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【「同居」といえるかどうかがポイント】単身赴任か家族一緒の転勤かで相続税申告における小規模宅地等の特例適用に違いが[POSTED]:2019-06-01

【「同居」といえるかどうかがポイント】単身赴任か家族一緒の転勤かで相続税申告における小規模宅地等の特例適用に違いが

誰が不動産を取得するかで相続税額が変わる

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、2つの厳しい適用要件をクリアしなければいけません。
一つは 「被相続人等の居住宅地であること」という亡くなった人に関する要件です。
しかし、これを突破しても、さらにもう一つの適用要件が待ち構えています。
これをクリアしなければ、評価額80%減額の恩恵には与れません。
二つ目は相続や遺贈によって宅地をもらった人についての要件です。
宅地を取得した人が以下の3つのどれかに当てはまればOKです。
①「配偶者」であること
②「同居家族」が引き続き、申告期限まで保有・居住し続けること
③マイホームを持たない「別居親族」が申告期限まで保有すること(①と②がいない場合のみ。居住はしなくてもよい)

配偶者は不動産相続でも優遇される

それぞれ説明しましょう。
まず①の条件。
被相続人の配偶者が宅地を取得した場合、330㎡まで無条件で宅地の評価額を80%減額できます。
相続税の申告期限(被相続人の死亡日の翌日から10ケ月)内に、自宅から引っ越そうが、自宅を売り払おうが、配偶者は無条件で特例の適用が受けられます。
これは被相続人の配偶者という立場ゆえの優遇措置です。

「同居」といえるかどうかが不動産相続でのポイントとなる

被相続人と同居していた子供や孫、兄弟などの親族が自宅を相続した場合は、そうはいきません。
それが②の条件になります。
同居親族、つまり被相続人と同居していた子どもたちが自宅を相続した場合は、相続税の申告期限まで自宅に継続して住み続けて、保有することが条件になります。
申告期限までに住所を移したり、自宅を売却したりしてしまうと、小規模宅地等の特例は適用されなくなるので、注意が必要です。
ここでいう「同居親族」とは、被相続が亡くなる瞬間まで、被相続人の自宅で一緒に生活していた親族という意味です。
この場合、同居の期間ではなく、同居の実態があったかどうかが問われます。
たとえば妻に先立たれて一人暮らしの父親を介護するために、別居していた娘が実家に寝泊まりして、つきっきりで世話をしていたとしましょう。
そのまま父親が亡くなって、最期を看取った娘が実家を相続した場合、小規模宅地等の特例は受けられるでしょうか。
一見、「同居親族」の条件を満たしているようですが、この場合、娘は父親の介護をするために一時的に実家で寝泊まりしていた過ぎません。
生活の拠点はあくまで夫や子どもと暮らしているマイホームです。
生活実態から見れば「同居親族」とは認められず、娘が実家を相続しても、小規模宅地等の特例の適用を受けるのは難しいでしょう。

単身赴任か、家族一緒の転勤かで相続税額は大きく変わる

実家で父親と同居していた息子が、会社の転勤で実家を離れることになりました。
そうした状況下で父親が亡くなって、息子が実家を相続した場合、小規模宅地等の特例は使えるでしょうか。
父親が危篤のときに実家に呼び戻されて最期の瞬間に立ち会えたとしても、例えば転勤先が福岡だった場合、生活の拠点は福岡にあるので、「同居親族」とは認められません。
もし妻や子供と一緒に実家を出て福岡で暮らしていたら、完全にアウトになります。
しかし、妻や子供を実家に残して単身赴任していた場合には、例外的に特例の適用を受けられることになっています。
息子が父親と一緒に暮らしてなくても、家族が同居していれば、もらった人の要件を満たすことになります。
もし父親が亡くなった後で息子が転勤することになっても、相続税の申告期限まで妻や子供が実家で暮らしていれば問題ありません。
単身赴任か、家族一緒の転勤かで相続税額は大きく変わってくるので、家族できちんと話し合ったほうがよいでしょう。

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