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【デジタル遺品の遺産分割をどうするか】相続とパスワード[POSTED]:2018-08-18

【デジタル遺品の遺産分割をどうするか】相続とパスワード

知人が先日亡くなった。
持病を患った末ではなく、急な出来事であった。
株のトレーダーをやっていたが、コンピュータプログラムで自動的にトレードを行う手法をとっていた。
一度プログラミングをするとあとはコンピュータが自動的に株式のトレードを続けてくれる。
これが相続において問題になった。
死後も続く株取引。
アカウントの持ち主が亡くなったことなど、コンピュータは知る由もない。
証券会社の残高は増える一方だったようだ。
アカウントの持ち主の相続発生後にトレードが行われることは証券会社は想定していない。
相続発生後に実行されたトレードに関する法的な問題もある。
本来はアカウントの持ち主の相続が発生しているので、証券会社の口座も閉鎖されていなければならない。
取引実行を命令しているのはコンピュータプログラムで、プログラムを組んだのは被相続人であるから、実質的には被相続人の意向が今なお生きていることになる。
相続発生後の被相続人の証券口座は誰のものなのかというと、相続人の共有状態になっている。
トレードで儲かっていればいいのだが、損失を出した時には相続人間で問題になるはずだ。
証券口座やコンピュータプログラムを実質的に管理支配していた特定の相続人が、責められないだろうか。
通常は共有と考えられる相続発生後の被相続人の証券口座だが、デイトレードではあまりにも頻繁に取引が行われるため、相続発生後のトレード期間によっては特定の相続人の口座としてみなされる余地もあるのではないか(相続税における名義財産のような考えが適用される余地もないだろうか)。
さて本件で一番問題になったのは、トレードを行い続けていたプログラムの止め方を誰も知らなかったことである。
よくfacebookなどのログインパスワードがわからず、問題になることがある。
若くして亡くなった子供の両親がアップルに対してiphoneのパスワードロック解除を要望していたニュースもあった。
デジタル遺品の話として語られるのは、思い出など非財産的なものに関するものが多く、相続プロパーの話というよりも形見分けや遺品整理の話であることが多い。
ところが今回のケースは放置するとトレードが永久に続き、相続財産額に少なくない影響を与えることになる話である。
IDやパスワードを求められることが多い。
万が一のことを考えて家族に託す伝達方法を、一度考える必要がありそうだ。

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