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アーティストまで巻き込んだクーデター【エイベックス】[POSTED]:2019-10-19
利益相反取引を理由とした辞任勧告
1988年創業の大手音楽会社であるエイベックス。創業当初は松浦勝人氏らにより設立された輸入レコードの卸会社であったが、1990年に自社レーベル「 a v e x t r a x 」を創設し、CD制作を開始。1999年に東証一部に上場するまで成長。小室哲也氏、TRF、安室奈美恵氏、浜崎あゆみ氏といったアーティストらと共に、音楽業界で一大勢力を築く。
創業から4ヵ月後に顧問としてエイベックスに加わった依田巽会長は、1995年に社長を兼務。経営の中心となって、創業メンバーの松浦氏と共にエイベックスの成長を支えた。その松浦氏は、取締役で制作部門のトップ。浜崎あゆみ氏など、人気アーティストを育てた看板プロデューサーとしてその名を馳せる。
また取締役の千葉龍平氏は、アーティストのマネジメント子会社の社長も兼務していた。小室哲也氏を松浦氏に引き合わせたのも、千葉氏だといわれている。
2004年7月30日の取締役会で、当時社長であった依田氏が、千葉氏に辞任勧告。千葉氏による「利益相反取引」を理由としていた。
これに対抗する形で、千葉氏と親しい関係にあった松浦氏が、同取締役会で依田氏の代表取締役解任動議を提出したが否決された。
対立が解消できないと判断した松浦氏と千葉氏は辞任し、同年8月1日付で退社した。
辞任騒動が招いた株価急落
松浦氏の退社に伴い、両氏が新たに設立すると噂されるエンターテインメント関連の新会社に人気アーティストが移籍するのでは、との報道も流れ、騒動に発展。
翌日の株式市場では、人気アーティストの移籍で業績が悪化するのではとの懸念が広がり、エイベックスの株価が急落した。
取締役会から4日後の8月3日、エイベックスは「千葉氏の利益相反取引の疑いは、解消の目処が立った」と結論づけ、松浦氏と千葉氏の復帰内定を発表。翌9月の臨時株主総会で、両氏はそれぞれ社長・副社長に就任した。
依田氏は、会長兼社長を辞任し、名誉会長に退いた。
なお代表取締役となった松浦氏は、同年9月28日にUSEN(当時は有線ブロードネットワークス)との資本・業務提携を発表。USENがエイベックス株の約22%を保有する筆頭株主となり、元々18%超の筆頭株主であった依田氏や、約14%を保有していた松浦氏らはUSENに株式を売却。依田、松浦両氏の持株比率は共に約7%で、第2位の株主となった。
- 2019-10-19
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