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【代理母出産で出産した子との間に母子関係は認められるか】母子関係の特殊性は相続にも影響を及ぼす[POSTED]:2018-07-18
親子関係はDNA継承の有無で決まると考えられる一方、興味深い最高裁判例がありました。
子宮がんを患い子宮の摘出手術を受けた向井亜紀さんは、代理母出産で無事に双子の男の子を出産します。
この双子の男の子の出生届不受理を巡って争われた裁判の上告審で最高裁は、向井さんが卵子提供者であっても、子を懐胎出産していないという理由で、母子関係を認めませんでした。
代理母をもって子の母としたのです。
DNAは確かに、卵子提供者である向井さんを継承しています。
しかし懐胎出産をしていないという理由で、母子関係を認めませんでした。
民法772条は確かに、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」とし、妻が「懐胎」することを母子関係の前提としています。
父子関係はDNAのつながりで認められても、母子関係は懐胎出産を経なければ認められない特別なものだという理屈なのです。
親子関係とはいったい何でしょうか?いよいよわからなくなってきますね。
奇しくも、福山雅治さん主演の映画「そして父になる」が平成25年5月にカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞しました。
福山さん演じる主人公夫妻は6歳の息子を大切に育てているのですが、実は別の夫婦の子供だったと分かり、実の子を育ててきたもう一組の夫婦と出会います。
育ててきた子をとるのか、血のつながった実の子をとるのかという究極の選択を迫られるのです。
「血のつながりとは、家族とは、一体何だろう」という根源的な問いかけを突き付けられます。
赤ちゃん取り違え事件のように、DNA型鑑定技術の進歩によって、映画の世界の話が、今や現実味を帯びてきています。
相続の際には、少なくとも父子関係の存在を確認するために、念のため相続人全員のDNA型鑑定を済ませましょう、ただし母子関係ついては別に懐胎出産の事実も調べる必要があります、などという時代もそれほど遠い未来のことではないのかも知れません。
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