ブログ・相続最前線 遺産相続の弁護士・税理士相談はお任せ下さい|sozoku.com
【相続税においては通達が重要な意味を持つ】相続税理士が解説する相続税法解釈[POSTED]:2018-09-12
通達の特殊性
税金について定める税法の特殊性は、通達が存在する点です。
通達とは行政機関が法律の解釈について見解を出す行政機関の内部文書のことです。
この通達が、税法については極めて重要な解釈基準になっています。
税金について定める税法についても、他の法律と同様に各条文の解釈が問題となります。
法律の解釈は通常、具体的事件で裁判沙汰になり判決が言い渡されることにならない限り、公権力によって明らかにされることはありません。
この「具体的事件」というところが重要で、日本の制度では、具体的事件から離れては、法律の解釈を巡って抽象的に判断を仰ぐことができないことになっています。
国会答弁などの際に、法解釈についての政府見解が明らかになることはありますが、それはイレギュラーなケースといえるでしょう。
例えば自衛隊の合憲性などに関し、憲法解釈についての政府の考えについて、立法担当者による経緯などを踏まえて、政府が明らかにすることがあります。
しかし対象も極めて限られているうえ、あくまで政府見解ですし、立法担当者の見解であっても、その後の判例によって実務における解釈が改められる可能性があります。
法解釈そのものについて細かく通達によってつまびらかにする点で、税法における通達行政はやはり特殊なところがあります。
通達の存在意義
そもそもなぜ通達というものが存在するのでしょうか。
通達は法律ではありません。主に行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づいてその機関の所掌事務に関する注意や指示を伝えるために発する一般的定めが、通達です。
例えば、税務署ごとに税法の解釈が異なったり、制度の運用が異なったりすると、実務の現場は混乱するでしょうし、不公平が生じてしまいます。そこで、行政上の取扱いの統一性を確保するために通達が存在するのです。
通達はあくまでも行政機関内部において法律の解釈や運用、取扱基準や行政執行の方針を伝えるためのものであって、国民の権利義務を直接規定したり制限したりするものではありません。上級行政機関が行政監督権限に基づいて発することができるという点が、立法機関である国会において制定される法律とは大きく異なる点です。
ちなみにこの通達に基づく租税行政が租税法律主義に反しないかという問題がありますが、結論としては租税法律主義には反せず問題にならない、とされています。
租税は国家が国民に対して強制的に賦課・徴収するものですから、国民の財産の自由を確保するために租税の賦課・徴収の手続きについては国民の代表である国会で制定された法律によるべきであるということです。
一方、通達とは先ほど説明したとおり、行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づいてその機関の所掌事務に関する注意や指示を伝えるために発する一般的定めです。
行政機関内部の取決めですから、もちろん国会で制定されるものではありません。そこで、通達で課税することは、憲法84条に反して許されないのではないか、という問題意識が出てくるのです。
「税金と法律」
通達による課税が租税法律主義に反するのではないかが問題となった「パチンコ遊戯具事件」において最高裁は、当該課税は法律を正しく解釈したもので、通達は単なるきっかけにすぎないのであるから、法律に基づいて課税をしており、憲法84条に違反しないと判断しています(最判昭和33年3月28日)。
いずれにせよ、法解釈を明らかにした通達が存在すること自体、税金の世界もまた、法律の解釈の問題である根拠にほかならないともいえます。
アメリカでは税法を専門とする弁護士が花形の一つであるといいます。
日本では弁護士と税理士の垣根が分かれています。
税法を専門とする弁護士という表現が日本では、何か全く異なる2つの業務を行うイメージを与え、「税金と法律」という定義矛盾を内包する受け取め方を誘発している気がします。
この記事と
関連性の高いページはこちら
遺言のことなら『遺言の弁護士.com』
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
『ブログ・相続最前線 』のその他の記事
- 遺言の増加に伴う争族。認知症の疑いによる無効を防ぐためには
- 普及が加速する遺言 遺言を作成することの重要性は、ここ数年でかなり浸透しています。実際に事務所に来られる相続発生後の相談者の中で、遺言を持参される方はこの10年間でかなり増えました。10年前は遺言を持参されるケースは極めて少数でしたが、今は逆に法律事務所に相談する相談者の半分以上は、遺言を持参されている印象です。日本公証人連合会公表による全国で作成された遺言公正証書の件数も、年々増加傾向にありま…
- 相続税対策や相続争い(争族)における養子縁組』で氏は変わる?
- 相続税対策や相続争いにおいて、特定の相続人の遺留分を少なくするために養子縁組をすることは、非常に有効です。それにもかかわらず養子縁組を躊躇される方が多いのですが、理由の1つは氏が変わるからというものです。養子縁組をすると必ず氏は変わるのか。変わらないために何か対策はないのかを考えます。 養子縁組をした場合の養子の氏がどうなるかは、養子になる方の属性によって異なります。まず養子が単身者で結婚をして…
- 相続税申告が間に合わないときには
- 相続税の申告には期限があります。相続開始から10カ月以内、つまり被相続人が亡くなってから10カ月以内、もしくは、被相続人の死亡を知ったときから10カ月とされています。ちなみに納付期限と申告期限は同じです。 10カ月と聞くと一見長いようにも感じますが、相続開始からの10カ月は本当にあっという間に過ぎ去ります。相続人が複数人いた場合、そう簡単に遺産分割は終わりません。しかし、相続税は遺産分割が終わっ…
他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。
無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争には参加せず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある相続事件に限定しています。
「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は電話相談(初回15分)・メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話相談(初回15分)で対応します。
相続税を納める必要があり、
かつ遺産分割でもめている方は相談無料
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
相続税の納税義務があり、 かつ遺産分割でもめている事件 | 無 料 | 1時間:62,000円税別 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
内容証明が届いた事件 | 1時間:12,000円税別 ※来所困難な方に限り、 1時間30,000円税別にて 電話相談に応じます。 | ||
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間:50,000円~税別 | 1時間:100,000円~税別 | |
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間:100,000円~税別 | 1時間:150,000円~税別 |
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円(税別) ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
|
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間: 50,000円~(税別) | ||
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間: 100,000円~(税別) |
- ※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している相続事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談、電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。
- ※一般的な相続知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
一般的な相続知識に関する情報は弊所の各サイトでご案内していますので、こちらをご利用ください。
- 来所予約・お問い合わせ
- 03-5532-1112 9:00~18:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。