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6. 遺言のトラブル&予防策を知る -遺言作成の準備の仕方遺言の弁護士

6 遺言のトラブル&予防策を知る遺言作成の準備の仕方

遺留分に気をつけること!

遺留分を無視した遺言はトラブルのもとです。

遺留分とは、被相続人が遺言によっても自由に処分できない財産の割合で、被相続人が相続人に対して最低限残さなくてはいけない遺産の部分です。被相続人が遺言により全財産を全く自由に処分できるとすると、相続人の間に著しい不公平が生じたり、一部の相続人が経済的な基盤を失ったりするので、この弊害を防ぐために遺留分があります。
遺留分があるのは、推定相続人のうち兄弟姉妹(甥姪含む)以外の相続人です。法律で最低限認められた遺留分があり、各相続人の遺留分は下記のとおりです。

遺留分権利者と遺留分
相続人遺留分権利者と遺留分
配偶者と子の場合配偶者が4分の1、子が4分の1
配偶者のみの場合配偶者が2分の1
子のみの場合子が2分の1
配偶者と父母の場合配偶者が3分の1、父母が6分の1
父母のみの場合父母が3分の1
配偶者と兄弟姉妹の場合配偶者が2分の1、兄弟姉妹はゼロ

しかし、遺留分に反している遺言を作成できないわけではありません。
遺留分を侵害する遺言や贈与も当然に無効ではなく、遺留分権者のうち受けた相続財産が遺留分に満たない者、つまり遺留分を侵害された者が、遺留分減殺請求をして初めて減殺されます。遺留分を請求するかどうかは遺留分権者次第です。なお相続開始後遺留分があることを知ってから1年間(相続開始後10年間)以内に権利を主張しないと時効となります。
遺留分を侵害されていても、「遺留分」の存在を知らない相続人や指定された相続分で満足している相続人は、遺留分減殺請求を行わない可能性もあります。そういった場合には遺留分に反した遺言をしていたとしても、その内容のまま執行されることも考えられます。しかし、たいてい遺留分が侵害されるほどの不公平な相続指定を受けた相続人は、不満を持っていますので、遺留分減殺請求を行うケースが多いでしょう。

遺留分を配慮した遺言のポイント

遺留分を無視した遺言によって、相続人の間に多かれ少なかれトラブルが発生しますので、初めから遺留分については注意して、遺言を作成する必要があります。遺言者の意思を尊重することももちろん大切ですが、遺言者の死後に大切な家族に争いのないような内容にしておくことも重要なことです。遺言を作成するときには、遺留分に注意し、以下の方法をとることをお勧めします。

※遺留分の計算については弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

1. 少なくとも遺留分を侵害しない内容にする

財産を残したくない相続人に対しても、少なくとも遺留分を満たすような遺言を作るべきでしょう。そのためには、あらかじめ相続人の遺留分を算出し、確認しておく必要があります。

2. 事前に遺留分放棄を依頼する

相続人に自分の意思を理解してもらえる場合には、遺留分の事前放棄をお願いしておきます。相続前に推定相続人が相続の放棄をすることはできませんが、遺留分の放棄は可能です。ただし遺留分放棄には、家庭裁判所の許可が必要です。

3. 特別受益を利用する

遺留分を侵害するような相続分の指定を行うと、後に相続人間で争いを生じさせることにもなり得ます。多くの財産を相続させたくない相続人に対し、以前に特別受益(結婚に際して多額の持参金をもらったり、事業を興すのに資本金を出してもらったり、などの生前贈与)を与えた場合は、原則持戻し計算によって得た具体的相続分で相続分が計算されます。金額によっては、遺留分を侵害しない場合があります。遺言書に特別受益の具体的な内容および金額まで記載しておくと分かりやすいでしょう。

4. 付言事項を利用する

どうしても遺留分を無視した遺言を希望する場合は、法的な効力はありませんが付言事項を利用する手があります。どうしてそのような相続分の指定になったのか、その理由と想いを付言事項に書きましょう。付言事項に書かれた遺言者の意思を組みとって、遺留分を侵害された相続人が減殺請求を行わないことも考えられます。ただし、再確認になりますが、付言事項には、法的な強制力はありません。

必ず遺言執行者を指定しましょう!

あなたの意思を実現させてくれる人を事前に選んでおきましょう。
遺言執行者とは遺言者の遺言どおりに、遺言を実現してくれる人です。せっかく作成した遺言も、そのとおり実現されなければ意味がありません。遺言には各相続人以外への遺贈など、財産処分に関する遺言者の意思が書かれています。指定された人たちはその意思に従うわけですが、例えば、遺言者の一方的な遺言によって財産が特定の受遺者の手に渡る遺贈の場合など、その保管や引き渡し、登記といった遺言を執行するための様々な手続きが発生します。そういった手続きを行うのが遺言執行者です。もちろん相続人が行うことができますが、相続人の廃除の申立や、認知の届出など遺言執行者にしかできないこともありますので、その場合は家庭裁判所で選任する必要があります。
遺言執行者は必ず指定する必要はありませんが、遺言どおり財産処分をしてもらいたい場合は事前に法律に詳しい信頼のおける人に依頼しておきます。偏った遺言の内容の場合など、遺言執行者となった者が非難を受ける可能性がありますし、また法的知識を要する場合もありますので遺言執行者は関係者ではなく、弁護士などの専門家に頼んだほうが安心です。遺言作成を依頼した弁護士が遺言執行者に指定されることもよくあります。

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