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【相続すべき財産を検討する際に思い入れを重視してよいか】相続すべきかどうかの目利きが必要[POSTED]:2018-08-05
もし親が貴重な骨董品コレクションを遺したとして、遺産分割においてこれを取得すべきでしょうか。
骨董品の鑑定結果はあくまでも、その額で欲しい人がいた場合に成立する取引価格です。
不動産で考えてみても、例えば離島の不動産には買い手がいないので、取引が成立しません。
市場価値といってもある意味で期待値であって、その価格での売買が保証されているわけではないのです。
骨董品の価値には、感情や思い入れが大きく影響します。
ある人にとって喉から手が出るほど欲しいものでも、別の人は目もくれない。
不動産でも、感情や思い入れで価格が決まることはあります。
不整形な土地に建つ自宅の隣地であれば、その土地を高値で購入してでも、自宅の土地を整形地にする必要が認められます。
共稼ぎ夫婦は親に子育て支援を求めて、割高でも実家近くに家を買うことがあります。
相場より高くても「その不動産」を買う理由があるからです。
「市場価格」ならぬ「私情価格」です。
思い入れが評価額に強く影響し、私情価格が付けられる財産は、一般的には流動性が低くなります。
「世界に1つだけ」という、度を超えた希少性は、欲しがる人の母数が減ることで流動性が低くなるのです。
換金するために買い手を探そうと思っても、難しくなってしまうからです。
ゼロ評価またはマイナス評価にすらなってしまいます。
遺産分割における流動性が低い財産は、特に思い入りがあったり、今後も所有し続けたいと思ったりする場合でない限り、取得するべきではありません。
しかし、これは一般論です。
流動性が低い財産をもらって得をするケースもあります。
現金をもらうか株式をもらうかが焦点になる遺産分割の事案。
株価が低迷していたため、流動性がより高い現金を多くもらう相続人が、金額の点で妥協をしました。
ところが遺産分割の後に政権交代が起こり、株価が急騰。
株式をもらった相続人は想定外の値上がり益を手にしました。
遺産分割においては、どの財産をもらうかの目利きが重要になることもあるのです。
もっとも、相続において、骨董品と思っていても、はよほど価値が高いものでない限り、形見分けとして処理されることも多いようです。
形見分けとは死者の所持品を親族などに分けることで、受け取ったものは相続税の対象にはなりません。
遺産分割の対象になるものは、一定の価格以上のものに限られるのです。
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