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    [CATEGORY]:会社支配権争い

親子げんかの第二ラウンドはあるのか【大塚家具】[POSTED]:2019-08-04

勝久氏の復帰を防ぎたい久美子氏

久美子氏の立場からすれば、今後の懸案は、勝久氏が過半数の株式を握って経営を乗っ取るか、再度の委任状争奪戦を挑まれることだ。
これに対抗するには、 久美子氏が株主として力をつけ、勝久氏の復帰を防ぐ必要がある。第二ラウンドで有利に事を進めるためには、ききょう企画保有の大塚家具株を守り抜くことが最優先課題といえる。

久美子氏側としては、現在の支配権の基礎となるききょう企画保有の大塚家具株の死守が第一である。
ききょう企画に金融機関から融資させるなどして資金を投入し社債を償還できれば、ききょう企画を舞台に勝久氏が大塚家具株の取得を狙って仕掛けた攻撃を無効化できる。
この時、金融機関の融資の条件として大塚家具株を担保とした場合、将来返済が滞ると、担保設定した大塚家具株を全て召し上げられたうえで、雪国まいたけの事例のように金融機関主導で会社を乗っ取られる可能性もあるので、注意が必要。

株主総会で久美子氏側の経営陣を総退陣させられる力が必要

一方、勝久氏は、自ら陣頭指揮を執って「会員制」「対面販売」を軸としたビジネスモデルの復活を望んでいるはず。
もはや大塚家具において経営陣ではなく、一株主である勝久氏が経営権を取り戻すには、株主総会で久美子氏側の経営陣を総退陣させられる力が必要だ。
勝久氏としては、委任状争奪戦を行わずとも、独力で自らの取締役人事案を株主総会で通すだけの力をつければ、より確実に経営者として復帰できる。そこで、過半数の株式を買い集めることを目標に、とり得る手段を検討すべきだろう。

ききょう企画から大塚家具株を取り戻したい勝久氏

ききょう企画保有の大塚家具株は約 10 %。仮に後述のTOBを仕掛けるとしても、この約10%を手に入れておく方が、TOBのハードルも低くなる。また、久美子氏側の基礎票がなくなるため、久美子氏側の戦力を大幅に削ぐことにつながり、次の展開を有利に進めることができるだろう。
勝久氏としては、前述の訴訟に勝訴し、社債償還の代物弁済として、問題の大塚家具株を譲り受けることが最優先事項といえる。

勝久氏による株式の更なる買い占め

経営者として復帰するため、過半数の株式を買い集めることを目標に、TOBを仕掛けることになろう。その後、株式の一部売却により、勝久氏の保有比率が約16%に下がっているとの報道がなされたが、既に約16%を保有している以上、残り約34%超を買い付けるのは、それほど困難ではないはずだ。
更に買い付ける株式数を増やし、67%以上まで保有比率を伸ばせば、全部取得条項付種類株式を利用して、勝久氏が会社ごと買収することも可能だ。

第三者による乗っ取りを防ぐためには

創業家一族内部での争いは、第三者による乗っ取りの危険を孕む。
勝久氏と千代子氏は、約18%の株式を保有しているが、既に高齢であり、遠くない将来相続問題が発生することが予想される。
今回のように、創業者とその後継者が対立している場合、創業者は、別の後継者を立てて、自ら保有する自社株式を相続させることになる。具体的には、勝久氏側につく長男の勝之氏や、長男の子どもに相続させる可能性が高いだろう。

元々の後継者である久美子氏の立場からすると、約18%の株式が永続的に反対勢力の側に握られることになり、経営基盤が不安定になる。 このように創業家一族内部でつぶし合いが行われるなか、突然、第三者が経営権を奪ってしまうことがある。番頭が隙をついて経営権を奪い創業家を排除してしまったり、金融機関主導で会社ごと乗っ取られたりする可能性もあるだろう。

創業家一族内部での争いが避けられないとしても、それを長引かせることは第三者に付け入る隙を与えるだけである。一日も早く争いに終止符を打ち、経営を安定させる必要がある。

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  • 2019-08-04
  • [CATEGORY]: 会社支配権争い
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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