相続税対策と遺言作成を同時並行で進めたい。

相続税対策と遺言作成を同時並行で進めたい。

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相続税対策と遺言作成を同時並行で進めたい。

相談者からの相談内容

会社経営をしています。 将来的に、創業時のメンバーから株式を買い取りたいと思っているので、そのために相続時に相続税が多くかからないようにと、マンションを購入することを検討しています。 マンションの中でもタワーマンションは節税効果が高いと聞きました。 そこで借金をしたうえでタワーマンションを20室程度購入し、遺言を作成しようと思っています。 遺言作成をお願いすることは可能でしょうか。
弁護士からの
一言アドバイス
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今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

もちろん、遺言作成のご依頼は喜んでお受けいたします。

注意しなければならないのは、タワーマンションの購入が必ず相続税対策に結びつくかどうかは不明確であるということです。

マンションは土地に対する持分が少なくなるため、相続税評価額としては低額になって、相続税対策に有効であるといわれています。土地は路線価価格で評価されて、路線価価格で評価される敷地に対する持分が少ないからです。

タワーマンションは特に戸数が多くなるために、土地に対する持分がさらに小さくなり、相続税対策にとって特に有効であると言われています。

マンションの上層階と下層階では上層階の売買価格の方が高額であるため、相続税評価額との乖離が特に大きくなり、相続税対策にとって非常に有効であるとされています。

タワーマンションの上層階は、富裕層が相続税対策目的で購入するといわれるのはこのためなのです。

しかしながら、タワーマンションを購入したものの、相続税評価額が想定通りに低く認められなかった事例もあります。認知症になっていた方が契約当事者になっていたころで、本人の意思による契約ではないと認定された事情がありました。この事例では売買価格に基づいて評価がなされています。しかし本人の意思によったとしても、必ずしもタワーマンションが低額で評価されるというものではありません。

相続税法22条は、相続財産の価額は、当該財産の取得時における時価によると定めており、課税実務上は財産評価通達に定められた画一的な評価方式により評価されることになっています。一方、財産評価通達6条では「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定されています。これによると、財産評価通達によらないことが相当と認められるような特別の事情のある場合には、路線価価格で評価することには必ずしもならないのです。「通達の定めによって評価することが著しく不適当」という認定は必ずしも一義的ではありません。

そこで

・当該マンションの購入目的が相続税の節税のためであること

・当該マンションの購入価額に対して、評価通達に基づく評価額との較差が多額であること

・当該マンションを被相続人が購入し、相続人が相続し、その相続人が譲渡するまでの間において、実際に利用した事実がないこと

・当該マンションを相続した相続人が、相続発生後短期間のうちに、当該マンションの売買契約を締結し譲渡していること

・当該マンションの近傍に所在する基準値の地価動向が、当該マンションを被相続人が購入した時から相続人が譲渡した時までの間、ほぼ横ばいの状況であること

というタワーマンションが低額で評価されなかった事情を考慮に入れて、このような要素に当てはまらないように注意する必要があります。

ここがポイント!

節税方法にはメリット・デメリットがありますから、その構造をよく理解した上で、ご自身に合った節税スキームを採用すべきです。節税対策にはリスクも伴いますので、税務に詳しい専門家に相談しましょう。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

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