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なぜだ!流行語にもなったスキャンダル【三越】[POSTED]:2019-11-12
愛人の関連会社との癒着が問題に
三越伊勢丹ホールディングスが運営する老舗百貨店。1673(延宝元)年に「越後屋」として創業した。その後、三井家の姓を取った「三井呉服店」となり、1904年には「三」と「越」を取って「三越呉服店」となり、現在の「三越」に至る。
1972年4月に社長に就任した岡田茂氏は、「岡田天皇」「流通界の革命児」とまで呼ばれ、ワンマン社長として10年に渡り君臨し、絶大な権力を誇った。
岡田氏には当時、寵愛する竹久みち氏という愛人がいた。岡田氏の庇護のもと、竹久みち氏は「三越の女帝」と呼ばれるほど、三越内で発言力を強めていた。
岡田氏の指示のもと、三越と竹久みち氏の関連会社との癒着が横行。竹久みち氏は岡田氏の後援を後ろ盾として、三越の海外仕入れルートでコミッションを取るなどして私腹を肥やし、岡田氏による三越の私物化は目に余るものがあった。
1982年8月、「古代ペルシア秘宝展」の偽物騒ぎが引き金となり、岡田氏が個人的に親しい特定の業者に対して特別待遇を図っていた問題などが発覚。その結果、岡田体制批判が高まった。
ついには岡田氏の進退問題にまで発展。同年9月17日、三井グループの社長会で構成する二木会が、岡田氏に対し事実上の退陣を勧告。その裏で、岡田おろしの準備が進められていた。
側近から社長解任動議が提出された
1982年9月 22 日の定例取締役会で、岡田氏の側近といわれていた杉田忠義専務から岡田氏の社長解任動議が提出され、岡田氏を除く16名の全取締役一致で解任が決定。
その結果、岡田氏は非常勤の取締役に降格し、岡田政権は崩壊。降格された際に岡田氏が発した「なぜだ!」はこの年の流行語になった。
岡田氏はその後、特別背任容疑で逮捕された。実刑判決が下され、上告するもその係争中に亡くなった。
◆ 岡田社長退陣までの流れ(1982年)
- 5/27 定期株主総会で岡田社長の経営責任が追及される
- 6/16 三越、押し付け販売に絡む独占禁止法違反問題で公正取引委員会に 同意審決を申請
- 6/17 公取委、三越と押し付け販売問題で同意審決
- 8/29 「古代ペルシア秘宝展」で偽物展示の疑いを新聞が報道
- 9月上旬 秘宝展の真がん騒動が広がる
- 9/7 三井銀行相談役が、岡田社長に事実上の辞任を要請
- 9/9 東京税関職員が、オリエント交易(竹久氏が実質経営者の貿易商社)から酒食の接待を受けていたことが明らかになる
- 9/10 警視庁が秘宝展の主催者である国際美術社社長から事情聴取
- 9/11 三越幹部役員の一部が、岡田社長の退陣に向けて動き始める
- 9/13 三井グループ社長会の二木会が、岡田社長の退陣問題で動き出す
- 9/14 三越労連が経営陣に現行体制の抜本的改革を申し入れる
- 9/15 三井銀行相談役、三井物産社長、三井不動産社長が三者会談を計画
- 9/16 参議院決算委員会で野党議員が秘宝展の偽物問題を追及 大蔵省関税局長が、秘宝展に重大関心を表明
- 9/17 三井銀行相談役、三井物産社長、三井不動産社長の三者会談中止 二木会の代表世話人が、三井グループ首脳の総意として 岡田社長に事実上の退陣声明を発表
- 9/19 岡田社長、多数派工作を活発化
- 9/20 警視庁野方署が傷害容疑で岡田社長に出頭を要請
- 9/21 三越労連、役員に経営刷新の決断を迫る
- 9/22 三越取締役会が開かれ、岡田社長の解任を決定
- 2019-11-12
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