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「K」を巡る最初の争い【キタムラ】[POSTED]:2019-08-30
営業譲渡契約に違反
宏氏は元々、種々の既製品に「K」マークを付けて販売するキタムラK2の商法はキタムラの信用を毀損・低下させるものとして、「K」マーク使用させたくないと考えていたようだ。
宏氏は和江氏に対し、キタムラK2による「K」マークの使用が営業譲渡契約に違反するとして「K」マーク使用などに関する協議を申し入れたが、協議不調で両者は物別れしたという。
営業譲渡契約に基づき、キタムラ側2名、キタムラK2側2名、中立の立場の者1名の5名からなる紛争処理委員会が招集されたが、この委員会での協議でも決着がつかず、キタムラ側が強硬に「K」マークの使用権(ライセンス)の剥奪を決議(第一決議)。しかし、キタムラK2側がこれに従わなかったため、キタムラはキタムラK2を相手に、営業譲渡契約に違反しているとの理由で、不正競争防止法に基づき「K」マークの使用差止などを求め、訴訟を提起するに至った。
裁判所の判断
不正競争防止法では、事業者の間での適正な競争を確保するため、例えば、広く知られた商品表示によく似た表示を使用し、混同を生じさせる行為(周知表示混同惹起行為や、他人の著名な商品表示を自己の商品表示として使用する行為(著名表示冒用行為)などを禁じ、これらに該当する場合は、損害賠償や使用差止を請求することができる。
キタムラは、キタムラK2による「K」マークの使用が、営業譲渡契約に違反する不正使用に当たるとして、キタムラK2から「K」マークの使用権を剥奪し、キタムラK2の商品販売などを差し止めようとした。
裁判所は、キタムラ側主導の紛争処理委員会の決議は、決議に必要な委員会メンバー、特に契約書で名指しされた中立の立場の者が出席しておらず、手続き上の不備があると指摘。また、違反行為は契約書上予定されていなかったゴルフボールへの「K」マークの不正使用だけであり、違反の程度が軽微であるにもかかわらず、使用権まで剥奪するのは委員会の権限を超えていると判断。決議を無効とし、従来どおりキタムラK2には使用権が認められた。
「K」を巡る最初の争いでは、キタムラK2に軍配が上がった。
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