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兄弟経営は不安材料【ロッテグループ】[POSTED]:2019-09-19
「後継者は1人」が事業承継の大原則
兄弟経営は、うまくいっている時はよいが、両親の死や業績悪化などをきっかけに崩壊する傾向にある。
例えば、兄弟間の待遇差に二男が不満を持ち、両親の死をきっかけにその不満が爆発して兄弟が対立するケースや、長男が経営全般を、二男が営業をそれぞれ分担していたが、業績悪化をきっかけに責任をなすり付け始め、会社が真っ二つに割れたケースなど。
これらのケースで共通していえることは、先行き不安が生じたり、環境が変わったりすると、兄弟間であっても強い他人意識が芽生えるということだ。
親である経営者は、次世代でも兄弟仲良く協力して家業を支えてほしい、兄弟で優劣をつけたくないと考えるかもしれない。親の立場からすれば当然かもしれないが、経営者としては間違った判断だ。
兄弟間の争いを回避し、家業を継続させるための最善の策は、「後継者は1人」だ。曖昧にしたまま決断を先送りにすると、誰もが望まない事態に陥るかもしれない。
生前に後継者を指名し、事業承継紛争を回避
てっとり早い解決方法は、生前に後継者、つまり日韓ロッテグループ全体の統括者を指名し、ロッテホールディングスの大株主である光潤社の支配権をその統括者に譲ることだ。兄弟どちらかを統括者(後継者)に選ぶのであれば、その者を光潤社の過半数を超える筆頭株主とすることが必要である。
しかし、光潤社のロッテホールディングスに対する持株比率は28%程度であり、状況次第では後継者が経営陣から排除されるような不安定な状態。後継者の経営の支配権が確立されているとは言い難い。
自ら、もしくは光潤社、他の資産管理会社がロッテホールディングス株の買い増しをし、3分の2( 67 %)以上保有することが理想的だ。
生前にここまでやるとすると、当然、後継者から外れた者は不満分子化する。そこで、後継者から外れた者への手当として、例えば、光潤社の従業員とし、ロッテホールディングスからの配当が間接的に給与として渡るようにしてもよい。
先代が元気なうちにここまでやっておくのがベスト。先代の判断力が鈍ると、後継者を狙う家族が言いたいことを言い始め、本業に悪影響が及ぶからだ。
書き換えを前提とした遺言作成
兄弟経営が行われている場合、どちらを後継者として指名するのか。各人の適性や能力を慎重に見極め、判断しなければならない。
その決断には時間がかかるもの。今すぐ決めろと言われても、決められるものではない。
しかし、考えたくもないが、親である経営者はいつ突然死するかわからない。不運にも交通事故などに巻き込まれて死亡するかもしれない。
後継者を指名する前に死亡してしまうと、兄弟間の対立が生じる可能性があるので、これを回避する手を打っておくべきだ。
そこで重要となってくるのが、遺言作成。その時点での暫定の後継者を決めて、遺言として残しておく。途中で考えが変わった場合は、遺言の書き換えを行う。これでもしもの時でも、作成時点での最善の後継者に会社を任せることができる。
株式保有比率がポイントに
ただロッテの事例では、遺言の作成だけでは不十分といわざるを得ない。
その理由として挙げられるのは、光潤社がロッテホールディングスの過半数の株式を保有しているわけではないこと。
そして報道によると、光潤社の大株主は既に兄弟であり、武雄氏ではなかったようだ。
渡すべきものを既に武雄氏が兄弟に渡してしまっているので、別途、生前に指名した者が後継者としての地位を確保できるような手当が必要になる。
このような状況であれば、いっそのこと遺言作成といった迂遠なことをせず、生前に全て渡してしまった方がよいかもしれない。
- 2019-09-19
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