、高齢者が法定相続人以外への遺言や生前贈与、養子縁組を考えるケースも増えてきていると考えられます。遺留分をもつ配偶者や子、直系尊属、代襲相続人の推定相続人に対して相続させないように廃除を考える高齢者もいるかもしれません。
これらの動きをけん制する法定相続人も当然にいるでしょう。

3 二回目はこわい遺産相続がトラブルになる理由

二回目の相続は争いを招きかねません。

65歳以上の高齢者の配偶関係についてみると、2005年における有配偶率は、男性81.8%に対し、女性は47.1%となっています。女性高齢者の約半数は配偶者がいない状態です。配偶者と死別した割合は女性が男性の4倍になっています。未婚率と離別率は共に上昇傾向となっています。

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一般的なパターンとして、夫婦の一方が亡くなって他方配偶者が相続人の1人となる1回目の相続が起こり、やがて他方配偶者も亡くなって2回目の相続が起きます。配偶者が亡くなった後の生存配偶者を被相続人とする2次相続は、配偶者が亡くなったあとも生存配偶者が相続人の1人となる1次相続に比べて相続人間の争いが表面化しやすいといわれています。

なぜ2次相続が相続人間の争いを招きやすいかというと、1次相続時は生存配偶者がいるために相続人が生存配偶者に対して遠慮をして、財産をめぐっての露骨な争いをさけるからともいわれています。2次相続時には血縁者の対立に加えて、血縁者の配偶者までもが自分たちの主張を積極的にすることによって争いが長期化・複雑化する傾向があります。

4 熟年結婚遺産相続がトラブルになる理由

相続人が多数に上ることもあり、相続争いを招きかねません。養子縁組の必要性もありえます。そもそも相続人であるかどうかも問題になりえます。

離別率の上昇は、熟年結婚の増加につながっているようです。2007年の60歳以上の再婚は男性が7,979件、女性が3,476件で、再婚件数全体のそれぞれ7.6%、3.8%ですが、1990年に比べて男性で2.5倍以上、女性で3.6倍以上になっています。

熟年結婚は多くの場合、再婚になることもあります。熟年で再婚した場合は前の配偶者との間に子供がいて、子供が再婚に反対している場合もあります。この感情的なしこりが相続争いに発展すると、相続人である再婚相手と自分の前妻との間の子で、相続争いが起きる可能性もあります。再婚相手に連れ子がいると、自分の前妻との間の子供に妻の連れ子と、登場人物は増えてさらに問題も増えかねません。前妻は離婚により推定相続人ではなくなりますが、前妻との間の子は依然として自分の推定相続人です。


ところが、再婚相手の連れ子とは当然に親子関係が生じるわけではなく、当然に推定相続人になるわけではありません。前妻が親権を獲得して離婚の感情のもつれを引きずり前妻との間の子とはコミュニケーションがとれずに、再婚相手や再婚相手の連れ子との生活が中心になっている場合も多いと思います。再婚相手の連れ子との距離のほうが、前妻との間の子との距離よりも近い場合でも、自分が死んで相続が始まると、自分と同居している再婚相手の連れ子には財産が渡りません。再婚相手の連れ子を推定相続人にするには、養子縁組の手続きが必要です。養子縁組によって養子は嫡出子と同じ身分になるので、配偶者との間の子と同じ法定相続分を確保できるのです。離婚を繰り返してそのたびに子供がいるケースは、普段からのコミュニケーションが取れていない相続人が多数に上るために、さらに問題が起きやすいでしょう。


再婚の場合はそのほか、相続人であるかどうかが争われることがあります。婚姻や養子縁組の無効、子の否認、認知の要求、寄与分や遺留分の主張、遺言の成立や効力のそのものの争いなどの問題が発生することもあります

5 介護遺産相続がトラブルになる理由

寄与分の問題が出てきます。遺言や生前贈与の検討の余地があります。

介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された要介護者等のうち、65歳以上の者の数についてみると、2006年度末で425.1万人と、この5年間で137.4万人増加しており、高齢者人口の16.0%を占めています。いざというときに備えて、かかりつけの医師についての情報、延命治療や病名告知、介護施設入所についての要望、施設入所後の自宅の処分などについて、周囲に明確にしておく必要性があります。

要介護者等からみた主な介護者の続柄及び同別居の状況(2004年)

要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、約3分の2は同居している者が主な介護者で、妻が16.5%、息子の妻が19.9%、娘が11.2%と49.5%と女性が主な介護者のほぼ半数を占めています。

同居の家族等介護者の男女別内訳 (単位:%)
配偶者男(夫) 8.2 女(妻) 16.5
男(息子)7.6 女(娘) 11.2
子の配偶者男(娘の夫) 0.4 女(息子の妻)19.9
その他の親族0.4 1.9
合 計16.6 49.5

介護を要する高齢者が増えている中で、女性が介護現場で活躍していることがわかります。
兄弟姉妹のなかで1人だけ独身者がいると、その者が面倒をみることもあります。本来は介護をした者がたくさんもらうことになってしかるべきものの、介護に要した被介護者のお金をめぐって相続人間でもめる場合もあります。本来は介護に尽力した相続人が寄与分をもらうはずであるにもかかわらず、被相続人の財産を使い込んだとして特別受益の主張までされる場合もありえます。介護などの被相続人のために使ったお金は、使い道について記録を残しておくべきです。


嫁に介護を頼っている高齢者も一定数いますが、嫁は相続人ではありません。寡婦である長男の嫁が献身的に元夫の親を介護するケースもよくある話です。死んでいる夫は相続できませんし、妻は夫を代襲相続することはできません。たとえ財産を死んだ後に残す口約束があっても、死因贈与契約の立証は難しいものがあります。相続人でない者が介護を続けているので、被相続人に相続人がいなければ特別縁故者として家庭裁判所に申し立てることもできます。しかし特別縁故者はあくまで相続人がいない場合の規定なので、相続人がいた場合、特別縁故者として優先権を主張できることはありません。寄与分の主張は共同相続人中にという制限があります。相続人以外の者は遺言を残してもらうか、生前贈与をしてもらう、不当利得や固有財産の範囲の認定、遺産分割の「一切の事情」として考慮されるなどの救済が考えられます。


介護をしてくれている法定相続人以外の者に対しては、遺言と生前贈与などを検討する高齢者も増えることでしょう。しかし病院に入院された方が危篤状態でギリギリのタイミングで遺言を残そうとしたが間に合わなかった、という話は多く聞きます。病状が急変してしまうと、機会を逃してしまうのです。


事業者に介護を任せる要介護者も一定数存在します。管理能力を失った高齢者が自分で入所費用を負担するにあたっては遺産の生前管理として扱い、親族が負担すれば後に分担金と処理することになりますので、老人ホームの入所に要した費用はある程度細かく記録に残しておく必要があります。各推定相続人の意見の要旨、費用の明細、出所などを記録し、銀行の通帳などの資料は保存します。

6 不動産遺産相続がトラブルになる理由

分割が難しく、不動産以外に現金がない場合は相続争いを招きかねません。不動産の相続人間での共有は避けるべきです。

60歳以上の高齢者の住環境についてみると、居住年数が31年以上のもの(「生まれた時から」を含む)が59.0%と6割近くを占めています。住み慣れた家にはずっと住み続けたいと考える高年者は多いようで、身体が虚弱化したときに望む居住環境は「現在の住宅にそのまま住み続けたい」が37.9%、「現在の住宅を改造し住みやすくする」が24.9%となっており、現在の住宅に住むことを希望している者は、62.8%と半数以上を占めています。

高齢者の多くは現在の住居に住み続けることを希望していることから、1次相続では不動産を分割しない方向で遺産分割を進める必要も出てきます。日本の相続財産の半数以上が不動産であることから、法定相続分とおりに分割することは難しい事情があります。また不動産は大部分の相続の場面で、大きな価値を占めるので、1次相続において不満の残る相続人が出た場合に、代償分割や遺産分割協議において親の世話を条件として特定の相続人に不動産を集中して分割するなどの方法で対応する必要があります。

マイホームを所有している場合に、残された配偶者が自宅にそのまま住み続けたいと思った場合に、売却して分配するわけにはいきません。ところが相続人が相続分を主張してきたときに、不動産が相続財産の大部分を占めていると分割がしにくいのです。不動産以外に財産がない場合は、現金がないので代償分割もできません。

もっとも分割しにくいからといって、不動産の共有は避けるべきです。全体に抵当権を設定したり売却したりするには、共有者全員の合意が必要になります。自分の持分だけを売却することは可能ですが、他人との共有不動産の持分を購入する者はまずいないため、売却しにくい不動産になります。共有持分を第三者に売却してしまうと、ほかの共有者に法外な賃料を請求したり高く売りつけたり、他の共有者にたかることによって安く持分を購入したりする輩が出現する危険もあります。共有持分は次の相続で話が複雑になり、人間関係は希薄化するのに対して共有者の数は増えることになります。

7 虐待遺産相続がトラブルになる理由

廃除の問題が出てきます。

家庭内で虐待を受けている高齢者(65歳以上)についてみると、女性が8割近くを占め、年齢階級別では75歳以上の後期高齢者が約9割となっています。
虐待の加害者は、「息子」が38.5%と最も多く、次いで、「配偶者」19.8%(「夫」14.7%、「妻」5.1%)、「娘」14.5%、「息子の配偶者(嫁)」10.7%となっています。

特定の推定相続人に相続させたくないと思った場合、遺贈や寄付の遺言を書くという方法があります。もっとも兄弟姉妹や甥姪以外の遺留分がある相続人に対しては、遺留分までをも奪ってしまうことは原則としてできません。養子をとるというのも一策です。

もしも遺留分すら残したくないというのであれば廃除の方法があります。虐待を受けている高齢者は被相続人として、廃除を申し立てることができます。生前に申し立てることも遺言で廃除をすることもできます。遺言で廃除を求めるには、遺言執行者をつけ、廃除の理由である暴行・侮辱・非行を受けた事実を詳しく時系列で書き出すなどの証拠を遺言執行者に託します。廃除の事由には、相続人に対する著しい虐待、被相続人に対する重大な侮辱、推定相続人の著しい非行の3つの事由があります。具体的には、財産を処分された、ギャンブルなどでつくった多額の借金を支払わされた、犯罪・浪費・異性問題などで苦しめられたなどです。廃除の対象は遺留分をもつ配偶者、子、直系尊属、代襲相続人で、遺留分のない兄弟姉妹と甥・姪は廃除の対象になりません。実際に排除されるかどうかは、裁判所が推定相続人と被相続人との間の信頼関係が破壊されたと評価できるかどうかによって、判断しています。裁判所は廃除を認めるにあたって、慎重に判断する傾向があり、廃除が認められる割合は低くなっています。それでも廃除を求めたい場合は、虐待を受けていることを証拠に残す努力をする必要があります。

なお相続はいったん開始すれば決定するものであり、相続開始後の後の事情は相続の効力には影響を与えません。法事に顔を出さなくても相続権を失うことはありません。

8 成年後見遺産相続がトラブルになる理由

成年後見の検討の余地もあり、相続に絡んで婚姻の有効性も問題になります。

全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成12(2000)年度の43,336件から18(2006)年度は134,735件に増加し、相談全体の12%を占めています。寄せられた相談について販売方法・手口をみると、家庭訪販が13.7%、次いで電話勧誘が5.9%と、高齢者が自宅にいることが多いことを狙った手法が横行しているようです。

高齢者はある程度の資産を持っており、これを狙う不届き者が絶えないようです。 判断力がない高齢者の財産を管理する方法としては、成年後見の制度などを利用することが考えられます。申し立ては判断能力が不十分である「補助」、判断能力が特に不十分である「保佐」、判断力が全くない「後見」の3段階に分かれます。申し立ては配偶者か4親等までの親族などが家庭裁判所で行います。書類提出をして面接による事情説明を受け、医師の診断書を提出か精神鑑定をすることになります。審議を経て審判が下るのが約3カ月後です。

婚姻届に強引に署名をさせて勝手に婚姻届を提出するなど、老人の寂しさに付け込み、財産目当てで結婚をさせられるケースもあるようです。結婚は身分行為なので後見の対象にはならず、成年後見人がついていても被後見人単独で婚姻できます。婚姻には実質的に社会観念上夫婦であると認められる関係をつくる意思が要求されるので、単に婚姻届出を出す意思があっただけでは足りません。実務上は、遺産分割の調停や審判の中で婚姻が無効であるとの主張がなされると、家庭裁判所は調停や審判を当事者に取り下げさせ、婚姻無効の訴えによる決着をみてから再度、調停などを申し立てさせます。相続人としては、寄与分や遺留分などで対抗するか、真意に基づかない婚姻として婚姻無効の訴えを提起することも考えられます。

9 創業世代の引退遺産相続がトラブルになる理由

事業承継の問題です。孫への贈与や孫を養子にすることも検討の余地があります。

戦後の高度成長期に大量に創業した世代が、引退期を迎えているようです。1999年から2001年までの総務省のデータによると、事業承継を理由として廃業する会社企業は毎年7万社にも及び、個人企業を含めると廃業件数は毎年22万件以上に及びます。事業承継税制は優良会社であるほど株式の時価評価額が高くなり、納付すべき相続税も膨らむという問題点がありました。
また会社は分割すると意味がなくなってしまうので、特定の相続人に対してのみ相続させる必要があり、後継者以外の相続人に対する手当てが問題になります。農家や店舗など、分割すると営業が成り立たない場合、ほかに財産がなければ代償分割で対応することになります。


代償金の金額を決めるには不動産などの遺産の価値評価をしますが、不動産鑑定士が相場よりも安く評価をした場合には評価額をめぐって争いが起きるようです。代償分割ではなく遺産を共有として各自の持分を決めておき、家業を続ける相続人が賃料を支払うという方法もあります。分割協議書を作成して相続する相続人以外が現存の資産の相続分を放棄する方法もあります。


特定の不動産について相続分皆無証明書を作成して相続する相続人だけの相続登記の手続きをすることが考えられます。後者の方法によった場合で遺産に債務が含まれていた場合は家業を継ぐ相続人以外の者も債務者になります。債権者は相続人同士での分割協議に拘束されないからです。相続分の譲渡は譲渡する側に譲渡所得税がかかりますので、譲渡所得税の負担方法を必ず書面で残すべきです(もっともそのような書面は税務署を拘束できません。)。贈与を受けた場合には、贈与を受けた側に贈与税がかかります。


中小企業の相続では、会社を経営している孫への株式や財産の贈与や遺贈も考えられます。孫は代襲相続の場合以外は相続人になりませんが、孫を養子にすることで相続人にできます。これは相続税対策としても有効で、相続財産から1人当たり1,000万円が控除できます(ただし実子がいる場合は1人、いない場合は2人までしか法定相続人になれません。)。
事業承継に関しては新法制が整備されて、これからの実務の運用が注目されます。

10 遺言を残すべきケース遺産相続がトラブルになる理由

類型的に相続人間で争いになることが多いケースでは、遺言を残すべきです。次のようなケースなどは争いになる可能性が類型的に高いといわれます。

兄弟姉妹の仲が悪い場合

特に被相続人と一緒に暮らしていた長男(もしくはその嫁)と他の兄弟姉妹との仲が悪いときは相続争いが起こることが多いようです。

経済的に苦しい相続人がいる場合

経済的に苦しい相続人は、相続において多くの相続分を要求することが多いようです。

先妻、後妻ともに子がいる場合

先妻は相続人になりませんが、先妻との間にできた子は当然に相続人になります。後妻の子との仲がよくないのが普通ですので、争いになることは少なくありません。

内縁の妻やその子がいるとき

内縁の妻が相続人になることはありませんが、その間の子を認知している場合は、嫡出子の半分の相続分がありますので、法定相続分を要求してくる可能性があります。

自宅等以外に分ける財産がない場合

財産が自宅以外にない場合は、自宅を売却してその代金を分けるしかないということも考えられます。残された配偶者が住む家に困るということにもなりかねません。

自営業者や農家である場合

財産が分散してしますと家業の継続ができなくなります。

面倒を見てくれた嫁がいるとき

息子の嫁は相続人にはなれませんので、財産を相続することはできません。しかし年寄りの面倒をみるのは実の子よりも嫁であるケースが少なくありませんので、こんなときは遺言で嫁に財産を残してあげましょう

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