遺言執行者解任の申し立て遺言の弁護士
遺言の内容が特定の相続人にとって有利な内容であり、その相続人が遺言執行者に指定されている場合、遺言執行の過程で遺言執行者とほかの相続人がもめる場合があります。
遺言執行者が不適切な行動をとっている場合は、遺言執行者を解任することを検討してもよいでしょう。
遺言執行者の解任理由遺言執行者解任の申し立て
遺言施行者が解任される場合は
①遺言執行者が任務を怠ったとき
または
②解任について正当な事由があるとき
で、利害関係人が家庭裁判所に対し遺言執行者の解任を請求し、家庭裁判所において解任の審判を行った場合です。
①遺言執行者が任務を怠ったとき
遺言執行者がその任務に違反した行為をし、または任務を放置し実行しない場合のことで、遺言の実現を全くしなかった場合のほか、一部の行為しかしなかった場合も含みます。
具体的には、
遺言執行者が相続人に対して、正当な理由なく相続財産目録の交付を怠った場合
相続人からの請求があったにもかかわらず、事務処理状況の報告を怠った場合
相続財産の保管、管理につき善管注意義務を怠り、不完全な相続財産の管理をした場合
などがあげられます。
②解任について正当な事由があるとき
任務懈怠と同様に遺言執行者に適正な遺言の執行を期待できない事由をいいます。
相続人や受遺者と遺言執行者が敵対関係に立ち、遺言執行者と相続人らとの間に遺言の解釈をめぐって争いがあること自体は解任事由になりません。
しかし、単に感情的な対立があるにとどまらず、遺言執行者が特定の相続人の利益を図り、公正な遺言の執行が期待できない事情がある場合は、解任事由に当たります。
遺言執行者が共同相続人の1人であるとか、遺言の債権者又は債務者であるなど、遺言執行者が遺言執行に抽象的な利害関係を有していることだけでは解任事由にはなりません。
遺言執行者の解任手続遺言執行者解任の申し立て
遺言執行者に解任事由があると考える利害関係人(相続人や受遺者など)は、家庭裁判所に対して遺言執行者の解任を請求します。家庭裁判所は解任事由の有無について調査し、遺言施行者本人の陳述を聞いたうえで解任の可否を判断します。
解任の審判に対しては、遺言執行者は即時抗告をすることができ、解任の申立を却下する審判に対して利害関係人は即時抗告できます。
解任の審判が確定した場合、遺言施行者はその地位を失うことになります。
審判が確定するまでの間は、遺言執行者としての権利義務が形式上は存続しますが、解任の申立がされる場合は遺言執行者の職務の執行停止または代行者の選任が申し立てられることが普通です。執行停止または代行者の選任がなされた場合は、執行する権限はなくなります。
遺言執行者は解任の審判がなされた場合、相続人及び受遺者に対し、解任により任務が終了した旨を通知しなければ相続人及び受遺者に対して解任による執行事務の終了を対抗できないので、その通知を必ず行う必要があります。また相続人に対しては、遅滞なく事務の経過および結果を報告し、受領した金銭その他のものを引き渡す義務を履行しなければなりません。
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