3.相続財産を評価しなければ始まらない不動産相続の弁護士
- [CATEGORY]:
- 不動産にかかる相続税 知識の解説
- [TAG]:不動産相続
3.相続財産を評価しなければ始まらない不動産にかかる相続税
相続財産の評価の仕方にはルールがあります。
特に節税効果が高い不動産についての評価の方法を知ると知らないとでは相続税対策に違いが出てきます。
土地の評価
土地を評価するために路線価を用います。
路線価とは、その道路に接する標準的な宅地の評価額の基準になるものです。道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価格をいい、相続税・贈与税の算定基準となります。
路線価に、その土地の面積を乗じて計算します。
路線価(その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額)が付された地域の宅地を評価する場合には、評価する宅地の面する路線の路線価を基として、次のように評価します。
土地(宅地)の評価額 | = | 路線価 | × | 土地の面積 |
相続税・贈与税の算定基準となる路線価は、国税庁が公表します。1月1日を評価時点として、毎年7月頃に一般公開され、全国の税務署や国税庁のホームページで誰でも閲覧することができます。
路線価は、公示価格の80%程度で設定されています。
相続税・贈与税の算定には、納税者の公平性及び便宜性の確保また課税事務の迅速性に適うとして、公示価格を反映させた路線価が採用されています。定められた路線価、補正率等を基に評価するため、公示価格や時価と違った評価額になりますが、一定のルールに基づき計算することにより、土地評価を公平かつ簡単に計算することができるというメリットがあります。
一度ご自宅の路線価を確認してみましょう。
財産評価基準書【路線価図・評価倍率表】(国税庁) http://www.rosenka.nta.go.jp/
数字や記号のようなものばかりなので、最初は何のことなのかわからないかもしれません。しかし、小学校の頃に習った地図記号と同じです。「◎」が市役所、「卍」が寺院と一度覚えてしまえば、どんな地図でも読めるようになったはずです。記号の意味さえわかってしまえば、路線価を読み取るのは意外と簡単なのです。
①所在を確認する
まず、財産評価基準書から調べたい宅地の路線価図を確認します。住所さえわかれば簡単に調べることができます。
東京都千代田区永田町1丁目1番地1号を調べる場合、国税庁のホームページの財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)で年度を選択して、都道府県で東京都を選択して、路線価図をクリックします。「千代田区」、「永田町1丁目」に該当する図を探します。番地は地図上で○で囲んだ数字で表されています。今回の場合1番地ですので地図上の①に該当する土地を探します。
②路線価を確認する
土地が面している道路の数字とアルファベットを確認します。路線価は千円単位で表示されており、1㎡当たりの価額です。たとえば、「1130C」とあればで、1㎡当たり113万円で評価することになります。
ちなみに、平成25年度の路線価最高額は中央区銀座5丁目、鳩居堂の前の道路です。路線価は「21520A」、1㎡当たり2152万円となります。
③地区区分を確認する
路線価図からは土地の価格だけではなく、地区区分も分かります。この地区区分は、土地の評価の際の修正割合に関わってくる重要なものです。それぞれの記号とその意味は次のとおりです。
たとえば、道路に何もマークがなければ、普通住宅地区となります。
地区区分
地区区分 | 記号 |
---|---|
ビル街地区 | |
高度商業地区 | |
繁華街地区 | |
普通商業・ 併用住宅地区 | |
中小工場地区 | |
大工場地区 | |
普通住宅地区 | 無印 |
④借地権割合を確認する
路線価の隣に記載されているアルファベットが気になった人もいるはずです。このアルファベットは、借地権の割合を表しているのです。人から借りている土地は、その利用に制限がかかるので、通常よりも評価額が下がります。人から借りている土地については、その土地の評価額にこの借地権割合を乗じて計算します。それぞれのアルファベットとそれに対応する借地権割合は次のとおりです。
記号 | 借地権割合 | 記号 | 借地権割合 |
---|---|---|---|
A | 90% | E | 50% |
B | 80% | F | 40% |
C | 70% | G | 30% |
D | 60% | H | 20% |
建物の評価
建物は固定資産税評価額を基に評価されます。
家屋(建物)固資産資税評価額は、建てたときの建築価格や取得価格などと一致するわけではなく、評価額を決定する市町村により異なりますが、建築費の50~70%ぐらいで設定されています。
家屋の評価は、このように決定した固定資産税評価額に1.0倍して評価しますので、その評価額は固定資産税評価額と同じです。
建物(家屋)の評価額 | = | 固定資産税評価額 | × | 1.0 |
【コラム】相続財産の評価方法不動産にかかる相続税
相続税の対象となる財産は、金銭に見積ることができる経済的価値のある財産すべてです。
相続や遺贈で受け取った財産が現金や預貯金のような、価値がすぐわかるようなものであればよいのですが、実際の相続財産には、土地や家屋などの不動産、絵画や骨董品などの動産など、必ずしも簡単に評価できないものも含まれています。
加えて、相続税法では、原則として相続、遺贈または贈与により取得した財産の価格は、その財産を取得した時点で評価されます。つまり、相続財産の価額は、原則として「相続開始日」を評価の基準とすることになります。贈与の場合は、「贈与を受けた時」になります。
相続財産の種類や評価の方法を理解して初めて税額の計算ができることになりますので、しっかりチェックしましょう。
主な相続財産の評価の方法
相続財産 | 評価方法 |
---|---|
宅地 |
|
家屋 | 固定資産税評価額×1.0 |
借地権 | 更地の評価額に借地権割合をかけて評価 |
借家権 | 更地の評価額(固定資産税評価額)に借家権割合、賃貸割合をかけて評価 |
上場株式 | 次の株価のうち一番安い評価額
|
取引相場のない株式 | 株式の発行会社を大中小に区分して評価
|
預貯金 | 相続や遺贈等があった日の預貯金残高がそのまま 定期預金などは既経過利子もプラス |
ゴルフ会員権 | 取引相場のあるもの:通常の取引価額×70% |
貸付金・未収入金 | 元本と相続や遺贈があった日までの経過利子の合計 |
この記事と
関連性の高いページはこちら
不動産相続のことなら『不動産相続の弁護士.com』
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
- 2019-08-19
- [CATEGORY]: 不動産にかかる相続税,知識の解説
- [TAG]:不動産相続
『 不動産相続の弁護士 』のその他の記事
- 知識の解説
- 不動産相続トラブルのポイントや不動産相続に関する法律用語の解説を紹介しています。 相続における不動産の重要性 弁護士が扱う相続トラブルは、ほぼ100%不動産が関係しています。資産構成や評価の複雑さ、思い入れや賃貸借権、換金性など、相続における不動産特有の問題点について解説します。 1.なぜ相続で不動産が重要なのか 2.相続財産のほとんどが不動産の理由 3.不動産の評…
- 5.重要事項説明書の説明
- 5.重要事項説明書の説明不動産を相続した時の各種手続 宅地建物取引業法では、宅地・建物の売買契約を締結するまでの間に、不動産会社は購入予定者に対して物件と取引について重要事項の説明をしなければならないとされています。重要事項説明は宅地建物取引主任者が宅地建物取引主任者証を見せ、内容を記載した書面を交付した上で、口頭で説明を行います。重要事項説明書の最後には、購入予定者が署名・押印する欄が設けられています。この署名・押印は「確かに説明を受けました」ということを示すにすぎませんの…
- 4.不動産売買の仲介手数料
- 4.不動産売買の仲介手数料不動産を相続した時の各種手続 仲介手数料とは、不動産業者を通して不動産を売買あるいは賃借する場合に、不動産業者に報酬として支払うお金をいいます。媒介手数料もしくは媒介報酬ともいいます。仲介手数料は、売買もしくは賃貸借の成約時に成功報酬として支払うもので、依頼や申込み段階では発生しませんし、契約が無効・取消しとなったときも、不動産業者は請求することはできません。 売買の仲介手数料は宅地建物取引業法で定められており、売買価格が200万円以下の…
他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。
無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争には参加せず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある相続事件に限定しています。
「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は電話相談(初回15分)・メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話相談(初回15分)で対応します。
相続税を納める必要があり、
かつ遺産分割でもめている方は相談無料
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
相続税の納税義務があり、 かつ遺産分割でもめている事件 | 無 料 | 1時間:62,000円税別 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
内容証明が届いた事件 | 1時間:12,000円税別 ※来所困難な方に限り、 1時間30,000円税別にて 電話相談に応じます。 | ||
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間:50,000円~税別 | 1時間:100,000円~税別 | |
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間:100,000円~税別 | 1時間:150,000円~税別 |
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円(税別) ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
|
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間: 50,000円~(税別) | ||
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間: 100,000円~(税別) |
- ※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している相続事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談、電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。
- ※一般的な相続知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
一般的な相続知識に関する情報は弊所の各サイトでご案内していますので、こちらをご利用ください。
- 来所予約・お問い合わせ
- 03-5532-1112 9:00~18:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。