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4章 相続は全員一致ルール[POSTED]:2017-11-17

相続は全員一致ルール4章 相続は全員一致ルール

遺産相続でモメるポイントとして、「トラブルメーカーの存在」が挙げられます。

遺産相続における遺産分割協議の成立要件は「全員一致」です。この「全員一致」は言葉にするのは簡単ですが、実際やるとなるとモメるポイントなのです。
とはいえ、いい大人ですから、ある程度譲歩したり、あるいは「多少損してでもモメたくない」と諦める人がいたり、そもそも「身内でモメたくない」と妥協する人がいたりで、「全員一致」がとれる場合もあります。
しかしながら、そこに一人でもトラブルメーカーがいると、話は異なります。
突然、遺産相続の話がモメ出すのです。

「モンスター相続人」長女一人のせいで、大混乱!4章 相続は全員一致ルール

父親が亡くなり、母と3人姉妹が残されて、長女が母と次女、三女を相手に調停を起こしたケース

長女は、母親が住んでいる家も含めて、遺産分割をするように要求してきたのです。
当初、調停を起こされた母娘は、家族のもめごとに弁護士を入れたくはないと言っていました。しかし長女が弁護士に依頼し強硬な姿勢を見せてきたので、自分たちも弁護士に依頼すべきか迷い始めました。父親が残した遺産は、父親が母親と一緒に住んでいた一軒家と数千万円の預金でした。
この長女に借金があったこと、そしてこの長女に内縁の夫のような存在がいたことから、どんどんモメていったのです。
四十九日の法要の集まりでは、まだ争いは起きていませんでした。
父親の生前、借金の返済のために支援してもらうなど迷惑もかけ、浪人をしてまで医学部を卒業するなど妹2人に比べ学費もかかったため、相続はしなくていいと長女は言っていました。家についても「母が住み続けるためには、処分することはできない」と三姉妹でその点は合意をしていました。
ところが長女に対して横車を押してきたのが長女の内縁の夫でした。「もらえるものはもらっておけばいいんじゃないか」「母親一人が住むだけの家を売却してしまえば、相続できる金額はもっと多くなる」と内縁の夫は長女にけしかけました。そうすれば、今ある借金も全額返せるとたくらんだのです。
当初は遺産相続手続きで連絡を取り合っていた姉妹でしたが、長女との連絡が円滑にいかなくなり、やはて長女はがらりと意見を変えてきたのです。その意見とは次のようなものでした。
「法定相続分は現金で請求します。払えないのであれば、家を相続するお母さんが、その分を払ってくれればいい」
結局、長女は、頑固に主張しだし、一円単位で相続財産にこだわったり、些細な点について文句を言ったりするようになり、ドロ沼の遺産相続になってしまいました。長女の様子はまさに、モンスターペアレンツならぬモンスター相続人といえるものでした。
配偶者(この場合は、内縁の夫)の意見によって相続人の考えが変わってしまうことはよくあることです。たとえ仲の良い兄弟姉妹であり、相続人同士は何のわだかまりもなく納得できているとしても、モメるのです。
相続人である実の姉妹同士であれば、いろいろな問題があったとしても、お互いをよく知っています。大きくなって多少疎遠になったとしても、心の奥底では信頼感・親近感があります。しかしそこに他人がかかわってくると、本人の気持ちとは別に話が進み、引くに引けない状況になるということもあるのです。このケースでも、内縁の夫の影響によって、長女はモンスター相続人化してしまったのです。

トラブルメーカーの存在で問題になる

遺産相続には、全員合意ルールの難しさがあります。
それは、モンスター相続人のような人が権利を主張することだけにとどまりません。
音信不通者や隠し子などの存在がトラブルメーカー化し、全員合意ルールが足かせになります。

首都圏の郊外に住む52歳の男性Fさんのケース

父親が亡くなって、銀行預金を下ろそうとしたところ、金融機関から相続人全員の同意書を求められました。手続きを進めるために戸籍を取り寄せたところ、異母兄がいることが発覚したのです。父親には離婚歴があり、前妻との間に子をもうけていたようです。
異母兄の存在など、父親からだけでなく母親からもまったく知らされていなかったので、Fさんとしては、ただただあわてるばかりでした。
Fさんは、異母兄に手紙を書いて面会を申し込み、異母兄が住む高級住宅街の喫茶店で会うことになりました。
Fさんも異母兄ももちろんお互いの記憶は全くありません。Fさんは異母兄にこれまでの半生について話を聞き、また、お互い中日ドラゴンズファンということもわかり、プロ野球の話で盛り上がりました。
そして、打ち解けたところで切り出しにくかった遺産相続の話をFさんがしたところ、「お金はいらない」と異母兄にあっさりと言われました。Fさんは、相続放棄の書面に署名してもらう約束をして別れたそうです。
異母兄と会ってから、1週間が経ちました。「すぐに送る」といっていた相続放棄の書面は届きません。
仕方なくFさんから連絡をしたところ、「いろいろな人間に相談したところ、やはり書面には署名できない」と異母兄は言い出しましたす。
ある程度は想定していたとはいえ、最初に会った時とは態度があまりにも変わってしまったことにFさんは驚きました。しかし、その態度には、どこかよそよそしさがあり、一度口にしたことをひっくり返すことに対するためらいも、感じ取ることができました。こうした異母兄の態度から類推するに、まわりの人が相続分の主張を勧めたのでしょう。
遺産相続における利害関係人は相続人だけではありません。相続人の配偶者、相続人の子ども、「事情通」の親せきなど、外野席は満員御礼状態です。財産はいらないと本人が思っていても、まわりにいる誰かが権利主張を勧めれば、Fさんのようなことになります。
このケースでは、まず間違いなく異母兄にもFさんと同等の権利が認められます。
全員合意のルールのうえで、トラブルメーカーになりやすいのは、異母兄弟や隠し子です。親が再婚している場合には、異母兄弟や隠し子の行方について確認しておくことは大切です。

音信不通者がいる場合4章 相続は全員一致ルール

また、「音信不通者」も全員合意のルールにおいて、トラブルメーカーになりえます。

音信不通者がいる場合は、遺産分割協議の手続きがややこしくなります。
金融機関は相続が開始したことを知ると、相続人全員の合意書などを要求し、提出できないと下ろさせてくれません。被相続人の口座から引き出さなければならない場合に、音信不通者や失踪者がいる場合は、預貯金の引き出しができない状況にもなりかねません。相続人全員の合意がないからです。

全員合意のルールは、音信不通者や失踪者がいると、とたんにトラブルのもとになるのです。
全員合意がルールである以上、遺産分割では、単なる「欠席」は認められません。所在が分からない相続人、連絡が取れない相続人がいる場合などは、遺産分割の手続きを進めることができなくなります。連絡がつかないからと言って無視をしてよいわけではないのです。
相続人が音信不通者という場合、次の2つの状況が考えられます。
まず、生きていることは間違いないが住所不明で連絡がつかない場合。この場合は連絡がつかない不在者のために財産管理人を置き、財産管理人が遺産分割協議に参加します。
財産管理人は家庭裁判所に申し立てを行い選任してもらいます。選ばれた財産管理人は、不在者のために財産目録の調整、財産状況報告・管理計算の報告などを行います。
不在者の財産管理人の参加によって成立した遺産分割協議書をもって、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しが可能となります。もっとも財産管理人は不在者のための財産を管理・保存することまではできても、マンションを売るなどの処分行為といえるレベルのことはできません。その場合は家庭裁判所の許可が必要になります。

生死不明者4章 相続は全員一致ルール

次に、音信不通者のなかには、生死そのものが不明で生きているかどうかも分からない場合があります。

この場合は「失踪宣告」の手続により、不在者を「死亡したもの」とみなすことになります。一般的には、不在者の生死が7年以上明らかでないときに、家族などが家庭裁判所に請求することで、失踪宣告が下されます。失踪宣告が下されると、7年間の失踪期間満了時に死亡したものとみなされます。
失踪宣告によって、他の相続人だけで遺産分割協議ができますが、失踪宣告によって代襲相続が発生する場合は、その代襲相続人を加える必要がありますので、注意が必要です。

相続人が多い4章 相続は全員一致ルール

「相続人が多い」という場合も全員合意ルールからすると、手こずります。

というのも、全員合意までに時間がかかるからです。
一番の問題は、住居地がバラバラであることです。北海道から九州まで相続人が散らばっているケースや、相続人が海外に居住しているケースもあります。
このように遠隔地に居住している相続人間では、全員合意の遺産分割協議を行う場を設けることは難しいといえます。それぞれの間柄が疎遠になっているケースも多く、特に各々の相続分がそれほど多くない場合には、わずかな財産のためにわざわざ一か所に集まってということにはなりにくいのです。誰がイニシアチブをとって遺産分割協議を行うのかということも明確になっていないので、話し合いもまとまりにくいのです。もちろん遺産分割は全員が同じ場所に集まらなくとも稟議で行うことができますが、相続人が多いと、それだけモンスター相続人が存在するリスクも増えますし失踪者や行方不明者がいる確率も高くなりますので、簡単には遺産分割協議が成立しないといえるでしょう。

相続人は、こうして増える4章 相続は全員一致ルール

相続人が多くなるケースには、どういったものがあるでしょうか。

まず、不動産の名義が被相続人の父や祖父のままだったりすると、とたんに相続人が増えます。なかには、先先代の遺産分割協議がいまだにすんでおらず、曾祖父の名義のままになっている土地があるというケースすらありました。
また、遺産分割協議が長引いているうちに、相続人がさらに亡くなって、相続人が多くなることもあります。遺産分割協議の期限は決まっていません。いつまでに分割をしなくてはいけないということはないのです。結果、長引いてしまって、相続人が多くなり、さらにモメるという展開になりがちなのです。
あるいは、遺産分割協議が長引かなくても、相続人が多くなることがあります。「代襲相続」が発生しているときです。
代襲相続とは、親である被相続人が亡くなる前に、子がすでに亡くなっているような場合、被相続人の孫が子に代わって相続することをいいます。子が亡くなって、さらには孫までも亡くなっている場合は、その下のひ孫が代襲相続することになります。このことを「再代襲」といいます。
兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥姪が代襲相続しますが、甥姪も亡くなっている場合は、その甥姪の子どもは再代襲しません。
このように代襲相続、再代襲が続くと、相続人になる者の範囲は広くなってしまいます。
すると、共同相続人と連絡がとれず、遺産分割がまったく進まないというケースが多くなってくるのです。

91歳の独身者が亡くなったケース

近所に住んでいた甥であるKさんが戸籍を取り寄せて相続人を調査してみたところ、被相続人は、幼少時に養子に出ていることがわかりました。養子縁組によって、養親と養子の間に新たな親子関係が生じますが、実親との親子関係が消滅するわけではありません。子が先に死亡した場合で、父母が法定相続人となる場合は、養親、実親いずれも法定相続人になります。
この被相続人の場合、実親、養親ともにすでに他界していましたので、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹も実方と養方、双方の兄弟姉妹が相続人になるため、この段階で相続人が10人を越えました。そのうえ、被相続人が高齢であれば、兄弟姉妹も当然に高齢です。兄弟姉妹もすでに亡くなっている方がほとんどで、甥姪が代襲相続人となり、結局法定相続人の数は十数名となってしまったのです。
長寿化社会で90歳を超えて相続が発生するケースは多くなっています。
こうした場合、相続人が多く、全員合意が難しくなってしまうのです。

「全員一致ルール」が難しいからこそ、遺言を4章 相続は全員一致ルール

全員合意ルールは難しいものです。

幸せな家庭ですら、モメます。小額ですらモメるのです。モンスター相続人やトラブルメーカー、相続人以外の利害関係者の存在により、さらにモメます。

だからこそ、モメずに遺産相続問題を解決するためには「遺言」が重要なのです。
遺言を残しておけば原則として、遺産分割協議なしで遺言内容とおりに財産を分けることができます。全員が顔をそろえる遺産分割協議が不要だからこそ、トラブルメーカーがいても、行方不明の者がいても問題にはなりません。
全員合意ルールの難しさを考えた場合、被相続人が生きているうちに遺言を残しておくことが、一番の解決策なのです。

遺留分について4章 相続は全員一致ルール

遺言はとても重要です。ですが、「モンスター相続人やトラブルメーカーの相続分を0にする」という内容の遺言を残した場合、どうなるでしょうか。

これは必ずモメめます。間違いありません。モンスター相続人は、必ずといってよいほど、遺留分を主張してくるでしょう。
遺留分減殺請求は遺留分権利者の自発的な請求によって実現されるものです。遺留分が侵害されていても請求権を行使しなければ、遺言の内容そのままで遺産が分けられます。しかしモンスター相続人になるような人は「もらえるものはもらう」と絶対に考えるはずです。
「すべての財産を○○に相続させる」という内容の遺言を作成したいと希望している方もいます。逆に言えば、それ以外の相続人には財産をあげたくないと考えているということです。
財産をあげたくないと考える背景には、今までのいろいろな事情や思いがあってのことでしょうが、遺留分をもらえる権利がある人について、十分注意して遺言を作成する必要があります。
兄弟が2人いて「一方が100で、一方が0」。このような遺言が残された場合、モメないわけがありません。相続分はゼロとされた相続人としては、同じ立場である兄弟と歴然の差があればそれはおもしろくありません。

遺留分の放棄4章 相続は全員一致ルール

「相続分をゼロにする」という遺言を残す以外の方法で、特定の相続人の相続分を少なくすることはできるのでしょうか。

資産家の長男であるMさんのケース

Mさんは、生前に相続放棄をする書類を父親の弁護士に書かせられたと言っていましたが、この書面は法的には無効です。
相続の放棄は被相続人である親が生きているうちにすることはできません。いったん相続放棄をする意思表示をしていても、相続開始後に相続分を主張することは依然として可能です。
しかしながら、遺留分の放棄はできます。特定の相続人の相続分をゼロにする遺言を作成し、さらにその相続人に遺留分を放棄させることは可能なのです。
遺留分は侵害されたときに遺留分減殺請求権を行使するかどうかが遺留分権利者に委ねられており、放棄するかどうかも遺留分権利者の自由な意思で決定することができます。
ただし、遺留分の放棄には裁判所の許可が必要です。相続開始前の事前放棄を無制限に許すと、均等相続の理念に反するような他からの強制が生じることも考えられるためです。遺留分をいったん放棄した後でも遺留分放棄の状態を客観的に見て不合理・不相当と認めるに至った場合には放棄を取り消すこともできます。

遺留分を減らせ ~生前贈与~4章 相続は全員一致ルール

遺留分権利者の同意など取り付けなくてもよい方法はないでしょうか。

遺留分をいかに減らすかということが重要

まず1つは、生前贈与を利用することで相続財産全体を減らし、遺留分を計算する際の財産額を小さくすることによって、遺留分を減じる方法があります。

ただし、相続開始前1年以内にされた贈与は遺留分減殺請求の対象になりますので、1年以上前に生前贈与をする必要性があります。もっとも、相続開始1年以上前の生前贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、遺留分減殺請求の対象になってしまいます。
また遺留分減殺請求の対象にはならないとしても、推定相続人に対する生前贈与は相続が発生した後に特別受益として清算されてしまう可能性があります。
相続させたくない人がいて、相続財産を減らしたい場合は、遺留分を侵害することを知らない法定相続人以外の者に、相続開始1年以上前に贈与をする必要があります。

ただ単に法定相続人以外に贈与をするといえば、知人に贈与をするということをイメージしがちですが、贈与をするくらい親しい間柄の知人はなかなかいません。しかし全く関係のない知人に贈与をする必要はありません。
長男に相続させたくない場合は、次男の嫁に贈与をすれば実質的に次男の家庭に多目に相続させる効果が得られます。
贈与税の基礎控除額である110万円以下で毎年贈与を繰り返すことで、贈与税を支払うことなく、しかも相続税もかからずに済ませることもできます。

遺留分を減らせ ~養子縁組~4章 相続は全員一致ルール

遺留分を減らすためのもう1つの方法は法定相続分を変えることです。

法定相続分を変える

法定相続人が増えれば法定相続分が減り、その結果、遺留分を計算する分母が減ることによって遺留分が減ります。
例えば、養子をとることで法定相続人が増えます。
例えば、妻A、実子B、実子Cがいる被相続人Xが、さらに養子D、養子Eと養子縁組をしていたとします。民法上、養子も法定相続人にあたりますので、実子と同様の相続分を相続することができます。つまり、この場合は、妻A、実子B、実子C、養子D、養子E、計5人が法定相続人になります。
養子をとった場合は、遺留分を計算するにあたって法定相続人が増えますので、遺留分を侵害される相続人の法定相続分が減ることにより遺留分が減るのです。

相続税の節税対策として養子縁組を利用することがありますが、相続税対策としての養子縁組は必ずしも税務署に認められるわけではありません。また相続税の節税対策としての養子縁組は養子にできる人間の数に制限があります。
先のケースの場合、この5人という数が全て「法定相続人の数」としてカウントされるではありません。法定相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合には2人を限度として養子をカウントすることができます。つまり実子がいれば、養子のうち一人しか「法定相続人の数」にカウントされませんので、基礎控除額は、3000万円+600万円×4人で、5400万円となります。
カウントできる養子の人数に制限をかけている理由は、不当に養子縁組を行って基礎控除額を多くしようすることを阻止するためです。被相続人に不当な養子縁組の意思がなくとも、形式的に実子がいる場合は、カウントできる養子の数は1人となります。
相続税の節税対策を目的とした養子縁組は、明らかに相続税対策行為とみなされますので、そもそも認められない場合があります。養子のうち1人は必ず基礎控除の法定相続人としてみなされるというわけではなく、その養子が、例えば、将来自分のお墓を守ってくれるのに必要であるなど、養子としてとるにあたって不自然ではなく養親子関係の実態があるときに限られています。
もっとも、遺留分を減らす対策としての養子縁組は、相続税対策として税務署によって認められなくても、依然として有効です。また遺留分対策としての養子縁組の数には制限がありません。
親子の仲が悪く、子どもに相続させたくないと思う親はいるようですが、法律上、一定の権利を持つ法定相続人の権利を奪うことは簡単ではありません。一朝一夕で対策ができるものではなく、計画的な対応が必要になります。

モンスター相続人やトラブルメーカーがいる場合は、相続が起きてから対策をするのでは、トラブルを防ぐことは難しいと考えられます。「親が生きているうちの行動」も「分けられない財産」も、話し合いで解決できることもあります。しかしながら全員合意を乱すモンスター相続人やトラブルメーカーがいる場合は、その話し合いをすること自体が、そもそも困難な状況がほとんどです。ですから、遺言を残しておくことが大切ですし、彼らに財産を残したくないのであれば、遺留分のことまで考えてシミュレーションをしておくことが欠かせません。
また、1人目の親が亡くなる一次相続よりも、残された親が亡くなった二次相続のほうが、よりトラブルが起きやすいといえます。親が1人残された場合は、年齢にかかわらず、遺言を書いておくことを強くおすすめします。

弁護士の珍プレー4章 相続は全員一致ルール

弁護士のなかには、人間関係の機微に疎く依頼者の意向をくみ取ることができない人もいます。それが原因でモメごとが大きくなる場合もあるのです。
相続人である4兄弟同士がもめている事件で、本家の家を継ぐ人間が決まっていませんでした。「遺産分割の話し合いが整ったら、今後、本家との連絡を絶ちたい」という希望のある三男の代理人となった弁護士のケースです。
この遺産分割協議では、相続財産の中に不動産がたくさんありました。よって、不動産の価格を算定し、4兄弟のなかでバランスが取れるように分けることを長女側の弁護士は提案してきました。
ところが、三男側の代理人となった弁護士は、たくさんある不動産の評価を計算するのが面倒なのか、すべての不動産を共有財産とし、権利の割合を、法定相続分で分けることを提案してきたのです。
不動産を全部共有にした場合には、その後の不動産の処分や利用にあたって、共有者間で連絡を取って相談しあうことが前提となります。
いくら三男が、「少しでも多く財産がほしい!」と息巻いていたとしても、「今後は本家と没交渉でやっていきたい」というのも三男の意向です。手っ取り早く、将来のことも考えずに、不動産を「共有」とすることには無理があります。財産は平等に分けられるとしても、「今後、本家と没交渉でやっていきたい」という希望がかなえられないからです。
結局、この事件では、不動産を共有しないことになりましたが、このように、人間関係の機微に疎く、不動産を乱暴に共有にしようとする弁護士は少なくありません。弁護士が依頼者の意向絵夫くみ取ることができないために対応を誤り、相続人間の感情をこじらせて、モメごとが大きくなるケースもあるのです。

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