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銀河系兄弟の相続争い【サムスン電子】[POSTED]:2019-09-23
兄弟間の相続紛争
「SAMSUNG」のロゴでおなじみの、韓国国内最大の家電・電子部品メーカー。
近年、スマートフォンやタブレット端末でよく見かけるようになった。創業者のイ・ビョンチョル(李秉喆)氏は、1987年に死去。サムスングループは、イ・ビョンチョル氏の指名で三男のイ・ゴンヒ(李健熙)氏が引き継いだが、グループ企業の株式などの相続財産に関する遺言は存在しなかった。
2012年2月、イ・ビョンチョル氏の長男イ・メンヒ(李孟熙)氏が、イ・ゴンヒ氏に対し、サムスン電子に出資しているサムスン生命株を含む約900億円相当の遺産の引渡しを求め、提訴。
イ・メンヒ氏は、イ・ビョンチョル氏が生前に第三者名義で信託した相続財産をイ・ゴンヒ氏が他の相続人に知らせずに解約し、自分名義に変更したと主張。
二女イ・スクヒ(李淑姫)氏も長男に同調し、同様の理由でイ・ゴンヒ氏を提訴。長男・二女対三男という構図に。
第一審、第二審共に、イ・メンヒ氏とイ・スクヒ氏の敗訴(請求棄却)。2014年2月 26 日に上告しない方針を明らかにしたため、この相続を巡る争いは終結した。
漏れのない事業承継を
この訴訟は、イ・ビョンチョル氏が遺言を残さなかったことによる兄弟間の争い。イ・ビョンチョル氏の子どもは、男3女5の8人。イ・ビョンチョル氏は、生前に子どもたちそれぞれに財産を分け与えており、そこまではよかった。
しかし、保有のグループ企業株全てを子どもたちに譲渡していなかったために、結局サムスングループの中心企業であるサムスン電子の統治を巡り、争いが起きてしまった。
イ・メンヒ氏とイ・スクヒ氏は敗訴したが、相続財産があまりに高額であったため、訴訟を提起するにあたっての印紙代だけでも相当な金額であったとのこと。原告側の損失は、弁護士費用も含めると相当大きいようだ。
こうした無益な争いを避けるうえでも、後継者の指名だけでなく、ニトリの事例と同様に、サムスン電子の統治に必要であったサムスン生命株などの相続財産について、遺言の作成や生前贈与をして、後継者のイ・ゴンヒ氏に全て譲渡すべきだった。
このような完全な対策を講じておけば、イ・メンヒ氏とイ・スクヒ氏による無益な争いは生じず、兄弟の関係もこじれることはなかったであろう。
相続問題が一度こじれると、しばしば感情的になり、やがて相手への人格攻撃にまで発展する。やがて関係修復は不可能となり、元々仲がよかった兄弟が二度とお互いに顔を合わせないことにもなりかねない。
残された家族にそんな悲惨な結末を迎えさせないためにも、生前に漏れのない対策を行っておかねばならない。
- 2019-09-23
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