遺産の管理遺産分割の弁護士
遺産の管理遺産の管理
相続が開始すると、遺産分割により具体的な遺産の所有者が決まるまでの間、共同相続人はその相続分に応じて遺産を共有することになります。各共有者はその持分に応じて相続財産を使用することができ、その間遺産の管理を行うことになります。
遺産の管理としては、下記のような保存行為、管理行為、処分行為があげられます。遺産の保存行為は各人が単独で行うことができる行為であり、管理行為は持分の過半数で決することができ、売買等の処分行為は相続人全員の同意をもって行うことができます。
保存行為 | 相続不動産に対する相続を原因とする相続人全員を登記権利者とする保存登記又は移転登記を申請する行為 相続不動産について不真正な登記がある場合にその抹消を求めること 相続不動産の不法占有者に対する妨害排除請求 家屋の修繕 など |
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管理行為 | 建物明渡請求権の行使 詐欺による取消し 民法602条の期間を超えない賃貸借 借地借家法の適用のない賃貸借・使用貸借契約の解除 借地借家法の適用のある賃貸借契約の解除 など |
処分行為 | 民法602条の期間を超える賃貸借 借地借家法の適用のある賃貸借 共有者の一部が他の共有者の同意を得ないで物理的変更を施しているとき、他の共有者はその行為の禁止を求め、共有物の原状回復を求めること など |
承認または放棄する前
原則として相続人が遺産の管理を行いますが、相続人その他の利害関係人等の請求により家庭裁判所で相続財産管理人が選任されますと、その者が相続人に代わって遺産管理を行います。
承認または放棄した後
単純承認後は、遺産分割がなされるまでの間は、相続財産は共同相続人の「共有」になり、共有物の所有者である相続人は相続分に応じて相続財産を使用・収益する権利を取得することになります。ただし、共同相続人全員の一致により相続財産管理人を委任することもできます。相続財産管理人は相続人であっても構いません。
限定承認後は、相続人は自己の財産と同一の注意をもって遺産管理を継続しなければならないとされています。相続人が複数いる場合は、家庭裁判所が選任した財産管理人が財産の管理を行います。
相続放棄の場合は、放棄によって新たに相続人となった者が遺産の管理を始めることができるようになるまでの間は、放棄した者も引き続き自己の財産と同一の注意義務をもって管理を行います。
相続人による遺産管理
単純承認がなされた場合、共同相続人はその相続分に応じて遺産を共有することになります。各共有者はその持分に応じて相続財産を使用することができ、遺産の保存行為は各人が単独で行うことができます。また管理行為は持分の過半数で決することができ、売買等の処分行為は相続人全員の同意をもって行うことができます。
相続財産管理人による遺産管理
家庭裁判所により相続財産管理人が選任された場合、相続財産管理人は、不在者の財産管理人と同一の権利義務を有し、遺産目録の調整、保存、利用及び処分行為をなすことができます。これらの権限を越えて遺産管理に必要な行為をする場合には、家庭裁判所の許可が必要とされます。
遺言執行者による遺産管理
遺言等により遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が遺産の管理を行うことになります。遺産目録の調整、遺産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、遺産の管理にかかる権限は遺言執行者の専権となり、相続人の遺産に対する処分権限は喪失することになります。
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