寄与分、特別受益など -よくある質問 遺言Q&A遺言の弁護士
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寄与分、特別受益などの遺言・相続についてよくある質問 遺言Q&A
遺言とはなんですか?
遺言とは、法律で定められた事項(法定遺言事項)について、法律で定められた方式で、遺言者が単独でする一方的な意思表示です。
遺言を作成したほうがよいのでしょうか?
遺言を残すことで、遺言者の思い通りに財産を分けることができます。誰に何を相続させたいか、自分の意思を伝えることができますし、相続人ではない人に対して財産を残すこともできます。
また、相続人の負担を軽減することができます。遺言がないと、相続人が全員そろって合意の上で遺産分割を行う必要がありますので、必要以上の時間と労力がかかることになります。
「遺言」と「遺書」は同じですか?
遺言とは、法定遺言事項について、法律で定められた方式に従って作成されたものだけを指します。一般的にいう遺言状や遺書、書き置き等と言われるものとは全く違います。
遺言の効力はいつから発生しますか?
遺言者の死亡時からです。
遺言者が生存している間は、遺言の効力は一切生じません。
遺言の自由とはなんですか?
遺言の自由には、1. 遺言をする、しないの自由、2. 遺産を処分する自由、があります。遺言の自由とは、遺言者の最終の自己決定意思を尊重し、遺言者の遺産相続、身分関係などの法律関係を遺言者自身の意思決定にゆだねるものです。
遺言者は、いつでも自由な意思に従って遺言をし、これを変更・取消ができます。
だれでも遺言を作成することができるのでしょうか?
満15歳に達した人は、遺言を作成することができます。ただし、遺言を作成するには意思能力が必要です。
遺言で実現できることは?
遺言で実現できることは、法定遺言事項に限定されています。
法定遺言事項には、相続人の廃除や相続分の指定、遺産分割の禁止、特別受益の持戻し免除、認知、遺言執行者の指定などがあります。
法律で定められている事項以外、たとえば、希望、事実、訓戒等を付言事項に記載しても法的効力はありませんので、遺言者の意思を尊重するもしないも相続人次第となります。もっとも、公序良俗に反することは付言事項であっても、当然に無効となります。
遺言により遺産をもらえる人はだれですか?
胎児を含む(自然)人はもちろん、会社や自治体などの法人であっても遺産を受けとることができます。外国人であっても問題ありません。
詐欺・強迫によって遺贈に関する遺言を作成させたり、取り消させたり、変更させたりなどした場合には、遺産を受けとることができません。
遺言にはどのような方式がありますか?
遺言の方式は、法律で決まっています。普通方式と特別方式があり、普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
特別方式には、病気などで死亡の危急に迫った人がする遺言、伝染病で隔離されている人がする遺言、船舶中にある人がする遺言および船舶遭難に遭い船中で死亡の危急に迫った人がする遺言などがあります。
相続とはなんですか?
ある人が死亡した時に、「死亡」という事実を理由として、その人の財産に属した権利義務や地位を法律で定められた人が承継することをいいます。
死亡した者を「被相続人」、承継する人を「相続人」といいます。
誰が相続人になるのか教えて下さい。
誰が相続人になるのかは民法で決まっています。
被相続人が死亡した場合における民法で定められた承継人のことを法定相続人といいます。
法定相続人となる第1順位は被相続人の子、第2順位は相続人の直系尊属(父母など)、第3順位は被相続人の兄弟姉妹です。
被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、内縁の妻には相続人の資格はありません。
被相続人の子が被相続人より先に死亡したときなどは、被相続人の子の子(被相続人の孫)が子に代わって相続人となります。
法定相続分とはなんですか?
法定相続分とは、遺言で相続分の指定がない場合に、法定相続人が受け取ることができる財産の割合のことです。法定相続分は相続人の組み合わせによって変わってきます。
相続人が配偶者と子の場合はそれぞれ2分の1、相続人が配偶者と直系尊属の場合は配偶者が3分の2で直系尊属が3分の1、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合には配偶者が4分の3で兄弟姉妹が4分の1です。
認知されていれば、相続権があるのでしょうか?
婚姻関係のない男女から生まれてきた子は非嫡出子となります。認知をされていれば、嫡出子と同じく、相続権が発生し、法定相続分も同じになります。
特別受益者とはなんですか?
特別受益者とは、被相続人から遺贈を受けたり、相続開始前に被相続人から結婚、大学入学などの際に贈与を受けたりして、特別に利益を受けた相続人のことです。
寄与分とはなんですか?
寄与分とは、被相続人の生前に、その財産の維持または増加に特別の寄与貢献をした相続人に与えられるものです。
寄与分が認められた相続人は、相続分に加えて寄与分を受け取ることになります。
寄与分が認められるのは相続人だけです。これは、相続人以外の者も含めると、相続人以外の者が遺産分割の話し合いに加わることになり、話し合いが複雑になるためです。
30年間義母の介護を見てきた嫁に寄与分は認められますか?
寄与分は相続人だけに認められた権利です。
お嫁さんには寄与分はありませんが、夫の相続分について考慮がなされて夫の相続分が増える余地はあります。
相続放棄とはなんですか?
相続放棄とは、被相続人の財産の一切を受け取らないことをいい、相続放棄によって初めから相続人ではなかったことになります。
相続放棄は必ず家庭裁判所への申述で行います。
相続開始前にした相続放棄を取消すことはできますか?
生前に相続放棄はできませんので、取消すどころか、生前になされた相続放棄は有効ではありません。
生前に相続放棄の意思表示をしていても、相続開始後に相続人としての権利を主張することは可能です。
相続放棄はどのように行いますか?
相続があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に対する申述という方式によって行います。
この手続によらなければ、相続放棄は法的な効果が生じません。何もしないで3カ月が過ぎると相続を承認したことになります。
相続放棄の手続をする前後に、財産の全部または一部を使ったり隠したり財産の処分を行うと、自動的に承認をしたことになり、相続放棄ができなくなります。これを法定単純承認といいます。
事実上の相続放棄とはなんですか?
法的な手続きを行わずに、相続財産の取得を放棄したのと同じ効果をねらうものです。
具体的には、遺産分割協議に加わっても相続する財産をゼロとする方法や、生前に特別受益としての贈与を受けているため相続分がない旨を証明する書面(相続分皆無証明書など)を作成する方法などがあります。
ただし、事実上の放棄は、正式な相続放棄にはあたりませんので、相続放棄と全く同じ効果を期待できるものではありません。例えば、相続財産に借金などがある場合、債権者から弁済を請求されれば、法定相続分の債務を負担する義務が生じます。
相続財産とはなんですか?
遺産ともいいます。相続財産とは、被相続人の残した財産のすべてをいい、不動産や預貯金などのプラスの財産のほか、借金などのマイナスの財産も含みます。
扶養請求権、身元保証債務などの一身専属的な権利義務は相続財産には含まれません。
葬式費用は相続財産に含まれますか?
葬式費用は相続開始後に被相続人以外の者が負担する費用で、相続財産には含まれません。
死亡退職金は相続財産に含まれますか?
死亡退職金は、支給規定の有無や内容により、相続財産にあたるかどうかが決まりますが、一般的には、死亡退職金は、受給権者に固有の権利として与えられるものですので、相続財産にあたりません。
生命保険は相続財産に含まれますか?
生命保険が相続財産にあたるかどうかは、受取人が誰に指定されているかによります。
被相続人が自分自身を受取人とした場合は、その保険契約上の権利は被相続人の財産です。保険金請求権は相続財産となり、遺産分割の対象になります。保険金が支払われた場合は、現金が対象となります。
特定の誰かを受取人に指定した場合は、受取人の固有の権利となりますので、相続財産になりません。
受取人を「相続人」と指定した場合は、相続財産ではありません。法定相続分に従って各相続人が保険金請求権を原始的に取得することになります。
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