一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?

一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:
一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?

一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?

相談者からの相談内容

実家の相続のことで相談です。 田舎から出てきて30年が経ちますが、父に続いて母が亡くなりました。 相続人は兄と私の2人ですが、兄が実家に立ち入らせてくれず、一方的に遺産分割協議書を作成して署名を要求してきました。 内容は私の取り分がごくわずかで、家屋敷や大部分の金融資産を兄が相続するというものです。 私は離婚経験があるのですが、「出戻り」とののしられ、1回家を出たという理由で家の財産は基本的に引き継ぐ立場にないことを強調されました。 実家は人口数万人の地方都市で男尊女卑の風習が強く残っていることもあって兄の様な考え方をする人間も珍しくなく、私が声を上げることで親せきなども敵に回してしまいそうです。 本当はお金にこだわりたくはないのですが、娘が私立の学校に通っておりこれからの大学進学も考えると、権利として主張できるものはもらいたいと思うに至りました。   ほかの弁護士さんに相談し、弁護士に相談済みであることを告げたうえで法的にもらうことのできる分を主張したところ、ごくわずかですが、兄が譲歩してきました。 ですが法的な取り分には程遠く、その弁護士さんは頼りが無いので戦ってくれる弁護士を探しています。   弁護士さんが代理人として入ることでどのように進められるかご相談に乗ってください。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

実家に立ち入りできないということですから、財産調査をする必要があります。亡くなったお母様の口座からでも、不正に現金が引き出されていることがありえます。

お兄様の交渉態度からして、早期に裁判手続きを利用する方がいいと思います。任意での交渉は書面で何往復までと決めておくべきでしょう。

話し合いで決着がつくようであれば一番良いのですが、弁護士の意見を突き付けられてもなお自分の主張をあまり変えない相手方には、余り長々と交渉をしても意味が無いことが多いようです。経験上、頑なな相手との交渉をご自身でやり切ろうと思われた方でも、何か月後かに、疲れ果てた様子で再度、事務所にいらっしゃいます。任意交渉を諦めて弁護士に依頼することを決断するまでに時間がかかることが、相続事件の特徴です。

交渉ごとは、最後の譲れないラインを一度決めたら、絶対にぶれないことが重要です。身内なので争いたくない気持ちは理解できるのですが、ダラダラと交渉を重ねることは意味がありません。

どこまでであれば妥協できるのか、真剣に検討することが重要です。

ここがポイント!

頑なな態度の相手方と交渉する場合には、交渉期限と最後の譲れないラインを設定して臨みましょう。期限内に話し合いがまとまらないようでしたら、早急に遺産分割調停を申し立てるべきです。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
相続税申告を相続人ごとにする不利益【遺産分割がまとまらない】
姉と私の2人が相続人になっている相続で、遺産分割協議が進行中ですがまとまりません。 相続税の申告義務が明らかにあるので、相続税の申告も必要になりますが、税理士もばらばらにつけているので、話し合いができません。 私の方で税理士を探すにしても、このままの状況ではバラバラに相続税申告を…[サブカテゴリー]:
2019-08-19[カテゴリー]:
想定外の相続人の登場に戸惑い、連絡すら取りづらい。
先日、父が亡くなりました。 銀行口座からお金を引き出そうと、要求された戸籍を取り寄せて提出したところ、家族のほかに相続人がいることがわかりました。 父は何と、養子をとっていたのです。 父の先妻の実子と養子縁組をしていたようですが、先妻と離婚後も養子の存在について…[サブカテゴリー]:
H家の事例:家系図参考になった!4
2019-08-20[カテゴリー]:
遺産分割調停中の法事
遺産分割調停の最中なのですが、遺産分割の本題以外の部分で問題が生じています。 父が亡くなり、後妻を相手に、前妻の子である私が遺産分割調停を申し立てています。 もともと遺産分割調停を申し立てる前から問題が多く、葬儀の時も家に立ち入らせてもらえなかったのです。 離婚したとはいえ、父は…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
【不動産の評価額】不動産を相続するしたほうが得?
遺産分割調停で不動産を取得する相続人を決めるためにもめています。 いったんは自宅を兄が相続することで決まったのですが、 遺産分割がまとまりそうだということで税理士の先生と打ち合わせをして相続税の申告書を作成シミュレーションを行っていたところ、 兄に有利な内容であることに気づきまし…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
遺言執行者に指名されている義兄主導で遺言執行が進む。財産はもらえるのか。
父の相続について、姉一家ともめています。 母は父よりも先に亡くなりましたので、相続人は姉と私の2人なのですが、義兄である姉の夫が、何かにつけ口を挟んできます。 というのも、父が亡くなって遺産分割の話を始めた際には見つかっていなかった遺言が、父の死後3カ月経って発見され…[サブカテゴリー]:
W家の事例:家系図参考になった!4

参考にしたい相続関連記事

2019-08-19
どのような財産に贈与税がかかるのか
どのような財産に贈与税がかかるのか 贈与税の課税対象になる財産は、相続と同じように、金銭に換算できる財産についてです。 また相続税にみなし相続財産があったように…
2019-07-15
Q7.名義財産の判断基準
財産を実質的に管理・支配していたのは誰か。特に故人が病床に臥せっていたり、認知症にり患したタイミングに注目する。同居を始めたタイミングも重要になる。 名義財産という概念がある …
2018-12-21
【会社経営者の相続では注意が必要】相続でどの財産を相続したら有利なのか(株式の相…
相続における非上場株式の評価方法 財産評価は各相続人の取得額に直結する重要な問題です。財産評価の視点から、どの財産を相続すれば有利なのかについて、株式の相続を例に詳しく見てみましょう。上場…
2019-03-31
【プラスアルファでかかる税金に注意が必要】相続時精算課税制度の注意点
相続のときより不利になることも 2500万円まで非課税の相続時精算課税制度を使って土地を贈与する場合、注意しなければいけないのは、不動産取得税と免許登録税はかかるということ。しかも、相続の…
2019-01-16
【遺産分割における養子の制限とは異なるので注意】相続税法上の養子のカウント制限
有効な養子縁組でも、相続税の控除は認められないことも 相続税の基礎控除を計算するにあたっては、養子のカウントに制限が課されています。実子がいる場合には、1人までしか基礎控除に加えることがで…
2017-10-28
遺産相続は突然やってくる
1 超高齢化社会で相続が多発します。 平成20年度版高齢化白書によると、日本が今後、高齢化社会の度合いを深めていく様子がみて取れます。高齢者の方が増えれば増えるほど、相続問題は身近な問題と…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。