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【相続裁判はお家騒動と同様の紛争類型】会社経営か個人事業主か[POSTED]:2018-08-20
『実例に学ぶ経営戦略 あの企業のお家騒動』(リベラル社)を執筆したきっかけとも関連するが、企業や団体のお家騒動と相続裁判はときに似ている。
被相続人が事業を営んでいた相続で、最初に確認すべきこと。
会社経営者であったのか、それとも個人事業主であったのか。
病院を経営する医療法人の理事長か、個人クリニックを経営していた医師か。
不動会社の社長であったのか、不動産オーナー(地主)であったのか。
財産規模において後者が前者を上回ることは珍しくない。
あくまでも法的な人格形式の違いである。
亡くなった被相続人からすると、経営者という意識はあっても法人の社長か個人かを明確に意識していないこともある。
中小企業や零細企業が圧倒的に多い日本社会で、実態からすれば変わらないことも多い。
ところが両者の差は時として大きくなる。
税理士に言われるがままに、たまさか相続発生の数年前に法人成りをしたばかりであった。
あるいはこれから法人化を検討するところで相続が発生した。
まず相続財産が株式になるのか、それとも事業用財産そのものになるのか。
相続税も変わってくる。
株式であれば評価が難しくなる。
相続財産が株式であれば分割をしない前提(後継者である特定の相続人が単独相続する前提)で話をする必要がある。
個人事業主の事業用財産も単独相続が原則だが、用途の転用などによって分割をしても解決できることもある。
寄与分が発生する事情があった場合、個人事業ならば直接的に考慮されるが、法人であれば原則として考慮されない。
株式評価に影響するほどの事情があった場合、間接的に考慮はされうるが個人に対する寄与分と比べて主張は難しくなる。
相続財産として追及ができるかどうかが、何よりも大きい。
被相続人と相続人間で(事業に関わる貸し借りなどの)金銭のやり取りがあった場合、個人経営であれば債権債務として考えることができるが、法人に対する貸付は直接に考慮できない。
非上場企業は遡れる材料も限られ、間接的であれ追及が難しい。
離婚のときも法人は財産隠しや執行逃れに利用される。
財産分与で追及しようとしても、調査権限に限界がある。
法人株式を正確に評価することは難しい。
株主であることの公示制度もなく、義務であるはずの株主名簿作成もほとんどの企業が履践しない。
法人経営者に関わる相続裁判は大変困難であり、証拠収集や主張立証において、お家騒動や会社支配権争いと本質を同じくする。
相続裁判といっても、大塚家具やロッテなどのお家騒動と似ているのだ。
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