遺言無効確認訴訟の勝訴見込【吟味すべき証拠】
[投稿日]:2019-08-20 [投稿者]:
[サブカテゴリ]:遺言
[サブカテゴリ]:遺言
遺言無効確認訴訟の勝訴見込【吟味すべき証拠】
相談者からの相談内容
父が亡くなり、遺産分割調停を母と兄が申し立ててきましたが、取り下げられました。 取り下げる際に、唐突に遺言の存在を明かされました。 自筆証書遺言で、不動産について母に相続させるというものです。 筆跡は確かに父のもののように見えるのですが、おぼつかない筆跡です。 主治医は自分で判断できた状態ではないだろうと言っています。 水頭症を患っている認知症で、長谷川認知症テストでは遺言作成の1年前で17点。 遺言作成1月前でMMSEで16点。 自分が市役所にいるような言動を入院先の病院でしていました。 短期記憶も問題があるとのことでした。 遺言無効確認訴訟の提起を検討していますが、できればある程度の勝訴見込を検討してから考えたいと思っています。 相談している弁護士によると、遺言無効確認訴訟を提起している過程で、被告が折れてくる可能性もあるので和解で終わることも見越した遺言無効確認訴訟の提起もあり得るとのことです。 ただ兄と母の性格からして、なかなか妥協はしないだろうと思っています。 どの程度の資料を検討すれば、遺言無効確認訴訟の見通しが立つでしょうか。- 弁護士からの
一言アドバイス - 「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
- 今すぐ弁護士度
- 簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
- 解決難易度
遺言無効確認訴訟の勝訴見込は図りずらい
遺言無効確認訴訟はそもそも勝ちづらいというのが一般認識です。
本件の場合は自筆証書遺言とのことですが、公正証書遺言の場合はなおさらです。
ただし近年、公正証書遺言でも遺言無効となるケースもあり、状況が流動的です。
認知症テストや公正証書遺言であるという一事だけではなく、細かな非類型的な事情を総合考慮したうえでの判断という要素が強くなってきました。
公正証書遺言についてもむしろ自筆証書遺言の方が、筆跡などの要素から遺言作成者の真意に基づくかどうかを正確に判断できると考えることも可能です。
自筆証書遺言か公正証書遺言かでどちらが無効となりにくいかは、状況や遺言の状態、内容等によって相対的に変わってきます。
証拠としては認知症テストが重要です。
また手紙や日記などの継続的に作成した遺言者本人の手記も影響を与えます。
カルテももちろんですし、医師の診断書、陳述書なども重要になります。
自治体の介護認定調査票も確認しておきたいところです。
弁護士の先生が言われているように、遺言無効確認訴訟の中での和解も1つの考え方です。
しかし弁護士の中には遺言無効確認訴訟は勝てないのだから妥協する必要はないと考える方が多いと思います。
そうなるとどれだけの妥協を引き出せるかは未知数です。
裁判官の和解勧告もどこまであるかわかりません。
一般的には遺言無効確認訴訟で負けてしまうと、その後に遺留分の裁判が待っています。
遺産分割調停もあり得るでしょう。
長くなってしまうので、その覚悟は必要になります。
疲弊を避けて短期決戦ということであれば、遺言無効確認訴訟を起こすかどうかを慎重に検討してもよいと思います。
ここがポイント!
遺言無効確認訴訟を起こす前の検討
介護認定調査票や診断書、認知症テスト、遺言者本人の手記など。
この記事が参考になった方はクリック!