現物分割 -遺産分割の方法遺産分割の弁護士
現物分割遺産分割の方法
現物分割とは、遺産をあるがままの姿で分割する方法で、分割の原則的方法です。
例えば、「甲にはA土地を、乙にはB土地を、丙にはC土地を取得させる。」というように、それぞれの財産を、その形態を変えることなくそのまま各共同相続人に配分する方法です。
遺産の分割とは、相続財産全体に対する共同相続人の共有状態を解消する手続きですから、それぞれの財産について、その取得者を別個に決定する現物分割は、基本的な分割方法といえます。相続実務では、ほとんどが現物分割により行われていて、実際の調停や審判では、約7割が現物分割で終了しているとも言われています。
現物分割の注意点
現物分割の場合には、遺産の評価が重要なポイントとなります。現金や預金のように、金額が明らかなものは特に問題ありませんが、不動産や骨董品、美術品等の高価な動産類などについて、相続人間で評価に合意が得られなければ、不動産鑑定士などの専門家に鑑定を依頼する場合もあります。もっとも、実際の分割に際しては具体的相続分と完全に一致する分割はほとんどなく、各相続人の相続分と異なる分割結果が生ずることになりやすいですが、相続人全員が同意すれば成立しますので、この点は問題にはなりません。
場合によっては金銭による調整など後述の代償分割の要素を含むことになります。
一部分割を行う場合
現物分割では、一度に遺産の全てについて取得者を確定するのが原則です。しかし相続人間での協議がなかなかまとまらず、とりあえず一部の財産について現物分割を行い、残りの財産は後日に改めて協議を行うということもあり得ます。一部分割を行う場合は、後日のトラブルを避けるために、残りの財産についての分割の時期や一部分割とその後の分割との関係を明確にしておくことをお勧めします。
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