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【相続放棄の判断にも影響を与える保証債務の存在】保証債務も遺産相続の対象になる[POSTED]:2018-07-13
保証債務は、相続の対象となります。
従って、被相続人本人の負債だけではなく、他人の負債に起因する保証債務も、相続人が引き継がなければならないケースが起こりえます。
相続に当たっては、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類の選択肢があります。
単純承認を選べば、亡くなった人のプラスの財産もマイナスの財産も両方相続することになります。
一方で、限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産を比べてプラスが多い場合に、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことになります。
そして、相続放棄は通常、マイナスの財産がプラスの財産より多い場合に選択されますが、一切の財産の相続を放棄するものです。
ですから、亡くなった人が残した保証債務が高額な場合は、いっそのこと、相続放棄をしてしまうということが考えられます。
しかしながら、高額な保証債務を相続せざるを得ないケースもあります。
ある男性が、知人の借金の連帯保証人になりました。
知人は「返済の目処は立っている」と言い、義理堅い男性は「名前を貸すだけなら」と軽い気持ちで連帯保証人となることを引き受けました。
しかし、債務者である知人は借金を返せないまま、行方不明になってしまいました。
連帯保証人だった男性は思いもよらず、数千万円の債務を負わされ、そのショックもあったのか直後に病死してしまいました。
残された妻は、多額の債務があれば相続放棄という手段があったものの、夫と住んでいた思い出深い自宅まで手放すことにどうしても納得ができませんでした。
苦渋の選択を強いられ、結局、自宅を含む財産も債務も相続しました。
この年老いた妻は、夫が信じて連帯保証人になった相手の知人の顔すら知りません。
そのような赤の他人の債務を、納得がいかないまま、年金から毎月支払い続けているということです。
夫自身が作った借金の返済というならまだしも、親切心から連帯保証人になってあげただけなのに、見知らぬ人の借金を返し続けるというのは、不条理なことのような気もします。
一方で例えば、父親が亡くなれば父親の債務者としての地位を相続しますが、これ自体は相続放棄が可能です。
しかし、子供が父親の連帯保証人になっていた場合は、子供自身の連帯保証債務は、相続放棄してもなくなることはありません。
もし、父親の残した債務が巨額な場合は、子供自身が苦労して保証債務を返済していくか、自己破産をするなどの選択肢を取ることになります。
中小企業経営者には欠かせない事業上の融資に関わる連帯保証は、相続にも重く関わってくる問題です。
相続する際に初めて、死亡した父親が連帯保証人になっていたと知るケースもあるでしょう。
その連帯保証債務が、知人や遠い親戚から頼まれて被相続人が親切心で請け負ったものだとしたら、相続人も腑に落ちません。
相続の場面でも、時に理不尽なケースを引き起こす現行民法の保証制度は果たしてどう変わるのか。
今後、国会でどのような審議がなされるのかが注目されています。
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