【不動産の評価額】不動産を相続するしたほうが得?

【不動産の評価額】不動産を相続するしたほうが得?

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

【不動産の評価額】不動産を相続するしたほうが得?

相談者からの相談内容

遺産分割調停で不動産を取得する相続人を決めるためにもめています。 いったんは自宅を兄が相続することで決まったのですが、 遺産分割がまとまりそうだということで税理士の先生と打ち合わせをして相続税の申告書を作成シミュレーションを行っていたところ、 兄に有利な内容であることに気づきました。 うちの相続は相続税がかかってしまうのですが、 不動産については小規模宅地等の特例があったり、 評価額において金融資産に比べて有利になっているので、 不動産を相続した相続人が他の相続人に比べて相続税を納める額が低くすみます。 それを知ってか知らずか、兄は自分の有利なように遺産分割調停をまとめようとしていたことが分かりました。 私はいったんまとまりかけた遺産分割調停を、もう一回、白紙から検討したいと思っています。 不動産をもらう相続人が相続税で有利に扱われるのであれば、私が不動産を相続したいくらいです。 本来であれば、相続税の負担を含めてトータルで損得がないように遺産分割を行うべきであると考えます。 私の主張は通りますか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

不動産をもらう相続人が得するのは通常

ご指摘の通り、不動産を相続する相続人は一般的に、不動産を相続しない相続人に比べて支払う相続税が安くなります。
もともと相続財産は時価評価とされていますが、この時価について土地は路線価価格で評価します。
小規模宅地等の特例など、特例を利用することでさらに相続税で有利になりますから、
マンションの場合は、特に時価と相続税評価額との差が大きくなるので、マンションを相続した相続人は有利です。
納税額で比べてしまうとかなりの差が出ます。
ただしこのことに気づくのは、遺産分割がまとまって相続税の申告をする際に初めてというパターンが多いのです。
というのも、遺産分割調停を担当する弁護士は、相続税についてあまり気にしていない。
というよりも相続税については立ち入らないし、よくわからないので、アドバイスもしません。
弁護士マターである遺産分割と粛々と進めて、相続税については税理士にバトンタッチすることが多いのです。
相続税申告は一般に、相続人同士の数字を合わせて申告しますから、共同相続人の申告額もわかるのです。
初めて不公平に気づいても、遺産分割調停はまとまっていますから今更やり直しということにはいかないのです。
今回のケースは、遺産分割調停の最中に税理士に相続税のことを相談していたために、不動産における遺産分割と相続税の評価額の差について気づいてしまった。
そこでいったん決まりかけた遺産分割調停の案がこじれているのです。
相続税については税務当局との関係の話ですから、私人である相続人間同士の遺産分割での尺度と異なっていても、直ちにそのことを理由にして遺産分割調停で主張できるわけではありません。
また遺産分割において不動産を相続するのは、もともと住んでいる相続人が相続するなど、合理的な理由によって決まることが多いのです。
小規模宅地等の特例も、同居などの条件を満たす相続人が相続するからこそ適用が認められる属人的な恩恵です。
相続税が安くなるのは結果論であって、あくまでも遺産分割の場では相続税の額を気にせずに分け方を決めるというのがそもそもの考え方なのでしょう。
ただし相続税額をシミュレーションしたうえで交渉材料として利用し、相続税を含めた差し引きではこれだけの負担額であるなどの主張を細かく出すことで、ネットでの取り分を合理的に主張できます。
問題は相手方の弁護士や調停委員が、相続税まで含めた計算額を検証してもらえるかどうかです。
また相続後に売却する場合は、譲渡所得税などの負担も生じるので、不動産を相続する相続人が必ずしも得をすることばかりではありません。

ここがポイント!

相続税の計算を交渉材料にする

相続税額を交渉材料にする。
譲渡所得税には注意。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
多額の財産を独り占めし、一方的に100万円で片づけようとする長女。
母の相続のことで、3人姉妹でもめています。 長女と三女が結託して、私を遺産分割の話し合いから排除しようとします。 10年前に父が他界し、その後は実家で長女が母と同居していました。三女は結婚後も実家近くに住み、何かにつけ両親に甘えていたようです。私は地方に嫁ぎましたので…[サブカテゴリー]:
T家の事例:家系図参考になった!7
2019-08-20[カテゴリー]:
亡き母の土地を無償で借りてきた妹が、土地の評価をめぐって図々しい主張をしている。
母の相続について相談したいです。 妹夫婦は母の土地に家を建て、30年間母とその家で同居してきました。 家は妹と義弟の共有名義になっていると聞いています。 妹夫婦は母に地代を支払っておらず、母も妹夫婦に家賃を支払っていなかったそうです。 昨年母が亡くなりました。 相続…[サブカテゴリー]:
N家の事例:家系図参考になった!5
2019-08-19[カテゴリー]:
想定外の相続人の登場に戸惑い、連絡すら取りづらい。
先日、父が亡くなりました。 銀行口座からお金を引き出そうと、要求された戸籍を取り寄せて提出したところ、家族のほかに相続人がいることがわかりました。 父は何と、養子をとっていたのです。 父の先妻の実子と養子縁組をしていたようですが、先妻と離婚後も養子の存在について…[サブカテゴリー]:
H家の事例:家系図参考になった!4
2019-08-20[カテゴリー]:
父を代襲して相続したが、叔父を相手にした遺産分割調停が膠着状態に。
先日、祖母が亡くなりました。 相続人は叔父と父なのですが、父がだいぶ前に亡くなっているので、父を代襲して私たち姉妹が叔父と遺産分割について話し合いを始めました。 叔父とは昔からそりが合わず、顔を合わせてもあまり話すことが無かったのですが、今回の相続をきっかけにますます…[サブカテゴリー]:
K家の事例:家系図参考になった!3
2019-08-20[カテゴリー]:
相続税申告を相続人ごとにする不利益【遺産分割がまとまらない】
姉と私の2人が相続人になっている相続で、遺産分割協議が進行中ですがまとまりません。 相続税の申告義務が明らかにあるので、相続税の申告も必要になりますが、税理士もばらばらにつけているので、話し合いができません。 私の方で税理士を探すにしても、このままの状況ではバラバラに相続税申告を…[サブカテゴリー]:

参考にしたい相続関連記事

2020-01-19
Q50.遺言無効確認の証拠は
診断書・長谷川式スケール・画像診断・公証人の証言 遺言無効確認の裁判をするにあたって証拠が非常に重要となる 証拠がしっかり揃っているのかどうなのかということを一番最初に吟味す…
2019-06-23
【相続税を納付すれば終わりというわけではない】相続財産を売却した譲渡所得にかかっ…
相続財産に対して発生する税金は相続税だけではない 土地や建物を売却して得た所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得に対しては給与所得や事業所得といった所得とは別に分離して(分離課税方式)、所…
2019-08-19
遺言無効確認訴訟
弁護士が教える不当な遺言が作成される実態遺言無効確認訴訟 「モメないための遺言を作成しましょう。」 よく言われますが、遺言がモメないための道具として悪用する不逞の輩がい…
2019-10-27
「花柳流」を巡る血みどろの戦い【日舞花柳流】
後継者の指名や遺言はなく混乱 日本舞踊の流派の一つで、日本最大流派ともいわれる花柳流。花柳流宗家の家元は代々、名跡「花柳壽輔」を襲名する。3世家元、3代目花柳壽輔(花柳若葉)氏には実子がい…
2018-08-23
【相続だけではない海外資産の問題】預金口座解約・生命保険解約など
国際相続におけるプロベートなどの問題 相続において海外資産があると手続きが複雑化する。英米法系におけるプロベート手続きは裁判所における手続きを要求する。海外資産の解約払い戻し手続きについて…
2019-08-19
限定承認、相続放棄について -よくある質問 遺産分割Q&A
相続するかどうか(単純承認・相続放棄・限定承認)よくある質問 遺言Q&A 相続する場合はどのような手続が必要ですか? 限定承認や相続放棄をしないで、相続人が被相続人の…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。