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陳述書作成をお願いするなら

遺言無効確認訴訟において、遺言能力が問題になることがある。
証拠集めとして検討すべきは、すでに作成されている書面が中心となる。
もっとも診断書の根拠や書面に現れていない事情について、確認するための陳述書もとれるかどうかを確認したい。
例えば何を根拠に「認知症」と判断したのかについての医師の陳述書。
遺言作成当日の遺言者の様子を語るヘルパーの陳述書。

医師は難しい

一般的に医師は協力をしたがらない。
診断書やカルテに書いていることがすべてであるとして、にべもなく協力を断ってくることがほとんど。
相続人間の紛争に介入したり、特定の相続人に有利な内容を証言することに対しての抵抗。
裁判沙汰に巻き込まれたくないのは当然だが、紛争に巻き込まれたこと自体が不名誉と考える医師もいる。
お金のことなど一切口にしていないのに「お金は受け取らない」と言いながら断る医師もいる。
ただしまれに協力してくれる医師もいる。
特に不利な内容の診断書を作成している医師については、最低でも診断の根拠は確認するようにしたい。
自分の診断が間違っていたとは絶対に言わないはずだが、認知症診断をした根拠は何か、
しかるべきテストを行ったかどうか、などのイエスノークエスチョンについて回答してもらえるだけでもありがたい。
特に弾劾する対象の証拠を作成している医師については、オープンクエスチョンではなくクローズドクエスチョンで確認をする。

ヘルパーの方が可能性大

陳述書作成に協力してくれるかどうかでいえば、ヘルパーのほうが可能性は大きい。
介護の過程で接している時間も長く、語ってくれることも多い。
陳述書の作成ばかりではなく、証人尋問まで快諾いただける可能性もある。
認知症かどうかだけではなく、どの程度の症状であったか。
普段はどのような様子だったか。
調子が良いときと調子が悪いときの違いなどを詳しく説明してくれるのもヘルパーならでは。
遺言作成者の認知症の程度を、点ではなく線で語ってくれるのが大きい。

医師は協力姿勢を撤回する場合も

協力姿勢を表明していた医師が、態度を撤回したことがある。
いざ裁判となると、触らぬ神に祟りなしと考え直したか。
周りから関わるなと言われたのかもしれない。
裁判への協力姿勢を示していた証人候補から態度を撤回された場合、そもそも弾劾対象かどうかを考える。
弾劾対象であれば別だが、診断書作成の内容からして有利な証言をしてくれそうな医師であれば、
そもそも診断書という物証があるのだからマイナスにはならない。
欲しいのは不利な証拠に対する弾劾証拠。
認知症であるとの診断に実は根拠がなかったり、
記載内容よりも実態は認知症の程度が低かったなどという内容の陳述書がとれればよい。

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• 2019-07-04
• [CATEGORY]： 遺言編
• [TAG]：診断書,認知症,遺言無効,遺言無効確認,陳述書
• [AUTHOR]：遺産相続の弁護士･税理士 長谷川裕雅