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遺産相続 法律用語集『さ行』[POSTED]:2017-08-22

さ行 相続用語一覧

祭具さいぐ

一般には祭りに使われる道具を指しますが、相続法上は、位牌、仏壇などのことです。祭具などは、相続財産の中に含みません。祭祀主宰者とされた者が権利を放棄したり、辞退したりすることはできませんが、祭祀を行う義務を課されるわけではなく、承継した後の祭具などの処分も自由です。系譜、祭具、墳墓の所有権に関するいわゆる祭祀の承継は、民法旧規定では家督相続と一体をなしましたが、現行民法では相続財産から除去され被相続人の指定、慣習、家庭裁判所の指定の順に従って承継がなされます。

財産分離ざいさん-ぶんり

相続の開始によって相続財産と相続人の固有の財産が混同することを防止するために、相続開始後に相続債権者もしくは受遺者または相続人の債権者からの家庭裁判所への請求によって相続財産を特別財産として管理・清算する手続きのことです。

第一種財産分離 →第二種財産分離

財産分与ざいさん-ぶんよ

離婚の場合に、当事者の一方が他方に財産を分与することです。離婚に際して、一方が他方に財産の給付を請求でき内容は当事者の協議によって定めるが、協議が整わないときは家庭裁判所が定めます。離婚の最中に配偶者が亡くなった場合には、財産分与請求権の相続の問題が起こります。離婚した母が死亡した場合、相続人は財産分与請求ができるかどうかですが、財産分与は、離婚が成立した後に相続権を失う反面として夫婦が共同で形成した財産の清算を目的として、離婚後2年間について請求することが認められる権利です。離婚後に請求をしないまま死亡した場合や、財産分与請求を請求している間に離婚に至る前に死亡した場合は、相続の対象にはなりません。

離婚後に財産分与をめぐって交渉中の元夫婦の一方が死亡し、財産分与請求権が具体的な権利として確定していない場合は、相続人が財産分与請求権を相続すると考えられています。財産分与請求権は清算のほかに扶養や慰謝料としての意味合いがあるのですが、この点は特に区別されていない以上、全体として相続されます。もっとも財産分与請求権は離婚後2年以内に行使する必要があるので、注意が必要です。

財産目録(相続財産目録)ざいさん-もくろく

被相続人の相続財産を記載した一覧表のことで、被相続人が遺言書とともに財産目録を残さなければ、相続人が遺産を調査して相続財産目録を作成する必要があります。相続財産目録が無ければ、遺産の額を相続人全員が把握できずに遺産分割の話し合いができませんので、できるだけ早く作成する必要があります。積極財産だけでなく消極財産も記載します。

相続税の申告が必要な場合、申告書には相続財産目録を添付する必要もあります。限定承認を行う際も熟慮期間内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出します。

祭祀財産さいし-ざいさん

家系図、祭具(位牌、仏壇など)及び墓地(墓碑を含む)のように祖先の祭りのために使用される用具です。民法は祭祀財産を一般の相続財産から切り離し、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するとしています。

祭祀承継者は祭祀財産を承継したことを理由に自分の相続分を減らされることはありません。

祭祀継承者さいし-けいしょうしゃ

系譜や祭具、墳墓は、その性質上共同相続や遺産分割に適さないため被相続人の相続財産とは区別され、通常の相続と異なる方法で承継されます。被相続人が祭祀主宰者を指定していれば、この指定が優先しますが、指定がなくまた定まらないときは家庭裁判所が承継者を定めます。祭祀主宰者とされた者は権利を放棄したり、辞退したりすることはできません。

しかし祭祀を行う義務を課されるわけではなく、承継した後の祭具などの処分も自由です。

再代襲相続さいだいしゅう-そうぞく

代襲者である孫も亡くなっている場合に、孫の子すなわち曾孫が代襲することを再代襲相続といいます。曾孫以下についても同様です。兄弟姉妹が相続する場合には再代襲は認められず、甥や姪の子が代襲することはありません。

従前は兄弟姉妹の場合再代襲が認められていましたが、血のつながりの薄いいわゆる「笑う相続人」を出さないために昭和55年に改正され、認められないことになりました。

笑う相続人

再転相続人さいてん-そうぞくにん

相続人が相続の承認も放棄もしないで死亡したため、第2の相続が開始することです。

第2の相続人は、第2の相続の承認・放棄をすることができますが、第1の相続の承認・放棄の権利も相続によって承継します。

死因贈与しいん-ぞうよ

贈与者が死亡することによって効力を生ずる一種の停止条件付贈与です。遺贈が単独行為であるに対し、死因贈与は契約です。死後における財産の処分を目的とする点が遺贈と類似するので、民法の遺贈の効力に関する規定が準用されます。

遺贈

死後認知しご-にんち

結婚していない男女間に生まれた子を父が認知しないまま死亡した場合に、法的な父子関係を成立させるための認知です。父の死亡の日から3年の間に提訴できます。

凍結精子児の死後認知訴訟では、父母が正式に結婚していたものの、嫡出子(結婚した男女の子)の届け出が不受理となったため、母が法定代理人として提訴しました。相手方となる父が死亡しているため、検察官が公益の代表者として被告となって訴訟が進められます。

事実婚じじつこん

社会の慣習上婚姻と認められる事実関係のことで、わが民法は戸籍上の届出を婚姻の成立の要件としており法律婚主義をとっています。

内縁の配偶者

事実上の相続放棄じじつじょうの-そうぞくほうき

特定の相続人に相続財産を集中させるために、1人の相続人を除く他の相続人がすでに被相続人から充分な特別受益を受けているとし、自分の受益はゼロであるという証明書(相続分皆無証明書)を作成することで行うことをいいます。

不動産を相続し登記する場合も、1人の相続人が遺産のほとんどを取り、他は名目的な財産を取ることを内容とする遺産分割協議書を作成し、証明書を添付することで相続登記を行うことができます。事実上の相続放棄は家庭裁判所の審判が不要で手続きが簡便です。相続放棄の熟慮期間を経過してからも利用できます。

事実上は相続放棄と同じ結果をもたらしますので、実務上、法律上の相続放棄よりも事実上の相続放棄のほうが多いようです。もっとも相続人全員の合意に基づく必要があり、相続放棄と異なり相続財産中の消極債務は免れられませんので注意しましょう。

事実上の養子じじつじょうの-ようし

養子縁組の届出はしていないが、養親子としての共同生活が行われている関係のことです。相続権はありませんが、特別縁故者にはなりえます。

実子じっし

親との間に血縁関係がある子で、養子に対して実子といいます。

実子のうち婚姻関係にある男女の子を嫡出子といい、婚姻関係にない男女の子を非嫡出子といいます。後者は父の認知によって父子関係が成立します。

実子と養子の相続分は変わりませんが、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1です。

失踪宣告しっそう-せんこく

生死不明の不存在者については、一定期間が経過した場合に、利害関係人の請求により家庭裁判所による失踪宣告がされます。失踪宣告によって不存在者は死亡したものとみなされます。この結果、配偶者関係も終了し、相続が開始することになります。失踪者の生存や別の時点での死亡が証明された場合は、家庭裁判所は当該宣告を取り消さなければなりません。

遺産分割後に失踪者の生存が明らかになった場合などで失踪宣告が取り消された場合は、これにより失踪宣告はなかったものとされ、婚姻は解消せず、失踪宣告を起点に相続財産や保険金などを得た者は現存利益の限度を返却しなくてはいけなくなります。失踪宣告後その取消し前までに「善意」でなした行為は効力を妨げられません。

指定相続分してい-そうぞくぶん

被相続人が相続分を指定するときは遺言によらねばならず、これは第三者に委託する場合も同様です。相続分の指定は、遺留分に関する規定に違反することができません。

遺留分に反する相続分の指定も当然に無効というわけではなく、遺留分を侵害された者からの請求により減殺されるにすぎません。指定相続分が遺留分を侵害する場合は遺留分を侵害された相続人は減殺請求をすることができます。

法定相続分

指定分割してい-ぶんかつ

被相続者の遺言書にかかれた書かれた内容に従って、相続財産を分けることいいます。指定相続分法定相続分に優先しますが、各共同相続人の全員の合意があれば指定分割以外の方法で分割しても構いません。

自筆証書遺言じひつしょうしょ-いごん/じひつしょうしょ-ゆいごん

遺言の普通方式の1つで、遺言者が全文、日付、氏名を自書して押印して行います。自筆できる人であれば誰でも単独で作成することができ、公証人の関与や証人の立会などは不要です。安価で簡便という利点がある反面で、方式不備で無効になるおそれや遺言の偽造、変造、隠匿、破棄のリスクがあります。

公正証書遺言 →秘密証書遺言

死亡退職金しぼう-たいしょくきん

労働者が在職中に死亡した場合に使用者から給付される金銭で、死亡当時に生活を共にし、生活を維持していた者の生活を救済するために支給されるものです。会社の就業規則などで定めがある場合には、労働者の遺族が支給を請求することができます。死亡退職金が相続財産に含まれるかどうかは、受取人の指定があるかないかで違ってきます。会社の就業規則などで受取人が定められていない場合には、退職金の請求権は死亡した本人が取得し、その請求権を相続財産として相続人が相続することになります。就業規則などで受取人の指定がある場合には相続財産には含まれず、指定された者が自分の権利として請求することができます。特定の相続人が受取人として指定されている場合は、受け取った退職金の額が特別受益になる可能性もあります。

受取人の指定として就業規則に第1位順位の受取人を配偶者としている場合、この配偶者に内縁の妻など法定相続人以外の者が含まれるかどうかについては、国家公務員等退職手当法は含むとし、民間企業でも同様の定めをする会社が増えています。

死亡保険金しぼう-ほけんきん

生命保険に加入していれば死亡によって保険金が支払われます。生命保険が相続財産かどうかは、受取人が誰になっているかで変わってきます。

保険金受取人の受取指定

自書じしょ

自分で書くことです。自筆証書遺言は全文、日付、氏名をそれぞれ自書する必要があります。自書が要求される趣旨は、筆跡が遺言者本人のものであることを確認することで、パソコンの遺言書や他人が代筆したものは当然無効とされます。

社員権(株主権)しゃいんけん

被相続人が会社を経営していた場合は、その株主(出資者)としての権利が相続の対象になります。合名会社の社員の地位や、合資会社の無限責任社員の地位は、定款に定めのない限り、相続の対象になりません。地位の相続ができない場合、持分(出資金)の払戻請求権を相続します。

借地権しゃくちけん

建物の所有を目的とする地上権と土地の賃借権を一括して表す言葉です。借地権や借家権も相続財産に含まれ、相続人は借地権や借家権を引継ぎ、借地人や借家人になります。

借地人や借家人が死亡した場合、地主や家主が契約をした本人が死亡したことを理由に、相続人に対して土地や家屋を求めてくることがありますが、相続に地主や家主の承諾などは不要です。地主や家主から明渡しの請求がされた場合でも、その請求を拒否することができます。名義書換料も支払う必要がありません。

借家権しゃくやけん

建物の賃借契約から生ずる借家人(賃借人)の権利の総体をいいます。借家人がその建物に継続的に居住することができる権利などです。

借地権

受遺欠格者じゅい-けっかくしゃ

不正な行為によって、相続を発生させようとしたり自己の取り分を多くしようとしたりした受遺者は受遺欠格者にあたり、特段の手続を要せずに遺贈を受ける資格を剥奪され、 受遺欠格者に対する遺贈を規定した遺言は、その条項について当然無効となります。受遺欠格者には相続欠格者の規定が準用されます。

相続欠格

受遺者じゅいしゃ

遺言により遺贈を受ける者として指定された者です。遺産の全部又は一定割合の遺贈を受ける包括受遺者と、遺産中の特定財産の遺贈を受ける特定受遺者とに分けられます。

胎児も法人も受遺者になれますが、相続欠格者はなれません。受遺者はいつでも遺贈を放棄することができ、その効果は遺言者死亡時に遡って効力を生じます。

種類物遺贈しゅるいぶつ-いぞう

特定遺贈

重大な侮辱じゅうだいな-ぶじょく

遺留分を有する推定相続人が、被相続人に虐待や重大な悔辱を加えたり、その他著しい非行をしたりしたときは、被相続人は家庭裁判所に当該推定相続人の廃除を請求できます。廃除を遺言でするときは、遺言執行者が家庭裁判所に請求します。

自由分じゆうぶん

被相続人の財産には、自由に処分できる部分(自由分)と処分が制限される部分(遺留分)とがあり、自由分については被相続人がどのように処分しても後で問題が生じることはありません。

遺留分

熟慮期間じゅくりょ-きかん

相続人にとって相続が開始してから3カ月間は「熟慮期間」といい、この間に相続するかどうかを考えることができます。被相続人が死亡した直後は、葬儀や初七日などであわただしく、相続の話が出てくるのは一般に、四十九日過ぎという場合が多いようです。

その後相続財産の調査、積極財産と消極財産の見極めをします。財産が多く、また権利関係が複雑な場合は、家庭裁判所に期間伸長の申立てをすることができます。

障害基礎年金しょうがい-きそねんきん

昭和61年4月以後に障害状態となった者に支給される国民年金法上の年金給付のことです。

障害厚生年金しょうがい-こうせいねんきん

厚生年金保険法において、傷病、負傷により一定程度以上の障害状態となったときに支給される年金のことです。

障害保険金しょうがい-ほけんきん

被保険者が事故によって身体に障害を受けた場合に支払う保険金で、損害保険の1つです。人保険の一種ですが、商法上の生命保険とは異なります。

消極財産しょうきょく-ざいさん

マイナス財産のことで、借金、買掛金、保証債務、地代や家賃の支払債務や罰金納付義務なども相続の対象になりえます。扶養義務や身元保証債務など、一身専属的な債務は相続の対象になりません。

積極財産

使用貸借の借主の地位しようたいしゃくの-かりぬしのちい

使用貸借とは当事者の一方(借主)が無償で使用し、収益したあとに返還することを約して相手方(貸主)からあるものを受け取ることによって成立する契約のことです。

無償という点で賃貸借と、目的物自体を返還する点で消費貸借とそれぞれ異なります。使用貸借は借主の死亡によって効力失うので、相続の対象となりません。しかし貸主の死亡によっては当然には終了しません。貸主の地位は相続され、その地位を承継した者が解除条件を満たしていた場合に契約を解除することができます。

証人の立会いしょうにんの-たちあい

証人とは一定の行為の正規の立会人を指します。自筆証書遺言の場合は証人・立会人は不要ですが、それ以外の方式、例えば公正証書遺言秘密証書遺言などを行う場合は、証人または立会人が必要となります。遺言作成に立ち会い、遺言書の作成が本人の意思に基づいて行われていたこと、遺言書の内容が本人の真意に合致するものであることを担保する役割を担う者です。

未成年者や(遺言作成時の)推定相続人受遺者、これらの配偶者・直系血族などは証人の欠格事由にあたり、原則として無効となります。もっとも、他に2人の適格者が欠格者とともに証人として立ち会った場合になどは、必ずしも無効となるわけではありません。

処分行為しょぶん-こうい

管理行為に対する概念で、財産の破棄や消滅のように、現状又は性質を変える事実的処分行為(家屋をとりこわすなど)と財産権の変動を直接生じさせる法律的処分行為(家屋の売却、株式の質入れなど)とを含みます。

署名しょめい

一般に、文書に自らの氏名を記すことです。本来は自署を意味しますが、代署や記名捺印が許される場合もあります。自筆証書遺言秘密証書遺言は、遺言者本人の署名押印が必要なので署名押印がないものは無効となります。

真正相続人しんせい-そうぞくにん

真正相続人とは、本来であれば相続できる権利をもっているにも関わらず、表見相続人または不真正相続人による相続権の侵害によって、遺産の占有を失っている者をいいます。相続権を侵害された場合、真正相続人は不真正相続人に対し、相続回復請求を行使して、相続財財産を取り戻すことができます。

不真正相続人

信託しんたく

一定の目的に従って財産の管理又は処分をさせるため、他人に財産権の移転その他の処分をすることです。例えば、A(委託者)が自己の財産を信頼できるB(受託者)に譲渡するとともに、当該財産を運用又は管理することで得られる利益をC(受益者)に与えることをBと取り決めることです。

審判分割しんぱん-ぶんかつ

遺産分割の方法の1つで、被相続人の遺言がなく、また共同相続人間の話し合い(協議分割調停分割)で分割方法が決まらない場合に、各共同相続人は家庭裁判所に対して共同相続人及び利害関係人、かつ遺産目録を示すことで審判の請求をします。

裁判官が、遺産に属する物または権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

審判前の保全処分しんぱんまえの-ほぜんしょぶん

遺産分割審判の申立てがあった場合に限り、家庭裁判所が、申立てまたは職権により「仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他必要な保全処分」を命じることです。

共有状態の相続財産の管理をめぐり共同相続人間に意見の対立があり適正な財産管理ができないとき、遺産分割までに時間を要することが予想され長期にわたる遺産管理によりコストがかかる場合、相続財産の性質・価値に照らして遺産管理が共同相続人の能力に余るものである場合などに行います。

推定相続人すいてい-そうぞくにん

相続が開始した場合に相続人となるべき人のことです。

推定の及ばない子すいていの-およばないこ

妻が婚姻中に懐胎した子でも夫と血縁関係がないことが明らかな場合の子です。例えば事実上の離婚、夫の在監、失踪など、懐胎期間中に性交渉の不在が外観上明白な場合(外観説)や血液型の違い、人種の違いなど血縁がない場合(血縁説)をいいます。家庭の平和があれば外観説で、崩れている場合は血縁説にかえるという説があります。父子関係の確認は嫡出否認によらず親子関係不存在確認の訴えによります。

推定を受けない嫡出子すいていをうけない-ちゃくしゅつし

母が婚姻中懐胎し、婚姻後に出生した子は嫡出子ですが、民法上、婚姻成立の日から200日以内に生まれた子は夫の子と推定されず、これを推定を受けない嫡出子といいます。

争いがなければ嫡出子として届け出ることができますが、父子関係を争う場合には摘出否認の訴えによらず親子関係不存在確認の訴えによります。この場合は利害関係のある者はいつでも誰でも父子関係の存否を争うことができるため、子の地位が不安定とされます。

数個の遺贈すうこの-いぞう

遺留分減殺請求を行う際に数個の遺贈がある場合、遺言者が遺言中で別段の意思を表示(数個の遺贈の減殺の順序、減殺の割合を定めていること)していれば、それに従います。別段の意思が表明されていない場合は、減殺額を複数の「遺贈の目的の価額」の割合に応じて割り付け、各遺贈を減殺します。

数個の贈与すうこの-ぞうよ

遺留分減殺請求を行う際に、数個の贈与があるときに、贈与の減殺は相続開始時に近いものから減殺し、順次に遠いものに及んでいきます。遺贈の場合と異なり、遺言者がこれと異なる定めをすることはできません。

裾わけ遺贈すそわけ-いぞう

受遺者の利益の一部分を割いて他の特定の者に与える趣旨の遺贈のことです。一種の負担付遺贈です。例えば「受遺者Aは、前記財産から生ずる収益の5%をBに与えること。」という遺言を残すことです。似たものに負担付遺贈がありますが、その負担が必ずしも財産上のものであることを要しません。

生計の資本としての贈与せいけいのしほんとしての-ぞうよ

生計の資本としての贈与は広く、生計の基礎として有用な財産上の給付を意味し、大学の学費・入学金、生命保険・死亡退職金があたります。大学の学費・入学金は、将来の生活の基礎となることは明らかで、親の資力にかかわらず、生計の資本としての贈与に該当するという見解もありますが、被相続人の資産状況・社会的地位に照らして「子に対する扶養」の範囲内にあるかを吟味し、これにあたる場合は「生計の資本としての贈与」に該当させず、この範囲を超えるものについては特別受益と評価されるとするのが相当であるとする見解もあります。

共同相続人の1人が受取人の生命保険請求権は相続財産ではありませんが、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生じる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認できないほどに著しい場合には、この保険金は特別受益に準じて持ち戻しの対象となります。死亡退職金などの遺族給付には相続財産ではなく、特別受益にはなりません。

特別受益

清算後残余すべき相続財産せいさんござんよすべき-そうぞくざいさん

特別縁故者に分与される財産は「清算後残存すべき相続財産」にあたります。この残余財産につき、これを特別縁故者に全部分与するか、一部分与するかは家庭裁判所の裁量事項です。分与が認められる場合には全部分与であることが多いようです。

生前贈与せいぜん-ぞうよ

贈与者が生きている間に効力が生ずる贈与のことで、通常の贈与のことです。

死因贈与

生前廃除せいぜん-はいじょ

被相続人が生存中に家庭裁判所に対象者を示して調停または審判を申し立てる制度のことです。被相続人が自分の住所地の家庭裁判所に申立て、審判または調停による審理がなされることになります。

廃除

成年被後見人せいねん-ひこうけんにん

精神上の障害により事理弁識能力を欠く状況にあるために、一定の者の請求によって家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者のことです。

事理弁識能力を欠く状態とは、ほぼ継続的に意思能力を欠く状態を指します。成年被後見人が遺言をするには、本心に復しているときに、医師2人以上の立会いのもとに、します。医師2人以上の立ち会いがない場合は無効です。成年後見人は成年被後見人がした遺言を取り消すことはできません。

生命侵害せいめい-しんがい

他人の不法行為によって生命が奪われることです。遺言者に対する生命侵害行為は相続欠格事由となります。

相続欠格

生命保険金せいめい-ほけんきん

生命保険に加入していれば死亡によって保険金が支払われます。保険金は額が大きな場合があって、これが相続財産に含まれるかどうかは相続人にとって大きな問題になります。生命保険が相続財産かどうかは、受取人が誰になっているかで変わってきます。

死亡保険金 保険金受取人の指定

責任なき債務せきにんなき-さいむ

相続において「責任なき債務」が発生する場合としては、限定承認の例があります。例えば相続債務が8,000万円、相続財産が5,000万円という場合で、相続人が限定承認した場合、相続債権者の引当となるのは、5,000万円の相続財産です。

差額3,000万円については、相続人は債務を承継しますが、相続人の固有財産について強制執行を受けることはありませんので、「責任なき債務」ということになります。

積極財産せっきょく-ざいさん

資産(プラス財産)のことで、不動産、動産、債権(銀行預金)、有価証券(株式や、手形小切手)などです。

絶対的欠格事由ぜったいてき-けっかくじゆう

該当することで直ちに欠格となる事由のことです。該当しても場合によっては資格が認められる欠格事由を相対的欠格事由といいます。

相続欠格

僭称相続人せんしょう-そうぞくにん

法律上の相続人でないのに相続人であるかのような地位を保有する者のことです。真正の相続人は僭称相続人に対して相続回復請求権を行使することができます。

表見相続人 不真正相続人

船舶隔絶地遺言せんぱくかくぜつち-いごん/せんぱくかくぜつち-ゆいごん

遺言の特別方式(一般社会から離れた場所(隔絶地)にいる場合)の1つで、船舶内にいる人が遺言を作る場合です。船長または事務員1名と証人2人以上の立ち会いが必要です。裁判所の確認は不要です。

一般隔絶地遺言

全血兄弟姉妹ぜんけつ-きょうだいしまい

父母の双方を同じくする兄弟姉妹のことです。半血兄弟姉の法定相続分は、全血兄弟姉妹の半分です。

半血兄弟姉妹

全部包括遺贈ぜんぶほうかつ-いぞう

包括遺贈の一種で、「自分の財産全部をD(相続人ではない人)に譲る」という遺言のことです。個別財産が指定されていない上に、被相続人に属した権利のみならず義務も含めて、遺産の100%を受遺者に承継させる遺贈のことです。

占有権の相続せんゆうけんの-そうぞく

相続はそもそも被相続人の法的地位を承継するものであるから、占有者としての被相続人の地位も、そのまま相続人に承継されます。占有を承継した人は、被相続人の占有を合併することもできるし、分割することもできます。

葬儀費用そうぎ-ひよう

葬式にかかった費用は、一般に喪主が負担することになります。香典は葬式費用の一部負負担という意味を含んでいるので、香典が葬儀費用に充てられるのが通常のようです。

相続そうぞく

人の死亡により残された財産(遺産または相続財産)を生存している相続人が承継することです。民法では、その方法につき故人(被相続人)と一定範囲の親族関係にある者を相続人とし、相続開始とともに、相続人が被相続人の財産に属する権利義務を包括承継すると定めています。

相続開始後の果実そうぞくかいしごの-かじつ

相続人が遺産分割協議をすると、最低でも1年程度の期間は経過します。例えば遺産に不動産があると、その間に賃料が生じます。相続開始後から遺産分割確定までの賃料を誰が取得するかについて議論されてきました。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じますので、遺産分割で各ビルを取得した相続人は、「そのビルの(相続開始後から、遺産分割確定までの)賃料を取得する」と考えることもできそうです。

しかし最近の最高裁の判例は、相続開始後の果実(賃料、利子など)は、遺産ではなく、各相続人が法定相続分に応じて取得すると判決しています。

相続開始後の寄与そうぞくかいしごの-きよ

寄与分は相続開始時を基準として考慮するのであって、相続開始後において、相続財産を維持、増加させたとしても寄与分として評価されません。

寄与分

相続開始前の放棄そうぞくかいしまえの-ほうき

遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得れば相続開始前(被相続人の生前)に行うことも可能ですが、相続開始前の相続放棄は認められていません。

したがって相続開始前に相続放棄の意思を示しても、開始後に放棄の意思を示さない限り効力はありません。

相続回復請求権そうぞくかいふく-せいきゅうけん

法律上の相続人としての資格を有しない者によって相続権を侵害された場合は、相続回復請求権を行使して、相続財財産を取り戻すことができます。

相続回復請求権は事実を知った時から5年行使しないときは、時効によって消滅します。相続開始の時から20年を経過したときも同様です。

相続欠格そうぞく-けっかく

相続人となるべき者に法律の規定する非行があった場合、相続権は当然に奪われます。欠格事由に該当する者は相続権を失い、遺留分も許されず、また受遺欠格者となります。

民法891条は5つの欠格事由を定めていて、いずれも相続制度の根幹を揺るがす重大な非行・不正です。欠格事由の該当性については、相続資格の当然喪失という強力な効果を生じさせるものであるため、慎重に判断されます。民法891条が定める5つの欠格事由とは、(1)被相続人または相続について先順位・同順位にある者を故意に殺害し、または殺害しようとしたために、刑に処せられた者(2)被相続人が殺害されたことを知りながらもこれを告発せず、または告訴しなかった者(3)被相続人が「相続に関する遺言」をしたり、撤回したり、取り消したり、変更しようとしているときに、詐欺・脅迫によってこれらの行為を妨げた者(4)詐欺・脅迫によって、被相続人に「相続に関する遺言」をさせたり、撤回させたり、取消しさせたり、変更させたりした者(5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造・破棄・隠匿した者。

相続債権者そうぞく-さいけんしゃ

相続財産に属する債務の債権者、すなわち被相続人に対する債権者で、相続により相続人を債務者とすることになった者のことです。遺産債権者ともいいます。相続の限定承認、財産分離による相続財産の清算の場合に、相続開始前からの相続人の債権者とは区別して取り扱われます。受遺者は含みません。

相続債権者申出の公告そうぞくさいけんしゃ-もうしでのこうこく

相続人が不明で相続財産管理人が選任された場合は、裁判所は遅滞なく管理人の選任を公告します。公告後2カ月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、管理人によって相続財産の清算手続きが行われ、一切の相続債権者および受遺者に対し、2カ月以上の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告します。

限定承認をした場合、限定承認をした者は相続債権者受遺者に対して、一定期間内に債権の申出をする公告をします。公告の方法は官報で、公告期間中は、債権者への弁済を拒絶でき、期間満了後は、申し出た相続債権者その他知れている相続債権者に、法律に定められた順序に従い、相続財産から弁済がなされます。

相続財産そうぞく-ざいさん

相続によって相続人に承継される相続開始時の財産の総称のことです。遺産ともいいます。被相続人の持っていた積極財産のほか消極財産も含まれます。売買契約における売主の地位のような契約当事者たる地位も相続の対象となりますが、被相続人の一身に専属したものは相続の目的となりません。祭祀財産は慣習などに従って承継されます。

相続の限定承認、財産分離、相続財産の破産などの場合は、相続人固有の財産から分離された一種の特別財産として清算されます。

相続財産管理人そうぞくざいさん-かんりにん

相続財産法人の管理のために家庭裁判所に選任された者のことです。相続人の存在が不明な場合に、相続財産は法人となりますが、家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求によって相続管理人を選任しなくてはなりません。

相続財産管理人は、不在者の財産管理人と同じ権利義務を負い、管理及び清算をします。

相続財産に関する費用そうぞくざいさんにかんする-ひよう

遺産の管理を任された者が支出した費用は、相続財産に関する費用として相続財産から支出され、相続財産に現金などがあればこれから支出し、ない場合には各相続人が相続分に応じて負担します。相続人の過失による費用の出費はこの限りではありません。

相続財産の清算そうぞくざいさんの-せいさん

清算は、管理人の債権申出公告から始まります。一切の相続債権者および受遺者に対し、2ヵ月を下らない期間を定めて、その間に債権の中出を促します。配当弁済は、期間内に申出をなした相続債権者受遺者、管理人に知れている相続債権者受遺者についてなされます。

債務者の都合による清算ですので、弁済期未到来の債権でも弁済しなければならず、条件付または不確定期限の債権でも、鑑定評価のうえで弁済しなければなりません。債権の申出もせず、管理人に知れてもいなかった債権者などは、残余財産がある場合にのみ弁済を受けられます。

相続財産の凍結そうぞくざいさんの-とうけつ

債権者・受遺者のうち、配当加入の申出をした者および管理人に知れている者は、配当弁済を受けますが、申出もせずまた管理人に知れてもいなかった相続債権者受遺者は、配当に加わることができません。しかし相続債権者・受選者がすべて完済を受けて、なお相続財産が残存する場合には、配当加入のできなかった債権者・受遺者も、その残余財産について弁済を受けることができます。

知れなかった債権者などに対する弁済は、いわば第2次の清算です。第1次の清算、即ち申出をしたか、もしくは知れていた債権者などのための清算は、申出期間の満了後ただちに始められ、その清算が終了してなお残余財産があると、この第2次の清算が起きるのです。 もしこの最終的捜索公告の期間内に、相続人たる権利を主張する者が現われないときは、相続人の権利もこの時をもって消滅し、管理人に知れなかった債権者・受遺者も、その後において権利を行使することは許されなくなります。相続財産は、なお相続財産法人の手にありますが、その相続財産には、後から現われた相続人気第2次の配当弁済を受けなかった債権者なども、その権利を行うことができないのです。相続財産は、凍結状態におかれたといえます。

相続人の不存在が確定した時と、相続財産の国庫帰属との間に、凍結状態の時期が設けられていますが、この凍結は、特別縁故者への遺産分与のための時間的余裕を作り出すためのものです。

相続財産の評価そうぞくざいさんの-ひょうか

相続によって取得した財産の評価は相続開始時点の時価で評価します。「遺産分割」は、財産の相場を基準に行いますが、相続税の申告に用いる財産の評価額は、国税庁の通達「財産評価基本通達」に従って行いますので、一般的な相場と実際の評価では異なった額になることもあります。遺産の評価については相続税の申告で重要になりますが、専門知識が要求されるうえに厄介なため、申告に際しては専門家の力を借りるのが無難です。

相続財産の目録の作成そうぞくざいさんの-もくろくのさくせい

財産目録(相続財産目録)

相続財産法人そうぞくざいさん-ほうじん

相続が開始したが、相続人の存否が明らかでない場合は、被相続人の財産・権利義務関係の承継者がおらず、相続財産の帰属主体がない事態になりかねません。

無主の財産を回避するために、相続人不存在の場合には、相続財産自体に法人格を与え、あたかも財団法人のように扱います。これを相続財産法人といいます。相続財産法人の管理は家庭裁判所が選任する相続財産管理人が行い、相続人が判明した場合には同法人は成立しなかったものとみなされます。

相続資格の重複そうぞくしかくの-じゅうふく

同順位で相続資格が重複することがありますが、具体的には実子と養子が婚姻した場合と、孫を養子にした場合があります。戸籍先例では、実子と養子が婚姻した場合については、配偶者としての相続分のみを認めて、兄弟姉妹としての相続分の重複は認めていません。

一方、孫を養子にした場合は相続資格を認め、養子としての相続分と代襲相続人としての相続分を有するとしています。異順位相続資格の重複として、兄が弟を養子とする場合があります。兄が死亡した場合、弟は子としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格の重複が生ずるようにも考えられますが、弟は第1順位の子としての相続資格が認められるだけで、第3順位の兄弟姉妹としての相続資格は、第1順位の相続人の存在によって認められないことになります。

相続税そうぞくぜい

相続または遺贈(死因贈与を含む)により財産を取得した個人につき、その取得した財産に対し賦課される国税で、財産税の性質があります。相続税の基礎控除は5,000万円+相続人数×1,000万円で、それ以下の人は申告する必要性がありません。相続税の申告は相続開始後10カ月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署で行います。

相続人そうぞくにん

被相続人の財産上の権利義務を承継する者のことです。民法は、被相続人の配偶者と、一定範囲の血族を法定相続人と定めています。血族は、被相続人の子またはその代襲者、直径専属、兄弟姉妹またはその代襲者の順で相続人となります。胎児も相続については生まれたものとみなされます。

相続人相互間の担保責任そうぞくにんそうごかんの-たんぽせきにん

共同相続人の担保責任

相続人の捜索そうぞくにんの-そうさく

民法の相続人不存在手続は、相続人捜索手続と相続財産清算手続の2つの側面があります。相続人の捜索手続としては、3回の公告によって相続人の出現を促しています。第1回は相続財産管理人を選任した旨の、家庭裁判所のなす公告で、捜索期間は2カ月とされています。

第2回は管理人のなす公告で、第1回の公告後、2ヵ月を経てなお相続人が現れない場合に、遅滞なく行い、相続債権者および受遣者に向かって1か月以内に債権の申出を促すためのものです。清算のためではありますが、相続人が公告を知って名乗り出てくることを期待しているのです。

公告期間が過ぎると、相続財産は清算されますが、それと同時に、家庭裁判所は管理人又は検察官の請求によって、相続人捜索の最後の公告をします。これは、相続人がある場合に6か月以内にその権利を主張すべき旨」を公告することです。この期間が経過すると相続人の捜索は打ち切られ、以降は相続人が仮に現れても、もはや権利を行使することはできません。

相続人の行方不明そうぞくにんの-ゆくえふめい

相続人が行方不明であるという理由で相続財産管理人が選任された場合は、裁判所は遅滞なく管理人の選任を公告(裁判所公告)しなければなりません。公告の2カ月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、管理人によって「相続財産の清算」手続きが行われます。行方不明または生死不明の相続人の代理人として財産を管理する者を不在者財産管理人といいます。相続手続きを進めるためには原則として、相続人全員の合意が必要です。

ところが行方不明または生死不明の相続人がいる場合は、手続きが進められなくなってしまいますので、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人の選任」を申し立てることができるのです。不在者の財産管理人は「財産の管理を行うこと」が主な役割とされているため、行方不明者に代わって遺産分割協議に参加し財産を処分するためには、家庭裁判所に対して「権限外行為の許可」を申し立てなければなりません。

不在者財産管理

相続人不存在そうぞくにん-ふそんざい

相続人がいないことです。相続人の存在が不明なときは相続財産が法人とされ、相続財産管理人にその管理・清算が委ねられます。他方、相続債権者受遺者の請求申出期間の満了後なお不明の時は、6か月以上の期間を定めて相続人検索の公告をし、それでも相続人があらわれないときは相続人の不存在が確定します。相続が開始したが、相続人の存否が明らかでない場合は、被相続人の財産・権利義務関係の承継者がおらず、相続財産の帰属主体がない事態になりかねません。

無主の財産を回避するために、相続人不存在の場合には、相続財産事自体に法人格を与え、あたかも財団法人のように扱います。これを相続財産法人といいます。相続財産法人の管理は家庭裁判所が選任する相続財産管理人が行い、相続人が判明した場合には同法人は成立しなかったものとみなされます。

相続財産法人

相続分そうぞくぶん

同順位の相続人が数人あるとき、それらの共同相続人が各自、相続財産の全体に対して有する取り分の割合またはその金額をいいます。被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができます。被相続人が相続分を指定しなかったときは法定相続分に従います。

相続分皆無証明書そうぞくぶん-かいむしょうめいしょ

生前贈与(特別受益)などにより、相続分がない旨を書いた文書のことをいいます。

実務上、相続放棄に家庭裁判所での手続きが必要なことなどの理由から、相続放棄に代わる簡易な方法として利用されています。しかし遺産の内容も知らない相続人に対していきなり相続分皆無証明を記載した文書を送り、これに署名・押印するよう求めるケースなど、トラブルも多いようです。

事実上の相続放棄

相続分権譲渡そうぞくぶんけん-じょうと

各共同相続人は遺産分割前に、遺産全体に対する自己の相続分を譲渡することができます。

相続分の譲渡は、共同相続人の1人に対しておこなわれることも多く、この場合には相続分の譲渡は、実質的に相続放棄や遺産分割に類似します。相続分の譲渡は積極財産と消極財産とを包含した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分、つまり包括的持分の移転であり、遺産を構成する個々の財産の共有持分権の移転ではありません。

相続分の譲渡を受けた者は、譲渡を受けた割合的持分に相当する積極財産のみならず、債務も承継することになります。

相続分指定そうぞくぶん-してい

指定相続分

相続分取戻権そうぞくぶん-とりもどしけん

共同相続人の1人が相続分を第三者に譲り渡したときは、第三者は遺産分割前に相続人たる地位の譲渡を受けたことで相続人と同じ地位に立って遺産分割協議に参加できることになります 。これに対して第三者の介入を防ぐために、他の相続人はその価格および費用を償還して、譲渡された相続分を取り戻すことができます。

ただしこの権利は1カ月以内に行使する必要があります。

相続分前渡しそうぞくぶん-まえわたし

法定相続人から相続分を譲渡された第三者のことです。

特別受益

相続分譲受人そうぞくぶん-ゆずりうけにん

法定相続人から相続分を譲渡された第三者のことです。

相続分権譲渡

相続放棄そうぞく-ほうき

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ってから原則3カ月以内に相続を放棄できます。

放棄するかどうかは相続人の自由ですが、裁判所への申述が必要です。放棄者は初めから相続人でなかったとみなされ、被相続人の財産や権利義務を一切承継しません。相続放棄は相続財産が債務超過である場合に相続人が意に反して過大な債務を負うのを回避するためのものです。

遺留分放棄とは違い相続開始前に事前に相続放棄をすることはできません。

遺留分放棄

相続放棄無効確認訴訟そうぞくほうき-むこうかくにんそしょう

相続放棄は法律行為であり、取消について民法総則の適用があるので無効の主張も可能です。

無効原因としては、錯誤、心裡留保、通謀虚偽表示があります。無断で署名押印をされた結果、相続人の真意に基づかずに相続放棄がなされた場合においても無効とされています。

無効の主張を訴訟において行う場合、相続放棄の無効確認訴訟を行うことは許されておらず、放棄の無効を前提とする権利義務の存否の確認を求めるものとされています。

総体的遺留分そうたいてき-いりゅうぶん

遺留分の割合は相続人の構成により次のように異なります。直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は全体で被相続人の財産の2分の1です。この割合は遺留分権利者全員の割合となり、それを総体的遺留分といいます。

個別的遺留分は総体的遺留分を、相続分の割合で割って算出します。

遡及効そきゅうこう

法律の要件の効力が、その成立前にさかのぼって発生することをいいます。

法的安定性の確保の見地から法律不遡及の原則があります。法律要件については、特に法律上の規定がある場合に限り遡及効が認められます。

相続開始後に行った共同相続人間における遺産分割協議の効力は、相続開始時(被相続人が亡くなった日)にさかのぼって生じます。遺産分割協議が成立したのが相続開始から5年後であったとしても、相続分の相続財産を取得した日は相続開始日ということになります。

祖先祭具そせん-さいぐ

祭祀財産

損害賠償請求権の相続そんがいばいしょう-せいきゅうけんのそうぞく

事故によって損害を被った被害者は、加害者に対して損害賠償請求権を取得します。被害者が死亡した場合、死亡と同時に被害者本人が損害賠償請求権を取得し、この請求権を相続人が相続することになります。

事故死の場合には、被害者本人が持っていたさまざまな財産に加えて、事故によって故人が得た損害賠償請求権が遺産に加わることになります。事故では、死者の親族に対して精神的損害に対する損害(慰謝料)として支払われる金銭がありますが、この慰謝料は相続財産ではなく遺産分割の対象にはなりません。損害賠償の請求は、本人に代わって相続人が行うことになります。損害額も逸失利益(生きていたら得られたであろう利益)や慰謝料の計算に時間がかかりますので、遺産分割にあたっては損害賠償請求債権の部分の分割は後の分割協議とするか、あるいは損害賠償額の分割割合を定めておくという方法があります。

事故などの不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、損害および加害者を知った時から3年であるので注意が必要です。

尊属そんぞく

血族のうち、自分より前の世代に属する者のことです。尊属のうち直系の血族、すなわち父母、祖父母などを直系尊属といいます。

卑属

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