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    [CATEGORY]:会社支配権争い

「世代戻り」の後は…【赤福】[POSTED]:2019-08-16

商標権侵害や不正競争防止法を意識

典保氏が両親の経営路線とは相容れぬというのであれば、いっそのこと、これを機に赤福での地位をきっぱり諦め、消費期限偽装事件後にここまで赤福を立て直した手腕を活かして、新たに「第二の赤福」を立ち上げることも考えられるだろう。

本来、家族が同じ市場で別々に商売をすると、つぶし合いになるため、おすすめできない。しかし類似商品が出回っている市場であれば、ビジネスとして共存しうるのではないか。実際、同じ伊勢の「御福餅」、伊賀の「伊賀福」、名古屋の「名福餅」など、「赤福餅」に似た商品も多数流通しており、それぞれ材料や製法にこだわった商品が多いようだ。
同じ市場で別の商売をする時に気を付けなければならないのは、商標権侵害と不正競争防止法上のデッドコピー(模造品)問題。

赤福は、商標管理会社である濱田総業を通じて「赤福餅」と商品パッケージを複数商標登録している。そのため、典保氏が新ビジネスで「赤福餅」と類似する商品名を使用すると、赤福の登録商標の侵害として使用差止請求、損害賠償請求を受ける恐れがある。また、「赤福餅」とそっくりな商品を販売すると、不正競争防止法が禁止するデッドコピーとして同様の請求を受ける可能性もあるだろう。

後継者指名や株式譲渡を進めて事業承継対策を

益嗣氏と勝子氏は既に高齢であり、典保氏には弟の吉司氏(現在赤福の子会社であるマスヤ社長)がいるため、今後、赤福と濱田総業の経営権・大株主の地位を巡る兄弟間の「争続」が勃発する危険がある。
益嗣氏と勝子氏が生きている間に、後継者の指名や株式の譲渡などを進める必要があるだろう。

同族会社の創業家が資産管理会社を設立するメリット

同族企業の創業家は資産管理会社を持っていることが多い。大塚家具・大塚家の「ききょう企画」、ニトリ・似鳥家の「ニトリ商事」、赤福・濱田家の「濱田総業」、ロッテ・重光家の「光潤社」、雪国まいたけ・大平家の「大平商事」など、数多くの資産管理会社が存在する。

創業家が資産管理会社を設立するメリットは多くある。まず、資産管理会社に株や不動産を移転することにより、例えば、創業家一族で保有する事業会社の株式が、オーナーの死亡による相続で分散することを防げる。また、事業会社からの株主配当や不動産賃料などの所得を創業家一族にうまく分散したり、配当課税や株式評価額を圧縮したりするなど、相続税対策の面でも都合がよい。
最近は株や不動産だけでなく、特許や商標といった事業に必要な知的財産まで資産管理会社に保有、管理させるところもあり、資産管理会社の重要度が上がっているのだ。
安定した支配力を確保したいのであれば、創業家の資産管理会社まで手に入れる必要があろう。

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  • 2019-08-16
  • [CATEGORY]: 会社支配権争い
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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