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    [CATEGORY]:会社支配権争い

親子げんかを未然に防止するために―勝久氏側の対応【大塚家具】[POSTED]:2019-08-02

事業承継のための株式移転と経営権維持の両立

勝久氏はどのような対応をとるべきだったのだろうか。
2014年7月に社長に返り咲いた勝久氏は、創業者として、次世代に事業承継させるためにも、保有する大塚家具株を子どもに移転させることが必須であった。
ききょう企画を利用した株式移転は、税務的観点からも望ましい。

しかし、過去の成功体験から従来のビジネスモデルを堅持する方針を示している勝久氏は、「脱創業者」「脱会員制」を掲げる久美子氏と相容れず、経営権を譲る気はないだろう。 そのため、勝久氏としては株式移転をしつつ、経営権を維持・確保する必要がある。

そこで、勝久氏以外の者の意思によってききょう企画株の議決権が行使されないように手当をし、事実上、ききょう企画を通して勝久氏が大塚家具を支配できるようにすればよい。

勝久氏が事業承継と経営権維持のために取り得る手段

現在の法律では、次のいずれかの手段を選択することになろう。

  • 選択肢① 勝久氏以外の家族分のききょう企画株を全て※無議決権株式とする。
  • 選択肢② 勝久氏のききょう企画株を※比重株とする。
  • 選択肢③ 勝久氏のききょう企画株を※拒否権付種類株(黄金株)とする。大塚家具への議決権行使やききょう企画の取締役の選任・解任など、勝久氏が押さえたい重要事項を拒否権の範囲に指定。
  • 選択肢④ ききょう企画株を※自己信託する。委託者兼受託者は勝久氏、受益者は家族とする。
※無議決権株式(議決権制限種類株式)
株主総会での議決権を持たない、または制限された株式。株主総会の全ての事項について議決権を有しない、いわゆる「完全無議決権株式」や、利益処分案など一部の議案についてのみ議決権があり他の議案について議決権がない「議決権制限株式」などがある。
議決権を通じた会社への経営参加を制限でき、経営支配の問題を避けることが可能。
例えば、総株式数の 99 %が完全無議決権株式であったとすると、1%の普通株を所有していれば、経営を支配することができる。発行数に制限はないが、発行にあたっては定款変更など、諸手続きが必要。
※比重株
1株に複数の議決権を付与した株式。会社が譲渡制限会社であれば、定款によって株主平等原則と異なる定めが可能。そこで、特定の者が所有する株式について、他の株主と異なり、1株あたりの議決権を多く与える旨を定款に規定する。
保有する株式数によっては、過半数の議決権を確保することが可能となる。
なお、VIP株と違い、特定の地位に付与される株式ではないため、誰が保有しても同様の効果がある。
※拒否権付種類株式
取締役の選任など、株主総会や取締役会で決議しなければならない事項について、定款で株主総会や取締役会の決議の他に、種類株主総会の決議を必要とする旨を定めることで、その種類株主に特定事項について「拒否権」を与えることができる。この種類株は「黄金株」ともいわれ、1株で会社を防衛することができる切り札といわれる。
※自己信託
委託者が自ら受託者となる信託のこと。全額出資の資産管理会社を設立し、設立者が保有する自社株式全てを信託財産とする旨を公正証書に明記する。委託者は、取締役の選任などの議決権を自ら行使でき、生前は、家族の経営への介入を回避することが可能となる。
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  • 2019-08-02
  • [CATEGORY]: 会社支配権争い
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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