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具体的な調査方法相続財産の確定

不動産

相続財産の中で不動産は大きな割合を占めることが多いようです。不動産は共同相続人間で分けることが難しく、分割で価値が下がることもあるので、相続争いの中心課題になることも多いといわれます。

まず、被相続人の所有する不動産の存否について確認をします。不動産について、登記簿上の地番や家屋番号が分かっているときは直ちに登記簿謄本を取り寄せます。登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局で誰でも申請することができますし、所定の登記印紙を貼付して申請すれば郵送でも可能です。

相続財産の中に不動産があるらしいことが分かっていても、実際に不動産が被相続人の名義であるのか分からないというようなケースもあります。このような場合は当該不動産が存在すると見られる市区町村の資産税課(東京の場合には都税事務所)に申請をして不動産の名寄帳(自治体によっては「土地家屋課税台帳」や「固定資産課税台帳」などと呼ばれるもの)を取り寄せることによって判明することがあります。名寄帳というのは、当該地方自治体の範囲内にある不動産についての所有者ごとの一覧表であり、未登記建物でも固定資産税の評価を受けているものまで記載されています。

次に、特別受益の対象となった不動産の存否も調査をします。特別受益の持戻しは期限の制限がありませんので、古い贈与についても持ち戻すことが可能です。どのあたりの土地かは分かっていても登記簿上の地番等が不明なので調査できないというケースがある場合は、法務局で該当箇所の住宅地図と公図とを対比して地番等を知り、登記簿を閲覧して確認をしてみます。被相続人の所有地の隣接地にこのような問題がありそうであれば、分筆の状況などをも参考にして調査します。

不動産登記簿謄本(登記事項証明書)の取り寄せ方

不動産(土地や家屋など)の所有者の確認や、不動産の情報(所在、地目、面積、構造等)は不動産登記簿謄本(登記事項証明書)で確認します。登記事項証明書は、その不動産の所在する地域を管轄する法務局に申請書を提出して交付を受けることができます。

申請書には、申請人氏名・住所を記載し、交付を受ける証明書の土地または建物についての所在地、地番、家屋番号等を記載し、交付手数料の登記印紙を貼付します。交付手数料は、証明書1通につき700円(1通の枚数が10枚を超えるときは、その超える枚数5枚ごとに200円を加算)です。郵送でも取り寄せることは可能で、申請書、交付手数料(登記印紙)と返信用郵送料と同封すれば取り寄せが可能です。

なお、コンピュータ化に伴い、不動産の所在に関係なく最寄りの法務局で入手可能な場合もありますので、法務局に確認してから行いましょう。

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預貯金等

被相続人名義の預貯金については、通帳、証書、キャッシュカード等により取引金融機関を確認し、各金融機関から被相続人の死亡日の残高証明書を取り寄せて調査することになります。手元に通帳やカードがなく、種目、口座番号などが分からない場合は、金融機関名と支店名の情報があれば、残高証明書の交付を請求してみます。

また金銭消費貸借契約書や請求書などを確認して被相続人の借入についても調査しましょう。借入金がある場合は、その残高証明書も入手します。

預貯金に関して遺産分割事件の中でよく問題となるのは、被相続人の死亡前に一部の相続人が預貯金を引き出したり、解約したりするケースです。このような疑いがある場合には、相続開始前数年間の当該預金の出入金状況に関し、金融機関に対し取引明細表を請求する必要もあります。

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株式・有価証券

債券、証券についても預貯金等と同様の証明書により調査します。株券、配当金支払報告書、預金に振り込まれている配当金、証券会社からの売買報告書を資料に、銘柄と株数を確認します。保護預かりを依頼している場合は、その証券報告書を資料に、銘柄と株数を確認し、残高証明書の発行を依頼します。上場株式以外の株式は、株式の有無を確認した上で、被相続人の生前の勤務会社や関係会社に問い合わせる必要があるでしょう。

新会社法施行後は株券不発行が原則となり、株主名簿の記載で株主が決まりますので(株券発行会社は別)、株式の発行会社での名義人の確認が重要となります。被相続人の株でなければ相続財産にはならず、相続分割の対象にもなりません。もっとも、株券を誰かが保管していたとしても、被相続人の所有であることが明らかであれば相続財産となります。

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生命保険契約等

生命保険の有無については、保険証券、保険料支払証明書、生命保険料控除証明書のほか、所得税の確定申告の生命保険料控除欄などから調査することが可能です。加入保険の種類、内容を確認しましょう。

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