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名門3代目の落とし穴【大王製紙】[POSTED]:2019-10-03
創業家が大株主として支配
家庭用品「エリエール」ブランドで有名な大手製紙メーカー。「四国の暴れん坊」の異名をとる。
創業者である井川伊勢吉氏が設立した四国紙業株式会社を前身とし、四国紙業など14社を1943年に合併して発足。1962年に会社更生法を申請し一度上場廃止となるが、その後東証一部上場まで返り咲いた初めての会社としても有名。
創業者の長男で2代目社長の井川高雄氏は、家庭紙事業に参入するなど優れた経営手腕を発揮し、カリスマ経営者として大王製紙を業界3位まで育て上げた。高雄氏は会長、最高顧問を歴任しながらその後も実権を握り続けた。
高雄氏の長男である井川意高氏は、王子製紙と北越紀州製紙(当時は北越製紙)の統合阻止や、大王製紙と北越紀州製紙の技術提携で存在感を示し、2007年に42歳の若さで社長に就任。その後、会長に就いた。
創業家である井川家は大王製紙に対し、井川家ファミリー企業を通じて大株主として支配している。
製品ビジネスまでも支配
井川家は、更に経営の支配力を強化するため、株だけでなく、大王製紙の製品ビジネスまで支配していた。
大王製紙は、その本体と商品の生産・流通・販売といったグループビジネスの「肝」を握る井川家ファミリー企業37社を並び立たせる特異な統治方式のもとで運営。大王製紙の低コスト高収益ビジネスは、井川家ファミリー企業の安値での生産販売に依存しており、井川家ファミリー企業なしでは、大王製紙の現在の事業が成り立たない構図となっている。
高雄氏いわく「大王なくして関連会社なし。関連会社なくして大王なし。車の両輪の関係にある」。
井川家は、大王製紙を株式による支配だけではなく、井川家ファミリー企業とビジネス上切っても切れない関係にすることで、支配の実効性を強化している。
これは他にはない企業の統治方法であり、創業家の支配力の強化にあたって非常に参考となる事例である。
- 2019-10-03
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