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    [CATEGORY]:会社支配権争い

君島王国の崩壊を防ぐには【君島グループ】[POSTED]:2019-09-11

スキャンダルのニュースバリューを下げる

スキャンダルの原因となった人物が経営トップに就任し、その会社の顔となると、マスコミが面白がって飛びつき、大々的に報道される。途端に、その会社のブランドにスキャンダラスなイメージがつき、会社の売上が落ち込んでしまう。つまり、スキャンダルのニュースバリューを下げることがポイントとなる。
特にオートクチュールの世界はブランドイメージが重要なので、イメージダウンによる事業へのダメージは計り知れない。実際、明氏のスキャンダル報道後、君島グループの経営は悪化した。

スキャンダルの当事者は表舞台に立たない

有効な事前対策は、週刊誌などで経営陣のスキャンダルが報道されないようにすること。
最善の策はスキャンダル隠しの徹底だ。ただ、親族間の騒動では相手がこちらの情報や証拠を把握していることが多く、由希子氏や立洋氏がマスコミにリークする可能性もあり、完全に隠すことは難しい。

そこで現実的な対策は、明氏のニュースバリューを下げること。特定の人物だからこそマスコミが面白がって飛びつくというタイプの事件では、あえてその人物には表に出ないようにしてもらう。明氏を後継者とするとしても、一度会長職などに退き、場合によっては取締役から外すことによって表に出さず、しばらくの間、表舞台に出るのは第三者にする。そして、世間の注目がいったん落ち着くまで待つ。ブランドはダメージを受けると簡単にその信用が失墜するが、失った信用を回復させるには非常に時間がかかる。騒動が落ち着くまでには時間がかかるかもしれないが、「 K I M I J I M A 」ブランドが致命的なダメージを受け、会社が破たんするよりは軽傷で済んだだろう。

ちなみにブティック閉鎖後、明氏の妻十和子氏は、自ら広告塔となって化粧品などの開発販売などを行う「フェリーチェ・トワコ」を設立。明氏自らは表舞台に立たず、十和子氏を前面に押し出すことにより、明氏のニュースバリューをうまく下げた(明氏は「誉幸」へと改名まで行ったようである)。売上も上々のようだ。

後継者や遺産分割の方法を事前に決めておく

2目のポイントは、無用な争いを避けること。
なぜ相続でもめるのかというと、被相続人が既にいないからである。もめたくないのであれば、もめる可能性がある事項について、生前に既成事実化させておくことが大切だ。誰を後継者とするかだけではなく、遺産分割や葬儀の方法でも、君島家の場合はもめることが予想されていた。
君島家のスキャンダルは芸能ネタとなり得るもの。もめればマスコミが嗅ぎつけてくる。

一郎氏としては、相続人の間での無用な争いによってマスコミにスキャンダルネタを提供する状況にならないような配慮が必要だった。
これを避けるてっとり早い方法の一つは、生前に後継者を指名し、その後継者へ集中的に株式を生前贈与してしまうこと。

君島グループの場合は、既に後継者として認め、遺言で会社を譲ろうとしていた明氏を後継者として指名し、家族全員に認めさせ、株式も譲渡してしまえば、否が応でも周りは明氏を後継者として扱わざるを得ない。後継候補者の間に大きな確執がある場合こそ、生前に後継者の指名と株式の一括譲渡を行うだけでなく、後継者の公表や記者会見などを実施して、後継者であることを既成事実化し、無理矢理にでも関係者を納得させる環境作りが重要になる。子どもたちが無用な争いに巻き込まれないようにすることが、親でもある経営者の義務なのだから。
一郎氏は、明氏を後継者にして会社を引き継がせるにあたって、ブランドイメージをこれ以上悪化させないために、あえて「隠し子」騒動が落ち着くまで待っていたのかもしれない。今となっては、真実は藪の中だ。

遺産分割時に問題となる異母兄弟の確執

また、葬儀についても、誰を葬儀の主宰者(喪主)とするか、葬儀の場所をどこにするのかを生前に指定しておくべきだろう。
ただ、一郎氏の立場からすれば、内縁の妻との子どもを後継者にしたり、内縁の妻を祭祀主宰者にしたりすると、本妻側からの反発も当然予想される。異母兄弟間の確執も更に深刻化する。身から出た錆とはいえ、家族を納得させるのはかなり困難だろう。

遺言を使って面倒を先送りにするなとはよくいうが、一郎氏のケースはちょっとやそっとの面倒ではないのだ。口にして言いにくいからといって、先送りにしていると、最後には君島家のようにもめて、誰もが望まない結果を招くことになりかねない。

生命保険の受取金を活用して返済

後継者を早くから決めるということが非常に重要であることは、継ぐ人間にとってもいえる。まさかここまで経営状態が悪いと知っていたら引き継がなかった、という恨み節が明氏から聞こえてきそうだ。
生前に明氏に会社を引き継がせるとしても、借金の処理をどのようにするかについても検討する必要がある。借金の処理に利用できるのが、生命保険の受取金。これは相続財産に含まれないので、一郎氏の生命保険の受取人を明氏とすれば、明氏は相続分とは別に生命保険金全額を受け取ることができる。これで完済とはならずとも、明氏の負荷は減るだろう。

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  • 2019-09-11
  • [CATEGORY]: 会社支配権争い
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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