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頻発場面高齢の遺言/認知症り患後の遺言/想定外の遺言/同居長男が独占する遺言/複数の遺言/乱れた筆跡の遺言接触すべき関係者医師/介護関係者
集めるべき証拠診断書/カルテ/看護記録/介護記録/認定介護票/筆跡鑑定書/日記/手紙/遺言作成当時の状況証拠関連論点生前の行為(贈与や信託などの財産処分、養子縁組、任意後見契約)も問題に

遺言無効判決増加傾向。 公正証書遺言か自筆証書遺言か。 公正証書遺言の場合は来所作成か出張作成か、原本が自筆か代筆か。 まれになりすまし(本人確認は家族が入手しやすい印鑑証明書)

遺言無効判決は増加傾向

遺言無効は裁判で認められやすくなっています。

公正証書遺言で作成しておけば、遺言が無効になることはまずない実務が続いていましたが、ここ数年間で裁判所が積極的に遺言を無効にする判決を出しています。いったん出た遺言無効確認判決を控訴審がひっくり返すこともありますし、控訴における和解でも1審の遺言無効の判決がそのまま受け入れられないこともあります。

遺言の有効性は相続財産の分配に根本的な影響を与えるものですが、遺言は公正証書遺言によっても決して盤石ではなくなっています。

争点は遺言能力の有無・程度

認知症による遺言能力の欠如を理由に遺言無効が争われることが多いのですが、遺言能力自体は医学的概念ではありません。

遺言能力自体が直接に証明できないものなので、直接的に争うことができる医学的概念である認知症かどうかということが問題になります。認知症にり患していたかどうか、程度はどの程度であったかが争われることになります。

認知症でも程度があり、認知症だからといって遺言能力がないことにはなりません。

遺言能力とは具体的な遺言に対して相対的に判断すべきものであって、遺言が複雑な内容であればその分、高度の遺言能力が要求されます。他方で簡単な遺言内容であれば、認知症にり患していてもそれだけで直ちに、遺言能力がないことにはなりません。

自筆証書遺言に簡便なものが多く、公正証書遺言に複雑なものが多いことからすると、遺言内容だけでいえば、公正証書遺言のほうが要求される遺言能力の程度は高いものが多いことになります。

証拠は医療記録など

遺言無効確認訴訟では、医師のカルテや診断書、看護師の看護記録、介護士の介護記録などが証拠として提出されます。自治体の介護認定を受けていた場合、介護認定票も重視されます。

遺言者が日記などをつけていた場合、その内容と遺言内容に矛盾がないか、あれば合理的な説明がつくのかも問題になります。複数の遺言が出てきて、内容に大きな変化がある場合、遺言内容の変遷に合理的な理由があるかもチェックされます。

遺言内容に大きな変遷があった場合、通常は付言事項にメッセージが書かれていてしかるべきですが、それすらなく、後に書いた遺言作成時には高度の認知症にり患していた場合などは、遺言が無効となりやすくなります。

公正証書遺言か自筆証書遺言かで異なるポイント

問題となっている遺言が自筆証書遺言か公正証書遺言かによって、遺言無効のポイントが異なります。

自筆証書遺言はある意味、密室で書かれていて、関係者も事件によって異なり、遺言作成当時の関係者を証人尋問できない場合もあります。筆跡や偽造なども含めて検討・証明すべき対象が広範になります。

公正証書遺言は公証人などの関係者もおり、公証人に対して連絡を取って準備をし始めた時期もわかるので、問題とすべき遺言作成時の状況が特定しやすい傾向があります。公正証書遺言は従来、遺言無効になりにくいとされてきましたが、この傾向は変わってきています。

自筆証書遺言が簡潔で、公正証書遺言が複雑である理由

受益相続人がリードして書かせた自筆証書遺言のほとんどは極めて短い文言で、全部相続させる遺言であることがほとんど。受益相続人としてもこと細かく指示することは現実的ではなく、遺言者も誤字脱字なく書き切る分量に限界があるからです。自筆証書遺言は財産目録を除き徹頭徹尾、自筆性が要求されるので、そもそも高度の認知症にかかっている遺言者は作成できません。逆にいえば、ある程度細かい内容の自筆証書遺言が作成されている場合、偽造の可能性がなければ、遺言が有効である可能性が高いのです。

公正証書遺言はどんなに長い文面であったとしても、事前準備で用意できます。公証役場とのやり取りは受益相続人が行い、遺言者は全くと言っていいほど関与せず、遺言作成当日まで遺言者が遺言作成のことなど知らなかった場合もあります。高齢者が新たに遺言作成を思い立つこと自体、なかなか現実的ではなく、自筆証書遺言を作成するハードルも高いので、いわゆる「書かせる遺言」「受益相続人による遺言」がある程度は許容されています。

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言の場合は、公正証書遺言と異なり、そもそも文書の真正(遺言が遺言者本人によって書かれているものか)事態も問題になりやすく、問題点が公正証書遺言に比べて多くなります。

遺言作成当時の状況を証人尋問によって明らかにできない(受益相続人によるもので信用性が低い)ことが一般的です。

筆跡

筆跡が遺言者本人のものではないとする資料がある場合、偽造を疑うことがあります。(自筆証書遺言では契約書と異なり自筆性が求められており、代筆が認められないので)、筆跡の同一性は徹底的に争われます。

筆跡鑑定はプロが一定の結論を出しますが、筆跡鑑定の結果を裁判所がそのまま採用するとは限りません。加えて筆跡は変化しますので、遺言作成時の資料がない場合、遺言作成時の筆跡であるといえない場合もあります。日記や手紙などがあり遺言者本人の筆跡が時的要素も含めて確認できる場合ばかりではありません。

そもそも一般論として、筆跡を裁判所はそこまで重視しません。筆跡は時と場合によって変遷するものなので、同一人物による筆跡は不変のものであるではないからです。

年齢によっても体調によっても変わるからです。指紋が生涯不変であることとは異なります。 

文言の解釈

素人が書く自筆証書遺言は、文言があいまいなものも少なくありません。「相続させる」とあるべき文言の代わりに「あげる」「使ってよい」などの文言が使われることは多々あります。

複数の遺言が見つかった場合、相互に矛盾しない部分についてはいずれの遺言も有効ですが、矛盾が生じているのかどうかが解釈上、一律には決まらないこともあります。遺言作成者の意思解釈なので、遺言作成当時の状況を巡って裁判で争われます。

また複数の遺言が見つかった場合は、書き換えの動機も含めて問題になりますが、経緯を踏まえた解釈をする必要があります。

公正証書遺言の場合

なりすまし

公正証書遺言の場合、基本的には、遺言者の本人確認がされています。ただし公正証書遺言でも、理論的にはなりすましの危険があります。

本人確認は印鑑証明書でなされますが、印鑑証明書は印鑑証明カードがあればだれでも入手できるため、印鑑証明カードに容易にアクセスできる家族であれば本人に無断で入手ができます。

印鑑証明書さえ入手できれば本人確認をすり抜けられるので、影武者を立てて遺言作成をすることは可能です。

公正証書遺言の原本には遺言者が署名するので、後で原本を確認した際に、遺言者本人の署名ではないことが確認できれば、偽造を証明できる可能性はあります。もっとも公証人の代筆によって作成された公正証書遺言の場合は、なりすましを暴くことが難しくなります。遺言作成当時は確実に遺言作成の場所にいなかった事情が証明できる特別な事情が必要です。

遺言能力

公正証書遺言で遺言能力が問題になる場合、公証人の証人尋問などが行われます。

認知症を理由とした遺言無効が争われる場面では、公証人が病院などに出張した場合の遺言なのか、それとも遺言者が公証役場に来所して作成した公正証書遺言なのかを区別することが大切です。公証人が病院に出張した場合、遺言者本人が遺言作成の準備段階に関与していないことが多く、公証人も注意深く遺言能力の有無について確認をする必要があります。

付言事項に注目

法的に直接的な効力をもたらすという意味では付言事項に意味はありませんが、遺言における付言事項の意味は実は大きなものです。相続分が少ない相続人が不満をこらえながらも、遺言無効確認訴訟を提訴しない理由の1つとして、遺言に付言事項が書いてあったことがあります。故人が遺言を書いた理由を具体的に書いていれば、心ならずもであったとしても納得することもあるでしょう。

特に遺言が複数あって前に書いた遺言と大きく異なる内容の遺言を書く場合や、生前の状況からして遺言を書く動機が疑われる内容の遺言を書く場合などは、付言事項がないと遺言確認訴訟を起こされる確率が上がってしまいます。

また遺言無効確認訴訟においても、付言事項の存否及び内容によって、遺言の有効無効の判断が左右されることもあります。

長文の付言事項は自筆証書遺言に少なく、公正証書遺言には多いのが通常です。もともと高齢者が自発的に遺言を書くことが統計的に少なく、多かれ少なかれ、書かされた遺言の実態があります。このことから遺言者本人の実質的関与が少ない公正証書遺言に書かれた長文の付言事項ほど、疑ってかかるべきなのでしょう。書くべき内容が書いてあるか、書かれている内容が自然かという観点から精査をするべきです。

遺言無効確認訴訟における和解の注意点

遺言があるなどの理由ですでに単独相続で相続税申告をしており、遺言無効確認訴訟において和解をする場合は注意が必要です。当初の相続税申告で小規模宅地等の特例などを利用している場合には、和解後に再度、相続税申告をするにあたって小規模宅地等の特例を利用することができるかも検討する必要があります。代償分割による代償金支払いが贈与認定されないようにする必要もあります。税理士が別々になっていることも多く、各税理士の見解が分かれることも多いので厄介です。税務リスクも含めて和解条項を検討する必要があります。

生前贈与契約にも注意

遺言無効と同じく、相続発生直前に駆け込み的に行われた贈与契約なども問題にされます。遺言を作成するのに必要な遺言能力と同じ問題が起き、財産処分行為の有効性が問題になります。高齢になってからの不動産の売買などの財産処分行為や養子縁組などにも、認知症であったので無効である旨の物言いがつくことがあります。

認知症であることの証明書は入手しやすいのですが、確実に認知症ではないことや当該財産処分行為をする能力があることの証明書はなかなか入手できません。1次相続でもめている場合、2次相続対策として財産処分をすることになりますが、ひっくり返されるリスクを軽減するための周到な準備が必要です。

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