【夫婦で遺言を作成とき】どちらの相続を先に想定するか?

【夫婦で遺言を作成とき】どちらの相続を先に想定するか?

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

【夫婦で遺言を作成とき】どちらの相続を先に想定するか?

相談者からの相談内容

妻とともに夫婦で遺言を作成しようと思っています。 相続税のことも考えて、配偶者特例も利用しながら相続の配分を検討しています。 妻の方が元気なので、長生きするはずですから、私の財産を妻にまず相続させて配偶者特例を利用するつもりです。 そのほかにも居住用不動産を妻に贈与することも考えています。 事業を譲渡するにあたって、もめ事がないようにしたいと思い、株式は誰にどれだけ残したらよいのかも悩んでいます。 信託銀行に相談したところ、アドバイスをもらったので、その通りに遺言を作成しました。 ところが信託銀行の担当者と最近、折り合いが悪くなってしまいました。 信託銀行には遺言執行者になってもらっているのですが、遺言の書き直しも含めて検討しています。 注意すべき点はありますか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

夫婦の遺言は注意が必要

夫婦で遺言を書くときは注意が必要です。
それぞれ別々の遺言を作成する必要があるのです。
なぜなら一緒の遺言で2人以上が作成してしまうと、書き直しや修正撤回の際に混乱を生じるからとされています。
この点はどの本にも書いてあるので知識としてご存知の方も多いかと思います。
次に注意が必要なのは、想定していた通りに相続が発生するとは限らないということです。
妻の方が長生きするはずであるとのことですが、実際のケースでは奥様の方が早逝されたこともあります。
交通事故で亡くなる場合もあるので、相続が発生する順番は想定できません。
したがって、相続する順番についてはわからないわけですから、条件付き遺言を作成することをお勧めします。
夫が先に亡くなった場合と、妻が先に亡くなった場合とで、相続の発生順に書き分けるのです。
1通の遺言の中で書き分けるので、夫婦で1通の遺言を書くこととは違います。
誤解が生じやすく混乱しがちなポイントです。
信託銀行が関与していたということで大丈夫かと思いましたが、
このケースでは夫が先に亡くなって相続が発生するパターンのみを想定していました。
専門家が関与していても条件付き遺言を作成することはそこまで多くないようです。
条件付き遺言はシミュレーションも2パターンを検討する必要があり、
手間がかかります。
遺言の構造自体も複雑になりやすく、4パターンが2通の遺言に入れ込まれることになります。
遺言を作成してから数年がたつと、意外にも当時、元気だった奥様の方が先に亡くなった。
当初想定していた順番通りの相続ではないので、相続税対策ができないということもありえます。
注意が必要です。
ちなみに信託銀行が提供する遺言信託サービスを他の専門家に乗り換えることはそこまで大変ではありません。
遺言保管コストを考えると、積極的に検討してもよいくらいです。

ここがポイント!

夫婦の遺言は条件付き遺言にする

シミュレーションが面倒だがパターンを分ける。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺言編]

2019-08-20[カテゴリー]:
【遺言があるのに不安定な立場】遺産分割調停・遺留分・遺言無効確認訴訟の連動
現在、遺言無効確認訴訟で争っています。 遺言内容は私がすべての財産を相続する者ですが、相続財産のほとんどが自宅で、 自宅の評価額次第では売却して代償金をねん出する必要があります。 遺言無効確認訴訟に先行して遺産分割調停が継続していたところ、遺産分割調停が取り下げられました。 その…[サブカテゴリー]:
2019-10-29[カテゴリー]:,
【金持ちの令嬢必見?】結婚前の相続対策【相続させない方法】
家業を営んでいます。1人娘が結婚するのですが正直、私たちの家の財産が目当てなのではないかと思えて仕方がありません。こんなことを言わずに、素直に喜ぶべきかと思うのですが、もともとお金に困っていそうな方なので、今後のことが心配です。この前も一緒に食事をした時には、うちの会社があたかも…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
遺言無効確認訴訟の勝訴見込【吟味すべき証拠】
父が亡くなり、遺産分割調停を母と兄が申し立ててきましたが、取り下げられました。 取り下げる際に、唐突に遺言の存在を明かされました。 自筆証書遺言で、不動産について母に相続させるというものです。 筆跡は確かに父のもののように見えるのですが、おぼつかない筆跡です。 主治医は自分で判断…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
【遺言者本人の意向確認】遺言無効確認訴訟を検討したい
父が亡くなり、兄と相続でもめています。 父の遺言が見つかったのですが、生前に聞いていた父の意向とは大きくかけ離れています。 不動産を私に相続させると言っていたにもかかわらず、実際には遺言で兄が相続することになっています。 また相続財産のほとんどを兄が相続する内容の遺言になっていま…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
認知症の祖父との贈与契約
認知症の祖父との間で贈与契約を締結しました。 その後まもなく祖父は亡くなり、相続が発生しています。 祖父が亡くなったことで相続人となったおじが、祖父との間で交わした贈与契約の有効性を問題にしています。 遺言の有効性が問題になることはよくありますが、贈与契約も問題になるのでしょうか…[サブカテゴリー]:

参考にしたい相続関連記事

2019-08-19
2.相続財産のほとんどが不動産の理由
2.相続財産のほとんどが不動産の理由相続における不動産の重要性 人生で一番高い買い物 多くの人にとって不動産が一生で一番高い買い物であるのは間違いありません。…
2019-05-22
【どこに住み替えるかも相続税節税のポイントに】相続税申告において小規模宅地等の特…
不動産相続において小規模宅地等の特例のメリットを最大限引き出す 宅地の相続税評価額を最大80%も減額できる「小規模宅地等の特例」。この特例のメリットを最大限の引き出すことは相続税対策の肝に…
2019-08-12
甘くない親子の対立【赤福】
消費期限偽装事件のダメージを克服したが お餅を濃厚なこしあんで包んだ「赤福餅」で有名な三重県伊勢市の和菓子の老舗「株式会社赤福」。社長として店を切り盛りした濱田ます氏をモデルとしたテレビド…
2019-08-19
相続人の中に未成年者がいる場合 -遺産分割の問題
相続人の中に未成年者がいる場合遺産分割の問題 法律行為一般において、未成年の行う法律行為は親権者の同意が必要とされています。 遺産分割協議も法定代理人の同意が必要な行為ですが…
2019-08-19
寄与分、特別受益など -よくある質問 遺言Q&A
寄与分、特別受益などの遺言・相続についてよくある質問 遺言Q&A 遺言とはなんですか? 遺言とは、法律で定められた事項(法定遺言事項)について、法律で…
2019-03-31
【プラスアルファでかかる税金に注意が必要】相続時精算課税制度の注意点
相続のときより不利になることも 2500万円まで非課税の相続時精算課税制度を使って土地を贈与する場合、注意しなければいけないのは、不動産取得税と免許登録税はかかるということ。しかも、相続の…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。