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相続税の計算の前にするべきこと相続税の税理士

相続税の計算の前にするべきこと

相続税の計算をする前に、まず、法定相続人の確認、遺言の有無の確認、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの手続きが必要です。
相続税の課税方法には、遺産自体に対して課税する「遺産課税方式」と遺産を取得した人の取得財産に対して課税する「遺産取得課税方式」があります。
日本においては、原則として、法定相続人が法定相続分に従って遺産を取得したものと仮定して、相続税の総額を計算し、各相続人の実際の取得遺産額に従い各相続人の負担税額を按分計算する遺産取得課税方式を基礎とした「法定相続分課税方式」が採られています。法定相続分課税方式では、「遺産の総額」と「各相続人の相続した財産の割合」によって、相続税の額が変わってきますので、相続税の計算を行う場合は、次の点をはっきりとさせておく必要があります。

誰が法定相続人にあたるのか【法定相続人の確認】

誰が法定相続人にあたるのかを知りましょう。
亡くなった人(被相続人)の法定相続人が誰になるのかは民法で規定されており、相続人のうち、誰が優先的に財産を相続できるか、どのような割合で相続できるか決まっています。
法定相続分とは、法定相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

法定相続人の範囲

  • 被相続人の配偶者(夫もしくは妻)は常に法定相続人になります。
  • 配偶者以外の者は、次の順序で配偶者と共に法定相続人になります。
第1順位子(代襲相続人を含む)
第2順位父母(直系尊属)
第3順位兄弟姉妹(代襲相続人を含む)

法定相続人と法定相続分

法定相続人法定相続分
配偶者と子がいる配偶者2分の1
2分の1(複数いる場合は均等分割)
子がいない場合で
配偶者と父母がいる
配偶者3分の2
父母3分の1(複数いる場合は均等分割)
子も父母もいない場合で
配偶者と兄弟姉妹がいる
配偶者4分の3
兄弟姉妹4分の1(複数いる場合は均等分割)

例えば、次のよう場合。
被相続人Xの法定相続人は、妻A、子B、Cの計3名になります。
相続できる割合(法定相続分)は、妻が全体の2分の1、子が全体の2分の1となり、子らはそれぞれ法定相続分を均等分割しますので4分の1ずつ相続できることになります。

被相続人Xと妻A夫婦に子供がいない場合は、第2順位の法定相続人である被相続人の父母に相続権が発生します。その場合の法定相続分は、妻が全体の3分の2、父母が全体の3分の1となり、父母はそれぞれ法定相続分を均等分割しますので6分の1ずつ相続できることになります。

さらに、被相続人Xに子も父母もいない場合は、第3順位の法定相続人である兄弟姉妹に相続権が発生します。法定相続分は、妻が全体の4分の3、兄が4分の1となります。

相続関係図
相続関係図

法定相続人を確定する際は、必ず戸籍謄本を取り寄せた上で確認を行います。
戸籍を調べてみたら、被相続人に隠し子がいたり、養子に出した子がいたりと、想定外の相続人が発覚する例は少なくありません。法定相続人の数が違ってくると、遺産分割もやり直しですし、相続税の計算も違ってきます。
相続税の申告の際にも戸籍謄本の添付が必要となりますので、必ず1番初めに行いましょう。

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遺言書があるかどうか【遺言の有無の確認】

亡くなった人(被相続人)が遺言を残していたかどうかを確認することも重要なポイントです。
遺言は遺産分割に影響を及ぼしますので、必ず遺産分割を行う前に遺言の有無を確認します。
例えば、被相続人の遺言に「(相続人ではない)●●に、現金●●●万円を遺贈する」というような内容があれば、法定相続人以外の者も、受遺者として被相続人の財産を受け取ることが出来ます。
遺言の内容は、受け取れる相続財産を左右しますので必ず調査を行います。

遺言の有無が不明の場合は、遺言が公正証書遺言で作成されているような場合は、公証役場にて検索することが可能です。遺言が紛失して見つからないような場合は、最寄りの公正役場の検索システムを利用し、遺言書の有無の確認をした上で、その謄本の交付をしてもらうことが可能です。ただし、検索できるのは、公正証書遺言の場合に限られ、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は紛失してしまうと発見は難しいといえます。
また発見された遺言が、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所に対して検認手続も必要となります。遺言が見つかっても、検認が済むまでは遺産分割等は行えませんし、検認自体も時間がかかりますので、早めに遺言の有無を確認することをお勧めします。

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どのような遺産があるのか【遺産の内容の確認】

亡くなった人(被相続人)の財産について調査する必要があります。
財産の調査は、不動産については不動産登記簿謄本や名寄帳の取寄せ、預貯金については、金融機関へ対する照会などで行います。調べてみると、被相続人名義だと思っていた不動産が、すでに違う人に譲渡をしていて、他人名義であったということもあり得ます。また、家族に秘密にしていたヘソクリ口座を持っていて、予想外の相続財産があることが判明する場合もあります。

遺産分割においては相続財産に含まれないが、相続税の計算においては相続財産に含まれる財産があります。これを、「みなし相続財産」といいます。 逆に、葬式費用や非課税財産など相続財産から差し引くことが出来るものもあります。

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遺産はどのくらいの価値があるのか【相続財産の評価】

相続財産について調査が出来たら、次にその財産の評価額を調べます。
なお、相続税を計算するための「相続財産の評価額」と、遺産分割の際の「相続財産の評価額」は必ずしも一致しないことに留意しましょう。
その理由は次のとおりです。

評価の時期が違うこと

相続税法では、原則として相続、遺贈または死因贈与により取得した財産の価格は、その財産を取得した時点で評価しまうので、「相続開始日」を評価の基準として計算します。
一方、遺産分割の際の財産の評価の評価時は、原則として「遺産分割時」になります。
遺産分割は、相続開始後にすぐ行うことも数年後に行うことも可能で、相続開始時と遺産分割時に財産の価値が変動することは大いに考えられます。

評価の方法が違うこと

相続税を計算する際の評価方法には、一定の基準が設けられており、国税庁が定める「財産評価基本通達」に従って評価がなされます。この評価基準によって計算された価額を「相続税評価額」といいます。
一方、遺産分割の際の相続財産の評価方法は、そもそも遺産分割は相続人の合意があれば成立しますので、遺産分割を行う際の相続財産の評価方法については明確な決まりはありません。
一般的に遺産分割時の実勢価格(取引価格)や地価公示価格によってなされます。
相続税評価額は、地価公示価格より低く評価されていて、地価公示価格を基準とすると、相続税評価額は8割程度になります。その理由としては、相続税評価額が高いと相続税を納めるために、不動産の売却を急がせることになり、結果として相続財産の土地が安く買いたたかれる、ということもあり得るからです。

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どのように遺産を分配するのか【遺産の分割】

遺産をどのように分割するかを話し合って決めることを、遺産分割(協議)と言います。
遺産分割は相続人が1人でも欠けた場合は有効に成立しません。また、相続人に未成年がいる場合は、未成年者のために家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければいけません。特別代理人が、未成年者を代理して遺産の分割協議を行い、その遺産分割に基づいて相続税の申告・納税も行うことになります。

この遺産分割により各人が受け取った財産の割合によって、各人が支払う相続税の割合が決まります。

遺産分割が思うように進まず、相続税の申告・納税までに終わらないというケースは少なくありません。申告期限までに遺産分割が間に合わなかったときは、申告・納税をしなくてもよい、という訳ではありません。終わらなかった場合は、とりあえず、法定相続分で相続財産を取得したものとして相続税の申告を行います。その後、取得した財産に従って相続税を再計算し、修正申告または更正の請求によって、払い過ぎた税金や新たに支払うことになった税金について対応します。

遺産分割は、相続税の申告・納税までに必ず終了させておくべきものではありませんが、後の修正申告や更正の請求手続きなどの手間などを考えると、相続税の申告・納税期限までに遺産分割を終えてしまうのがベストと考えます。

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