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【遺産分割の前提として行われる遺言無効確認訴訟】増加する遺言無効確認請求事件[POSTED]:2018-07-28

【遺産分割の前提として行われる遺言無効確認訴訟】増加する遺言無効確認請求事件

この遺言はいったい誰が書いたものなのか。
横溝正史のミステリー小説『犬神家の一族』では、残された遺言がその後の物語を展開するカギになってきます。
遺言の内容に登場人物の心理が操作され、次々に起こる殺人事件……。
このようなことは、映画や小説の中だけの話と思う方も多いでしょう。
ところが、実際に遺言の内容について不満を持ち、専門家に相談する方の数は増えています。
遺言に関する知識が世の中に浸透した結果、遺言作成者が増加しており(平成27年の遺言検認件数は16,888件、13年前の平成14年の10,503件から比べると1.6倍に増加)、その結果、遺言無効確認請求事件が増加していることは容易に想像できます。
遺言無効確認訴訟は、本人の直筆ではない、訂正の方法が間違っている、作成時に遺言能力がないなどの理由で、遺言が無効であるということを確認するための訴訟です。
遺産分割の前提として起こされることが多いようです。
全文直筆が必須の自筆証書遺言なのにワープロで作成されている、本人の署名・押印が欠けているなどの形式的な不備で遺言が無効になる事例では、そもそも訴訟という方式を取らなくても遺言が無効であることは明らかです。
遺言が遺言者本人によるものではないという主張はどうでしょうか。
この場合は、筆跡鑑定などを経て真否が決せられるため、生前の日記や手紙などが証拠として提出されます。
ただ筆跡鑑定については、複数の鑑定人により筆跡鑑定が行われた場合に、異なる鑑定意見が出されることも珍しくありません。
筆跡鑑定意見に過度に依拠せず、他の間接事実を総合的に考慮して事実認定がなされているのが実情です。
なりすましで遺言を作成することができてしまうのが自筆証書遺言の欠点といえますが、相続人が遺言を偽造したということであれば、相続欠格事由にあたるので、その相続人の相続権がなくなります。

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