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こんな家は注意こんな家は注意

『財産の不正操作』が問題になる家庭には一定の共通点があります。
『財産の不正操作』を誘発する環境や、犯行に及ぼうとする動機が存在しているのです。
以下のパターンに当てはまる方、要注意です。

1 不動産をお持ちの方

登記簿謄本を取り寄せて不動産の状況を確認することは、日常生活ではまずありません。不動産を担保に銀行からお金を借りたり、不動産を売却したりするときでなければ、登記簿謄本など見ることはないのが通常でしょう。
大部分のケースでは、相続が発生して財産目録を作成しているときなどに不動産の『不正操作』が発覚します。

2 銀行口座を複数お持ちの方

一般的に銀行口座は、毎日の生活費を引き下すために日常的に使用します。
普通預金は日常的に使うものの、通帳が別になっている定期預金の方は、開設したことすら忘れている場合もあります。証書を発行するなど、定期預金通帳を総合口座として発行しない銀行もあります。また普段使う口座が被害に遭いつつも気付かないことは少ないかもしれませんが、定期預金が被害に遭っても、なかなか気づかないことが多いようです。

3 銀行口座の暗証番号を家族に教えている方

口座名義人である親が入院したり、老人ホームに入所しているのをいい事に、毎日50万円ずつ引き下されていたケースは、事件を担当していて枚挙にいとまがありません。全て、暗証番号を知っているがために、可能な犯行です。暗証番号を家族内で共有しているケースは珍しくありません。忙しくてATMに行けず、代わりに家族に引き出してもらうこともあるでしょう。誕生日と同じ暗証番号などは、家族内では公知の事実になっています。

4 名義と実態がずれている財産をお持ちの方

よく問題になるのが不動産と銀行口座です。
中に入っているお金は父親のものなのですが、実際の口座名義人は長男になっている銀行口座。
お金を出したのは父親なのに、実際には長男名義の登記になっている不動産。
法律上は一般に、名義のいかんに拘らず、実際のお金を出した人間が所有しているという考え方をします(贈与や売買が認定されないという前提です)。
口座内のお金も不動産も父親の物のはずですから、銀行預金と不動産は相続財産になります。しかしもともとは父親がお金を出したという事実を、知らない家族もいます。長男しか事実を知らないのであれば、誰も問題にすることはなく、相続手続きが進んでいくことになります。

5 家族で事業を営んでいる方

不動産業や農家、病院経営者など、法人組織は持っているものの、実態はほぼ個人事業主の方。
法人のお金と個人のお金の区別が不明瞭となっていることもあります。
気づくのが遅れる理由は、普段使う通帳は別に保管しているから。自分が管理している通帳のみ把握して安心している方が多いのです。

6 家族内で対立関係が生じている方

相続人同士では男兄弟間での紛争が多い。弟だけには親の財産を渡したくない兄が、親を唆して不動産を自分名義に変更させたり、自分に有利な遺言を無理やり作成させたり。
兄弟間の仲が悪いだけではなく、兄弟の配偶者が暗躍しているケースも多いのです。面倒なのは、義兄弟は相続人ではないので、特別受益の問題では清算できないのです。

【コラム】 特別受益とは

被相続人の死亡後は共同相続人間で法定相続分に従って遺産を相続するのが原則です。ところが、共同相続人のうちで、被相続人から遺贈や、婚姻、養子縁組または生計のための贈与を受けた者がある場合は、それら贈与をまったく何らの考慮もせずに法定相続分に応じてそれらの者にさらに遺産を取得させることは、共同相続人間の公平を害することになります。
そこでこれらの贈与を特別受益として計算し、遺産分割において調整することになります。
具体的には、被相続人が死亡時に有していた財産の価値に、生前に贈与された財産の価値を加えたものを相続財産とみなします。そのようにして計算した相続財産に法定相続分をかけて算出した価値から、生前贈与を受けた分などの特別受益分の価値を差し引いた金額を、特別受益を受けた者の相続分とします。この調整を特別受益の持ち戻しといいます。

特別受益とは
計算例
設定例
相続人:配偶者 子(長男・二男・長女)  被相続人の相続開始時の財産は4000万円
被相続人は、遺言により相続財産から300万円を長男に遺贈した。
二男は、被相続人から生前に、事業独立資金として200万円の贈与を受けている。
基礎となる金額4200万円4000万円+200万円(生前贈与)
配偶者2100万円4200万円×1/2
長 男400万円4200万円×1/2×1/3-300万円(遺贈)
二 男500万円4200万円×1/2×1/3-200万円(生前贈与)
長 女700万円4200万円×1/2×1/3

※長男は、400万円の他に300万円の遺贈財産を取得する。

特別受益にあたるか否かの判断

ある贈与が特別受益にあたるかどうかの判断は簡単ではありません。
まず、遺言で財産を贈与する遺贈については、どのような遺贈かにかかわらず全て特別受益になります。
問題は生前贈与です。生前贈与については、持参金、新居、道具類、高額の結納、高額の新婚旅行費用などの婚姻のための贈与、養子縁組のための費用、高等教育の学費、家など、生計の資本としての費用だけが特別受益になります。
結納金や結婚式の費用については原則として特別受益にならないと考えられていますが、審判例では共同相続人中に既婚者と未婚者がいる場合には、特に多額ではない結婚式挙式費用も特別受益として考慮すべきであるとしたものもあります。
学費に関しても、特に1人だけに高等教育を受けさせる場合は特別受益となるものの、大学進学率が高い現在の状況下では、特別高額の場合を除いて大学の学士程度であれば特別受益に当たらないと考えるのが一般的です。

特別受益の評価

生前の贈与が特別受益に当たる場合、相続開始時点で持ち戻しの計算を行うことになっています。現金の場合は貨幣変動を考慮した上で相続開始時の貨幣価値で計算します。土地や株式は贈与を受けた後に売却したとしても、現物があるものとして相続開始時の評価額株価で計算します。なお受贈者自身の行為によらず財産が滅した場合(天災などで滅した場合など)は特別受益がなかったものとして扱われます。
その後遺産分割時の時価評価に基づいて各自の具体的な取得割合を決めて分割を行います。ただし、贈与、遺贈が相続分よりも多くても、返還を請求することはできません。

持戻し免除の意思表示

特別受益にあたるとされても、被相続人が持ち戻し免除の意思表示をした場合は、持ち戻しを行わなくてもよくなります。ただし、持ち戻し免除の意思を書面ではっきりと示している場合は少なく、黙示の持ち戻し免除の意思表示があるといえるための認定基準が問題になります。この認定に当たっては、贈与した経緯、趣旨、その他被相続人が受贈者から利益を得ていたかどうかなどを総合的に考慮して黙示の意思表示を認定しています。
持ち戻し免除の意思表示が、遺留分を侵害する場合は、遺留分減殺請求がなければ、当該持戻し免除は有効となります。ただし、遺留分減殺請求がある時はこれを持ち戻して、遺留分の算定をすることになり、その限度で持ち戻し免除は無効になります。

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