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2.必ず活用すべき「小規模宅地等の特例」不動産相続の弁護士

2.必ず活用すべき「小規模宅地等の特例」不動産を利用した節税対策

小規模宅地等の特例を利用できる場合

不動産は相続財産のうち大部分を占めますので、それなりの金額の相続税がかかります。せっかく不動産を相続しても相続税の支払いのためにその不動産を手放さなければならない、ということにならないように、一定の条件を満たす場合には不動産の評価額を80%減額とする特例があります。
これを小規模宅地等の特例といいます。
小規模宅地等の特例の対象となる不動産は、相続人が相続または遺贈によって取得した財産のうち、相続開始の直前において、被相続人が居住用または事業用に使っていた宅地です。小規模宅地等の特例を適用できる「一定の条件」ですが、被相続人が使用していた土地をどのような関係性の者が相続するかによっても異なります。

相続開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた宅地に小規模宅地等の特例を適用した場合、宅地のうち330㎡(平成27年1月1日以後の相続について適用)の部分について評価額を80%も減額することができます。路線価で5000万円と評価される宅地は80%減で1000万円となるので、この特例によって、相続税の額が低くなったり、場合によっては相続税がかからないこともあります。
相続税対策において、小規模宅地等の特例を適用できる不動産か否かが大きな鍵になります。

配偶者が相続する場合

被相続人の配偶者が宅地を相続する場合、その他の要件は一切必要なく、当然に、相続した土地について小規模宅地等の特例を適用することができます。

被相続人と同居していた相続人

被相続人と同居していた相続人が相続する場合、同居していた宅地等を申告期限まで継続保有し、かつ、申告期限まで継続して居住用に使っていた場合には、小規模宅地等の特例を適用することができます。

被相続人と同居していない相続人

被相続人に配偶者または同居の親族がいない場合に、相続開始前3年以内に日本国内にある自己または配偶者の所有する家屋に居住したことがない相続人が相続し、相続開始時から申告期限まで継続保有している場合には、小規模宅地等の特例を適用することができます。

小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例

「同居していた」「家なき子」の判断

「同居していた」と一言でいっても、その形態は様々です。
たとえば、磯野家のように区分のない1戸建てに2世帯以上で暮らす場合もあれば、1階は父母の生活空間、2階は息子夫婦の生活空間というように1つの家の中で分かれている場合もあります。入口からして別々で2つの家が並んで建っているようだが、一応家の中で繋がっており行き来することができる場合もあるでしょう。「同居していた」ということが主張できれば、小規模宅地等の特例を適用することができますので、その基準が重要となります。

(1)建物内での区分なく一緒に生活する場合

この場合、同居していた息子ないしは娘がその家を相続した場合、当然に小規模宅地等の特例を適用することができます。

(2)建物内部で行き来ができる場合

2世帯住宅を建て、1階は父母、2階は息子夫婦と、それぞれの生活空間を一応分けているが建物の中で自由に行き来ができ、孫が祖父母の家に行って遊んだり、全員で集まってご飯を食べたりするということもあるでしょう。「被相続人の居住用家屋に同居していた者」とは、相続開始の直前において被相続人の居住用家屋で被相続人と共に起居していた者をいいます。それぞれの生活空間を一応分けていても、内部で自由に行き来ができる場合、父母と息子夫婦は1階と2階を住居として一体で利用していると考えることができ、息子は親の居住家屋で共に起居していた者であると認められます。そのため、2世帯住宅の敷地である宅地について、小規模宅地等の特例を適用することができます。

(3)完全に分かれている場合(内部で行き来ができない)

たとえば、1階に母が居住し、2階に息子夫婦が居住しているが、お互いのプライバシーのために内部で自由に行き来することができないという構造になっている場合があります。この場合、1階と2階を住居として一体で利用していると考えることはできず、これまでは小規模宅地等の特例を適用することができませんでした。例外として、①住宅の全部を被相続人またはその親族が所有し、②相続開始の直前において被相続人の配偶者または被相続人が居住していた独立部分に共に起居していた相続人がいない場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた者を、被相続人の居住用家屋に居住いていた者に当たるものとして申告することが認められていました。

このようにいくつかの要件を満たさないと小規模宅地等の特例の適用が認められていなかったのでしたが、平成25年の改正により、上記のような要件を満たしていなくても、被相続人の親族が被相続人と同居していたものとみなされることになりました。したがって、建物内部で行き来ができないような場合でも、2世帯住宅の敷地全体について小規模宅地等の特例を適用することができます。
平成27年1月1日以降に相続により取得する財産に係る相続税について適用されます。

<具体例1>
Cは家族と共に、東京で被相続人と同居していたが名古屋に転勤となったので、妻子を家に残して、1人で2年前から単身赴任していた場合(その後も、あと2年間単身赴任することが決まっている)

Cは被相続人と同居していないので、小規模宅地等の特例は適用できないと考えてしまいそうですが、Cの家族の日常生活の状況やその家屋への入居目的、その家屋の構造および設備の状況等の事情を総合的に考慮して判断します。今回の場合、Cは転勤期間が終わった場合には単身赴任前に家族と暮らしていた家、つまり今回相続した家屋に帰ってくると考えられます。結果的に、小規模宅地等の特例を適用することができます。

<具体例2>
(被相続人には配偶者も同居の家族もいない場合に、)家族と共に東京の持ち家で暮らしていた相続人Bが、4年前に転勤で福岡勤務になったので、自宅を人に貸して家族で福岡に引っ越していた場合

相続人Bは自分の家を持っていますので、家なし子の要件を満たさず小規模宅地等の特例は適用できないのではないかとも考えられます。しかし、Bは4年前に転勤し、その時から自分の家を他の人に貸しています。一応、家を持っていますが、転勤後、必ず自分の家に帰ってくるとはいえません。もしかしたら、相続した家の方が広いからと、元の家を売って相続した家屋に戻ってくる可能性もあります。したがって、相続開始3年以上前に自宅家屋を貸し付け、自分は社宅や賃貸物件で居住していた場合、申告期限まで継続保有するなどその他の要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を適用することができます。

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