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    [CATEGORY]:会社支配権争い

カリスマ創業者の挫折【アップル】[POSTED]:2019-10-31

カリスマ創業者の挫折【アップル】

カリスマ創業者の退任

1976年、スティーブ・ジョブズ氏が、スティーブ・ウォズニアック氏と共に、実家のガレージで創業したアップル。
1977年、ジョブズ氏とウォズニアック氏は初号機「 A p p l e I」の成功後、マイク・マークラ氏から融資を得て、アップルを立ち上げた。
その後、ウォズニアック氏が「 A p p l e I」に処理速度の向上や内蔵キーボードの搭載、外部ディスプレイへのカラー表示などを実現し、世界で初めて個人向けコンピュータの完成品として「 A p p l e Ⅱ」を大量生産・販売。1298ドルという当時ではかなりの高額商品であったにもかかわらず、「A p p l e Ⅱ」は爆発的なヒットを見せ、アップルは大成功を収める。

1983年には、ジョブズ氏が新社長としてペプシコ(当時はペプシコーラ)の社長を務めていたジョン・スカリー氏をスカウト。これを受けてスカリー氏がアップルの社長に就任した。
ジョブズ氏は当時、世界中にパソコンブームを巻き起こした時代の寵児として、またカリスマ経営者としてもてはやされ、アップルの経営も順調に進むと思われていた。
1984年、アップルは「 M a c i n t o s h 」を発売。しかし需要予測を誤って過剰在庫に陥った結果、アップルは赤字を計上。スカリー氏は、独断専行の「M a c i n t o s h 」開発など、アップルの経営混乱の原因はジョブズ氏にあるとし、1985年4月に「 M a c i n t o s h 」部門からの退任をジョブズ氏に要求。取締役会もこれを承認した。

ジョブズ氏はこれに対し、スカリー氏を追放することを画策するが、スカリー氏はこれを事前に察知。1985年5月の取締役会で、スカリー氏はジョブズ氏の画策を問いただし、ジョブズ氏を会長職以外の全ての業務から外した。
居場所がなくなったジョブズ氏は、同年9月に会長職を辞任。アップルを去った。

経営者とクリエイターとのハブ役が必要

経営者でありながら、クリエイターとして能力を発揮し続けることは、非常に難しい。双方は相容れない側面を有するからだ。
クリエイティブな経営者が必ず通らねばならない道ではあるが、クリエイター業と経営業を両立させることは本当に難しい。それぞれで求められるものがまったく異なるからだ。うまくバランスが取れればよいモノが世に出るが、クリエイティブを追求するあまりに儲けが減ったり、経営者の観点から利益を追求すると質が落ちたりする。

当時のジョブズ氏は、クリエイターとして諸突猛進していた時期であり、経営的視点が欠けていたという声もある。いかにジョブズ氏であろうと、孤立してしまうと、他の経営陣から責任を追及され、その座を追われることもありうるだろう。
孤立したクリエイターが行き着く先は、解雇か飼い殺しのどちらかだ。ジョブズ氏としては、調整に長けたタイプのよき理解者を経営陣に引き入れて、ジョブズ氏と社内のハブ役となる人材の確保が必須だった。

株による後ろ盾を確保

経営者としての地位を確保する方法としては、やはり株による後ろ盾がもっとも確実。
ジョブズ氏は、アップルの株をかなりの数保有していたこともあったようだが、MBOやLBOにより株を買い集め、アップルを買収することも考えることができた。
LBOとは、主としてプライベートエクイティファンド(複数の機関投資家などから集めた資金を事業会社や金融機関に投資し、同時にその企業の経営に深く関与して「企業価値を高めた後に売却」することで高い内部収益率を獲得することを目的とした投資ファンドのこと)などにより、買収先の資産及び将来のキャッシュフロー(現金収支)を担保に資金を借り入れて企業を買収し、買収後に企業の資産売却や事業改善などを行うことで、キャッシュフローを増加させて借入金を返済していくM&Aの手法の一つ。

少ない自己資本で、相対的に大きな資本の企業を買収できることから、梃の原理になぞらえて「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれる。
一匹狼のクリエイター経営者には株の後ろ盾が必要なのである。

アップルに復帰したカリスマ創業者

アップルを去ったジョブズ氏は N e X Tを立ち上げ、映画監督ジョージ・ルーカス氏から P i x a r を買収。 P i x a r では「トイ・ストーリー」などで成功を収める。
1996年、当時業績不振に陥っていたアップルが、ジョブズ氏の N e X Tを買収すると発表。同時に、ジョブズ氏は非常勤顧問という形でアップルに復帰。実質的な経営トップに就任した。以降、「 i M a c 」や「 i P o d 」、「 i P h o n e」などのヒット商品を連発した。2011年、ジョブズ氏はCEO(最高経営責任者)を辞職。同年 10 月に 56 歳の若さで亡くなった。

ジョブズ氏は、アップルに戻って再度成功をし、アメリカンドリームを二度成功させた男として称賛を受ける。クリエイターでありながら、経営者としての才能も如何なく発揮した。
「S t a y H u n g r y . S t a y F o o l i s h . (ハングリーであれ、愚かであり続けろ)」と
いう自身の伝説のスピーチを体現させた人生だった。

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  • 2019-10-31
  • [CATEGORY]: 会社支配権争い
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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