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解任クーデターを返り討ち【佐川急便】[POSTED]:2019-10-23
社長の解任と再任が決まるという異常事態
赤いフンドシ姿の「飛脚」のキャラクターロゴや、「佐川男子」でもおなじみの陸運送会社である佐川急便。1957年、佐川清氏が京都・大阪間を中心とする飛脚業を興したことが始まり。
1992年に東京佐川急便事件が発生。自由民主党の金丸信代議士が佐川急便側から5億円のヤミ献金を受領したとし、衆議院議員辞職に追い込まれた。この事件による巨額債務保証や特別背任事件の責任をとる形で、当時会長であった清氏は会長職を辞任。
その後、清氏の前妻の子どもである栗和田榮一氏が後継として社長に就任した。当時、佐川急便内には、後妻の子どものうち二男の佐川光氏がいた。
栗和田氏は、当時元会長の清氏とは経営方針で対立していたとされる。そんな中、2000年6月3日に開催された取締役会で、社長の解任と再任が決まるという異常事態が発生した。取締役は18人。社長派と反社長派は9対9で真っ二つに分かれていた。
- ①まず、清氏に通じていた副社長の湊川誠生氏と副社長の境保氏ら反社長派が、代表権を持つ社長の栗和田氏の解任動議を提出。当事者には投票権がないため、賛成9人、反対8人で、栗和田氏の解任が決定。一時は、クーデターが成功したかに思われた。
- ②ところがその報復といわんばかりに、社長派から代表権を持つ湊川氏と境氏の解任動議が提出され、こちらも解任が決定。この時点で代表権を持つ取締役は、副社長の光氏1人になった。
- ③続く次期社長の選任では、反社長派から光氏が推され、投票が行われたが、却下。
- ④次に、解任されたばかりの栗和田氏の再任動議が出され、却下されると思いきや、再任が決定した。
なぜ、栗和田氏が再任できたかは判明しておらず、取締役会の議長であった光氏に投票権がなかったためという説や、反社長派の取締役2名が栗和田氏に寝返ったためという説などがある。
クーデター騒動をきっかけに旧経営陣は一掃された
当時の清氏ら佐川一族の佐川急便株の保有比率は、計20%程度。2000年6月19日の株主総会で再度、バックに清氏が控える反社長派の巻き返しもあるのではないかと予想されていた。しかし、清氏と光氏は株主総会を欠席。特に波乱は起こらず、湊川氏と境氏は取締役を解任。株主総会後の取締役会で、光氏の代表権を外すことが決定。
この結果、佐川急便で代表権を持つのは栗和田氏ただ1人となり、クーデターが失敗したばかりではなく、クーデター騒動をきっかけに旧経営陣は一掃され、清氏の影響力は排除された。返り討ち、といったところだろうか。
- 2019-10-23
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