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【本当に相続人?本当に自分の子?】相続とDNA鑑定[POSTED]:2018-09-07

【本当に相続人?本当に自分の子?】相続とDNA鑑定

赤ちゃん取り違え事件のきっかけは遺産相続トラブル

墨田区の赤ちゃん取り違え事件の裁判はもともと、Bさんと弟らとの遺産相続トラブルが発端となったそうです。
母親の死亡時に長男として財産を相続したBさんが、父親を在宅介護するという相続時の約束を守らずに介護施設に入れようとしたため、弟らが反発しました。
「あまりに父親に冷たい。実の兄ではないのでないか」と疑問を抱いた弟らがDNA型鑑定に踏み切り、Bさんは3人の弟とまったく血のつながりのないことが分かりました。
相続や遺産分割において親子の情が問題になるケースはほかにもたくさんありそうですが、このケースは何かピンとくるものがあったのでしょう。
既にAさんの実の父母も、Bさんの実の父母も死去しているため、相続のやり直しをすることを前提に別の裁判(Aさんの父親の遺言の無効や、実の親ではなかった母からBさんが相続した土地の返還)などの手続きが進んでいるそうです。
Aさん及びBさんは、それぞれの育ての親との親子関係が無いことが確認され、戸籍が変更されています。
もっとも、Bさんが相続した土地に家を建てて家族と生活していることもあり、複雑な権利関係を正常化する手続きにはまだ時間がかかるとみられます。

DNAで親子関係の不存在が判明することも

赤ちゃんの取り違えはほかにもたくさんあり、AさんとBさんの事件は氷山の一角なのではないかという声もあります。
AさんとBさんの事件ではDNA鑑定によって親子関係が判明しました。
「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と定める民法772条は、婚姻中の妻が懐胎した場合は夫の子であることが通常なので、子の父は夫であると推定しています。
もっとも事情によっては推定を覆すことはでき、例えば長期の海外赴任中で夫婦が一度も会っていない場合などが例として考えられます。
これも、DNAを継承していないからこそ、推定を覆せるわけです。
通常、この種の問題は離婚や夫婦問題に絡んで発覚することが少なくありません。
何かがないと問題にならない親子関係ですが、離婚と並んで相続は親子関係の存在を問題にする大きなきっかけになります。

血縁関係がない子を嫡出子とした最高裁判例

もっとも平成25年12月に出された最高裁判例では、父と子の間に血縁関係がない子について嫡出子として認めています。
しかしこの事件では、女性から男性に変更した夫とその妻が、第三者からの人工授精でもうけた子についての判断でした。
特殊な事情があったからこそ、DNAを継承していなくても親子関係を認めているのでしょう。
相続における法定相続人の構成や相続分にも影響を与える重要な判断です。
民法は通常、親子関係をDNAの継承の有無で判断していると考えてよさそうですが、それだけでは一律に割り切れず、多元的に親子関係を判断する特殊な判断といえそうです。

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