家族内ドロボーと遺言無効はどう戦う?【優先的に主張すべきなのは】
[サブカテゴリ]:遺産分割
家族内ドロボーと遺言無効はどう戦う?【優先的に主張すべきなのは】
相談者からの相談内容
相続発生前に兄が亡父の預金から無断で引き出しをしていました。 相続開始後も預金の引き出した形跡があります。 無断引き出しを追及しようとしたところ、遺言があることが判明しました。 遺言の内容は兄に一方的に有利な内容で、全ての財産を兄が相続するというものです。 遺言作成当時は父が認知症にかかっていたはずで、遺言も兄が主導して書かせたものに違いありません。 納得がいかないので、遺言無効確認訴訟を起こすことを検討しています。 ただし相続財産を勝手に使い込んだ家族内ドロボーも追及したいと思います。 裁判としてはどのように戦ったらよいのでしょうか。 遺言の有効性が前提となるのでしょうか。 それとも遺産の範囲を確認する訴訟を先行させるべきなのでしょうか。- 弁護士からの
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相続裁判は多重構造になることが多い
遺言無効確認訴訟も遺産の範囲確認訴訟も、どちらも遺産分割の前提問題とされるものです。
遺産分割調停を起こす場合に、遺言無効が問題とされていたり、遺産の範囲が問題とされていると、
遺産分割調停の本題に入ることができず、別の裁判手続きを利用して前提問題を解決してからの遺産分割になります。
遺産分割の話し合いをする前提の問題ということで、前提問題といわれています。
具体的には遺言無効確認、遺産の範囲確認、相続人の範囲確認が例としてあります。
理論的には前提問題を解決しないと、遺産分割の中身には入れないはずですが、
実際に遺言の有効性が問題になるケースであっても、遺言無効確認訴訟を起こさずに遺産分割調停を申し立てることもあります。
遺産分割調停の中で遺言無効を正面から論じることは出来ないはずですが、
遺言の有効性がどうも怪しいのだが、あえて問題にせずに遺産分割調停を進めるという判断もあり得ます。
というのも、遺言無効確認訴訟などの前提問題を正面から訴訟で争うと、時間が長くかかります。
1年以上は覚悟しておいた方がよいでしょう。
中には何年も遺産分割訴訟が続くこともあります。
精神的な疲弊や家族間での争い、相続人の年齢によっては2次相続が発生して紛争が次世代に持ち越される恐れがあること等を踏まえて、
相続の前提問題をあえて問題とせずに遺産分割調停を進めることもあるのです。
遺産の範囲を確認する訴訟は、まさに前提問題なので、本来は遺産分割調停を先行するべきなのでしょうが、
政策的に遺産分割調停を先行させて納得のいく結論が出るようであれば遺産分割調停の中で実質的に議論をすることもあり得るでしょう。
遺言無効確認と異なり、遺産の範囲確認訴訟については、特別受益や寄与分の話になることもあり得なくはないので、
同じお金の話であれば遺産分割調停で一括して解決するということもあり得ます。
事実関係にもよりますが、不当利得返還請求で各相続人を相手に訴訟を起こすこともあり得ます。
各相続人が不当に利得を直接に得たとして、裁判を起こすのです。
遺産分割調停と同時に訴訟追行ができるので、時間を節約することは出来ます。
ここがポイント!
遺産の範囲確認訴訟ならば別の手段での解決を検討
遺言無効確認訴訟はともかく、遺産の範囲確認訴訟は前提問題回避を検討。
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