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2. 公正証書遺言 -3つの遺言方式遺言の弁護士

2. 公正証書遺言3つの遺言方式

確実な遺言を行いたい人には公正証書遺言をお勧めします。公証人が作成しますので、自分で筆記する必要がありません。公証人が、要件をきちんと確認しつつ作成してくれますので自筆証書遺言のように不備によって無効となる危険性がありません。
公正証書遺言以外では相続の開始後に遅滞なく家庭裁判所に検印を請求する必要がありますが、公正証書遺言は検認の必要がありません。証人2人の立会いの下、公証人によって遺言者の意思を確認しながら作成されることから、遺言の効力が問題となる可能性も少ないからです。家庭裁判所の検認が不要なので、相続発生後すぐに相続手続きに入ることができます。

メリット3つの遺言方式

  • 要件不備の不安がなく、確実な遺言をおこなえること
  • 第三者によって変造・偽造される可能性が低いこと
  • 遺言書の検認手続が不要なこと
  • 字が書けない人も利用できること など

デメリット3つの遺言方式

公証役場の手数料および証人依頼代などの費用が必要なこと
遺言の存否および内容が第三者(公証人・証人)に知られてしまうこと

公正証書遺言を作成するにあたって3つの遺言方式

公証役場へ行く前に遺言の原案を作成すること

公正証書遺言は公証役場の公証人が作成します。公証人とは「当事者その他の関係人の嘱託に応じ、民事に関する公正証書を作成し、私署証書の認証を与える権限を有する公務員」です。公証役場の公務員といえば国から給与等の支払いを受けているように思えますが、法律に定められた手数料制を採用するという特別の身分を持っています。
公証役場に電話をすると、公証人が電話口に出て、親切丁寧に対応してくれますし、直接公証役場に出向いても丁寧に相談に応じてくれます。公証人は、遺言者の話をじっくり聞いて、希望に沿った公正証書遺言を作ってくれます。だからといって何も決めずに、相談に行くのは問題です。作成する遺言の大略は遺言者自身で決めておく必要があります。詳細な点については公証人と相談しながら決めるということでも構わないのですが、主要な点は必ず事前に決めておきます。遺言書を作成してくれるのは公証人ですが、遺言はあなた自身の想いの実現であることを忘れてはいけません。なお、公証人は遺言内容の実現には関知しません。どうすれば確実に遺言内容が実現できるか、どうすれば遺言の書き直しが必要でなくなるかなどについてまでは、公証人が提案することはありません。
そういったことを考えると、遺言の大略だけでなく詳細な原案を作成しておくことが望ましいといえます。あなたの希望に沿った文例を参考に原案を作成してみましょう。なお複雑な遺言や確実な遺言をお考えの方は、弁護士などの法律専門家に相談することをお勧めします。法律専門家に相談して、希望に沿った遺言の原案を作成の上、それをもとに公正証書遺言を作るという手順を踏んだ方が、間違いのない遺言が作成できるでしょう。

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口や耳がきけなくても、字が書けなくても

公正証書遺言は、証人2人の立会いのもとで遺言者の口授に基づいて遺言の趣旨を公証人が了知し、作成されます。口授とは、遺言の内容を遺言者が公証人に直接に口頭で伝えることです。公正証書遺言で口授が要求されているのは、遺言意思の真正さを担保するためで、口授のない公正証書遺言は方式を欠くという理由で無効にされてきました。しかしその結果、口授できない者、つまり口がきけない者を廃除する結果となったため、1999年の民法改正で、口が聞けない者は、通訳人の通訳か自書で口授に代えることができるようになりました。
次に、公正証書の記載内容は、遺言者及び証人に読み聞かせますが、確認方法を閲覧に変えることも、通訳人の通訳によって遺言者に伝えることで、読み聞かせに変えることもできます。よって、耳が聞こえない人でも公正証書遺言を利用できます。
最後に、間違いのないことを承認したところで、遺言者、証人が各自署名・押印します。病気等で遺言者が署名できないときは、公証人がその旨を付記して署名に代えることもできます。公正証書遺言は遺言者が自筆する必要がなく、自筆証書遺言や秘密証書遺言と異なり、まったく字が書けない人でも遺言書を作成することができます。

必要な書類を準備する

公正証書を作成する際に、いくつか書類を準備しなくてはいけません。まず遺言者が本人であるか否かを証明する書面として、印鑑証明書が必要となります。公正証書は強制執行も認められるものですので、本人確認は慎重に行われます。次に、公正証書の正確を期する意味で関係者の戸籍謄本や、不動産がある場合は登記簿謄本、などを必ず用意する必要があります。また証人となる者の住所、氏名、生年月日、職業、遺言者との関係などを確認されますので、前もってメモにしておくとよいでしょう。公証人の手数料の算出のため不動産についての評価証明書の提出や預貯金の概算金額などを求められる場合がありますので、合わせて準備しておきましょう。
公正証書遺言作成のために必要な書類等は以下のとおりです。遺言の内容やケースによって下記以外にも必要な書類が考えられますし、公証役場によっては必要ない書類もありますので、事前に必ず公証人に確認してからそろえましょう。

必要な書類等
  • 遺言者の印鑑証明書(3カ月以内のもの)
  • 財産を受け取る人が相続人の場合は、遺言者と続柄がわかる戸籍謄本
  • 財産を受け取る人がその他(受遺者など)の場合は、その者の住民票の写し
  • 不動産がある場合は、その登記簿謄本及び固定資産評価証明書など
  • 貯金などがある場合は、預金先・口座番号・種類・概算金額などを書いたメモ
  • 証人2人の住所・氏名・生年月日・職業などを書いたメモ
  • 遺言執行者を指定する場合は、その者の住民票の写し
  • 遺言書の原案
当日に必要なもの
  • 遺言者の実印・印鑑証明書(3カ月以内のもの)
  • 証人2人(証人資格あり)の同行および印鑑(認印でも構わない)
  • 公証人の手数料
  • 証人の依頼代

証人を2人用意すること

公正証書遺言には、証人2人の立ち合いが必要です。そこで事前に証人をお願いする2人を決める必要があります。ただし、誰もが無条件でなれるわけではありません。以下の場合は証人欠格事由(民法974条)となりますので、証人になることができません。
また、知人や親戚に証人を依頼すると、証人から遺言の内容が、相続人に漏れる危険性があります。無用なトラブルを避けるために証人は、弁護士などの法律専門家に依頼しましょう。弁護士などには守秘義務がありますので、遺言の内容が他に漏れることはありません。事実上遺言の内容の秘匿も可能となります。 なお、証人を依頼する場合は依頼代を支払うのが一般的です。

証人にはなれない人
  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者
  • 推定相続人・受遺者の配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者・4親等内の親族・書記・従業員

公正証書遺言の保管

せっかくの遺言も見つからなくては意味がありません。
遺言は内容によって、得をする推定相続人や損をする推定相続人が出てきます。相続人以外の者に遺贈をする内容になっていることもあり、遺言の存在自体や遺言の内容は非常にデリケートなものです。遺言書の保管は、発見されやすいところに置くと、見つけられて破棄される危険があります。そこで、遺言は遺言者の生前に他人の目に触れないところに保管をする必要があります。反面、遺言は見つからなくても意味がありません。
遺言書を確実に見つけてもらうには、遺言書の存在を信頼のおける人に保管場所とともに伝えておき、死後に相続人や遺贈をした人などに報告するように依頼します。たとえば銀行の貸金庫は安全面ではよい保管場所ではありますが、貸金庫の開扉は相続人全員で行いますので、開扉に時間がかかることになります。
公正証書遺言の正本と謄本は遺言者本人に手渡されますので、謄本は遺言者が貸金庫など見つかりにくい場所に保管し、正本は遺言執行をお願いした弁護士などに預けておくのが、1つの確実な方法です。

公正証書遺言の検索システム

公正証書遺言は、原本・正本・謄本の3部が作成されます。正本・謄本は遺言者に渡され、原本は公証役場で保管されます。遺言者の生存中は、公証人の守秘義務との関係で、推定相続人は公正証書遺言の原本の閲覧、謄本交付請求は認められていませんが、遺言者の死後であれば、閲覧・謄本の交付を請求することができます。つまり、遺言が紛失しても、謄本の交付が可能になります。相続人に公正遺言を作成していることを伝えておけば、紛失の場合に備えることができます。作ったこと自体を秘密にする必要がなければ、相続人に、公正証書遺言の情報(作成した公証役場、作成年月日、公正証書の番号等)を伝えておくのも、1つの方法です。
なお、以前は、作成したことは分かっていても、どこの公証役場で作成したか不明の場合には、公正証書遺言の存在を確認することはほとんど不可能でしたが、昭和64年1月から実施された遺言検索制度により、現在は確認ができるようになっています。この制度は、公証人が遺言公正証書を作成したときや秘密証書遺言の方式に関する取扱いをしたときは、日本公証人連合会本部のコンピューターに登録するというもので、遺言者の死亡後に一定の要件のもとに遺言書の存否と遺言書の内容を教示するというものです。
手続きとしては、相続人等の利害関係人が必要書類を揃えて、最寄りの公証役場で遺言公正証書の存否を確認します。遺言公正証書が作成されている場合には、作成年月日や作成した公証人が判明し、遺言公正証書の原本は、作成した公証役場で保管されているので、次に当該公証役場にて謄本を入手することになります。

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公正証書遺言の作成の流れ3つの遺言方式

具体的な手順について説明します。

1. 遺言書の内容を決定

まず、誰に何を残すか、遺言の内容を決めます。

2. 文例を参考にして、下書きを作成

公正証書遺言は公証人に作成してもらう方法です。したがって自筆証書遺言のように自筆する必要はなく、公証人に内容を伝えることで作成することができます。公証人に伝える際に間違いがないように、遺言の原案(下書き)を作成しましょう。もちろん原案はワープロで作成しても構いません。なお原案は、弁護士などの法律専門家に相談することをお勧めします。

3. 公証役場に連絡する

公正証書遺言の原案(下書き)の文章を作成したら、公証役場に電話し、遺言作成をしたい旨を伝えましょう。公証人にファックスで原案を送信し、事前に原案を確認してもらいます。また事前に必要な書類および当日に必要な書類を確認します。やりとりの上で、最終的な原案が固まったら公証役場に出向いて公証人が書いた文面を確認するという手順をとれば、何度も足を運ぶ必要はなくなります。もちろんファックスでなくとも、直接公証役場に赴き相談に乗ってもらうことも可能です。

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4. 証人の依頼

公正証書遺言には、証人2人の立ち合いが必要です。そこで事前にお願いする証人2人を決める必要があります。だたし、未成年や相続人など証人になれない者がいますので、依頼の際は気をつけましょう。遺言の内容を秘密にしたい場合は、弁護士などの法律専門家に依頼することをお勧めします。弁護士などには守秘義務がありますので、内容が漏れることはありません。

5. 書類の準備

必要な書類については必ず公証役場で確認をしましょう。準備した上で、事前に必要といわれた書面(たとえば、公証人の手数料を算出するための資料である固定資産評価証明書や、戸籍謄本などは事前に求められる場合があります。)を、公証人にファックスで送ります。

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6. 公正証書遺言の作成日時を予約する

公証人とやりとりの上、原案が固まったら、公証人と公正証書遺言の作成日時を調整します。その際に、当日持参する必要書類を確認します。また資産の内訳を説明し、遺言作成費用(公証人の手数料)の概算を計算してもらいます。なお公証人が、公正証書遺言を作成するために必要な作成費用は法令で決まっています。

公証人に支払う手数料はこちら

7. 書類の取り寄せ

不足している必要書類を準備します。当日に必要な書類については必ず公証役場で確認をしましょう。

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8. 公証役場

当日公正役場に、証人2人とともに出向きます。
2人の証人の立会いのもとで、遺言者が遺言内容(遺言の原案)を口授することで、公証人が遺言の趣旨を了知し、その上で作成します。なお口がきけない者は、口授を、通訳人の通訳か自書に代えることができます。
公正証書遺言は、近年ほとんどパソコン等の印刷により仕上げられます。
次に、公証人が公正証書遺言の記載内容を、遺言者及び証人に読み聞かせによって伝え、内容を確認します。なお耳が聞こえない者は、読み聞かせに代わって閲覧か通訳人の通訳で行うことができます。
そして、遺言者および証人が当該遺言の内容で間違いのないことを承認したところで、各自が署名・押印します。遺言者が病気等で署名できないときは、公証人がその旨を付記して署名に代えることもできます。最後に公証人が方式に従って作成された旨を付記して、署名・押印し、完成します。
公証役場で作成するのが原則ですが、病気やけがなどで赴くことのできない場合は、日当や交通費等が必要となりますが、公証人が家や病院に出張してくれます。電話で打合せをした際に、出張が可能かどうか確認してみましょう。

9. 公正証書遺言の保管

公正証書遺言は原本と正本と謄本の3部が作成されます。そのうち、原本は公正役場で保管され、正本と謄本は遺言者本人に渡されます。遺言書の保管は、一般的には遺言者自身が保管する場合が多いようですが、遺言書の紛失が心配な人は弁護士などに保管を依頼するのがよいでしょう。また遺言執行者を指定した場合には、正本はその者に預けておくのが一般的なようです。

※公正証書遺言の作成の流れは、公証役場や公証人によって違う場合がありますので、相談の際に今後の流れにつき、確認しておくことをお勧めします。何度も公証役場に足を運ばないで作成することができます。

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公正証書遺言の作成費用

公証人の手数料や公正証書遺言の作成費用は、公証人手数料令という政令で定められており、遺言の目的たる財産の価額に対応する形で、その手数料が下記のとおり定められています。ただし、具体的に手数料の算定をする際には、下記以外の点が問題となる場合もありますので事前に必ずそれぞれの公証役場までお問い合わせください。

(日本公証連合会HPより引用)

1. 書証作成の手数料
目的の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1000万円以下17,000円
3000万円以下23,000円
5000万円以下29,000円
1億円以下43,000円
3億円以下43,000円に右を加算 13,000円/5000万円毎
10億円以下95,000円に右を加算 11,000円/5000万円毎
10億円を超える場合249,000円に右を加算  8,000円/5000万円毎

不動産は固定資産評価額を基準に評価し、価額を算定することができないときは、500万円とみなし算定します。
上記の手数料は、相続人または受遺者1人あたりのものです。遺言書全体の手数料を算出する場合には、遺言により財産を相続または受遺する者全員の手数料を合算します。
例えば、目的物の価額が2億円の場合は、43,000円+(13,000円×2)で手数料は69,000円になります。

2. その他の手数料
遺言加算 目的物の価額が1億円未満の場合11,000円
祭祀主宰者の指定7,000円
遺言の取消し11,000円
秘密証書遺言11,000円
証書の用紙代 4枚を超えるごとに 1枚あたり250円

全体の財産が1億円未満の場合は、上記1. によって算出された手数料額に11,000円が加算されます。これを遺言加算といいます。
祭祀の主宰者の指定をした場合は、さらに一律11,000円の手数料がかかります。
遺言の取消しは11,000円、秘密証書遺言は11,000円かかります。
遺言執行者の指定や付言事項の記入は手数料に関係ありません。
公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3部を作成します。これら遺言書の作成に必要な用紙のうち、4枚を超える分について1枚250円の費用がかかります。

3. 公証役場以外の執務
公証役場以外での執務 上記1. 手数料額の1.5倍
日当 (1日の場合)20,000円
日当 (4時間以内の場合)10,000円
交通費実費額

公証役場に赴くことができない遺言者のため、自宅や病院などに赴き公正証書遺言を作成することが可能です。その場合には、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となります。これに公証人の日当・現地までの交通費がかかります。

具体的な計算例

総額1億円の財産を相続人に残す遺言

1. 妻1人のみに相続させる場合の手数料は、43,000円です。
2. 妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は43,000円、長男の手数料は29,000円となり、その合計額は72,000円となります。
ただし、手数料令19条では、「遺言加算」という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円未満の場合は、11,000円を加算すると規定していますので、1. の手数料は54,000円、2. の手数料は83,000円が手数料となります。また別途、用紙代がかかります。

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秘密証書遺言3つの遺言方式

あまり利用されない遺言の方式です。

秘密証書遺言は遺言の内容を、遺言者以外に知られることなく作成できることが最大の特徴です。遺言の内容を秘密にする遺言の方式としては、自筆証書遺言と秘密証書遺言の2つがありますが、遺言の存在自体を秘密にしなくてもよいのであれば、遺言の存在を公証してもらう秘密証書遺言の作成による方が望ましいです。
また、代筆・ワープロによる作成も可能なため、比較的簡単に作成することができます。ただし、それに伴うデメリットが多いことも特徴です。秘密証書遺言を選ぶ人は、メリットだけでなくデメリットについてよく理解しておきましょう。
なお、秘密証書遺言はあまり利用されていない作成方法です。自筆証書遺言と同様、遺言の要件を満たしていない場合、遺言が無効となる場合があります。秘密証書遺言は最後に公証手続によって完成しますので、費用が必要となります。

1. 書証作成の手数料
目的の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1000万円以下17,000円
3000万円以下23,000円
5000万円以下29,000円
1億円以下43,000円
3億円以下43,000円に右を加算 13,000円/5000万円毎
10億円以下95,000円に右を加算 11,000円/5000万円毎
10億円を超える場合249,000円に右を加算  8,000円/5000万円毎

不動産は固定資産評価額を基準に評価し、価額を算定することができないときは、500万円とみなし算定します。
上記の手数料は、相続人または受遺者1人あたりのものです。遺言書全体の手数料を算出する場合には、遺言により財産を相続または受遺する者全員の手数料を合算します。
例えば、目的物の価額が2億円の場合は、43,000円+(13,000円×2)で手数料は69,000円になります。

2. その他の手数料
遺言加算 目的物の価額が1億円未満の場合11,000円
祭祀主宰者の指定7,000円
遺言の取消し11,000円
秘密証書遺言11,000円
証書の用紙代 4枚を超えるごとに 1枚あたり250円

全体の財産が1億円未満の場合は、上記1. によって算出された手数料額に11,000円が加算されます。これを遺言加算といいます。
祭祀の主宰者の指定をした場合は、さらに一律11,000円の手数料がかかります。
遺言の取消しは11,000円、秘密証書遺言は11,000円かかります。
遺言執行者の指定や付言事項の記入は手数料に関係ありません。
公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3部を作成します。これら遺言書の作成に必要な用紙のうち、4枚を超える分について1枚250円の費用がかかります。

3. 公証役場以外の執務
公証役場以外での執務 上記1. 手数料額の1.5倍
日当 (1日の場合)20,000円
日当 (4時間以内の場合)10,000円
交通費実費額

公証役場に赴くことができない遺言者のため、自宅や病院などに赴き公正証書遺言を作成することが可能です。その場合には、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となります。これに公証人の日当・現地までの交通費がかかります。

具体的な計算例

総額1億円の財産を相続人に残す遺言

1. 妻1人のみに相続させる場合の手数料は、43,000円です。
2. 妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は43,000円、長男の手数料は29,000円となり、その合計額は72,000円となります。
ただし、手数料令19条では、「遺言加算」という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円未満の場合は、11,000円を加算すると規定していますので、1. の手数料は54,000円、2. の手数料は83,000円が手数料となります。また別途、用紙代がかかります。

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