ブログ・相続最前線 遺産相続の弁護士・税理士相談はお任せ下さい|sozoku.com
【生命保険は遺産分割の対象となるか】相続で活用したい生命保険の種類 [POSTED]:2019-01-02
遺産分割の対象とはならない
生命保険は、非常に特殊な地位にある相続にかかわる財産です。
「相続にかかわる財産」という言い方をして「相続財産」としなかったのには、理由があります。
生命保険の受取金は相続財産ではないからです。
生命保険の受取金は誰からもらうのかというと、生命保険会社からです。
決して故人から直接もらうものではありません。
生命保険は相続財産ではありません。
だからこそ、相続財産を分割する遺産分割の対象にはならないのです。
どんなに生命保険をたくさん受け取っていようが、遺産分割には原則として影響しません。
他の財産の遺産分割における取り分を減らされることもなく、特別受益にもなりません。
遺留分の計算において影響を与えることもありません。
もっとも、あまりにも極端なケースでは、特別受益に当たるとされた裁判例もあります。
ほとんどすべての財産を生命保険の掛け金にすることで、他の相続人の相続分を著しく少なくしたというケースです。
遺留分対策として活用
原則として、生命保険の受取金は相続財産ではなく、それゆえに遺産分割の場面では生命保険の受取金が影響を与えることはない、と考えて結構です。
それ故に、生命保険の受取金は遺留分対策として利用されることもあります。
遺言で多くの財産を特定の相続人に相続させる場合、ほかの相続人の遺留分を侵害してしまいます。
そこで生命保険の掛け金に多くの財産をあてて、相続財産を少なくすることで、遺留分の基礎となる相続財産を減らす。
そうすると遺留分は結果的に少なくなります。
みなし相続財産として相続税の課税対象
相続財産ではない以上、生命保険の受取金に相続税はかからない、というのが筋のように思えます。
ところがそんなことを認めていたら、すべての財産を生命保険にあてることによって、相続税の課税を逃れることが可能になってしまいます。
これでは税収確保の観点からも、納税者の公平の観点からも不合理です。
そこで相続財産ではない生命保険の受取金も、みなし相続財産として相続税の対象となっています。
遺産分割の対象かどうかは形式的に判断
被相続人の死亡によって継承する財産は、相続財産であることが基本ですが、先ほどのべたとおり生命保険の受取金は例外といえます。
生命保険の受取金は相続財産ではないにもかかわらず、被相続人の死亡によって生命保険会社からではありますが、受領するものです。
このように、生命保険の受取金は保険会社から支払われるもので、被相続人の財産そのものではありません。
遺産分割の対象は、被相続人の財産、つまり相続財産であって、これ以外のものは遺産分割の対象ではないのです。
遺産分割では、被相続人の財産を集めて、テーブルの上に置いて、誰がどの相続財産を相続するかについて話し合います。
生命保険の受取金は、被相続人の財産ではなく、保険会社から支払われるものですから、テーブルの上に乗せないのです。
誰のものかを実質的に考えると、もともとは被相続人の財産を取り崩して加入した生命保険には違いありません。
しかし、形式的に考えると、生命保険の受取金はあくまでも、保険会社から支払われるもので、被相続人の財産ではないということになります。
遺産分割の対象かどうかは、このように形式的に判断するのです。
こっそり渡すことができることが特徴
遺産分割の対象ではないということから、生命保険の受取金はこっそり渡すことができます。
受取人から保険会社に対して請求し、受け取った事実が他の相続人にばれないことが特徴です。
子どもたちの取り分に差を設けたいが、そのことで子どもたちが仲たがいしては困るとお考えの方には、生命保険の受取金を利用することが一つの方法です。
この記事と
関連性の高いページはこちら
遺産分割のことなら『遺産分割の弁護士.com』
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
『ブログ・相続最前線 』のその他の記事
- 遺言の増加に伴う争族。認知症の疑いによる無効を防ぐためには
- 普及が加速する遺言 遺言を作成することの重要性は、ここ数年でかなり浸透しています。実際に事務所に来られる相続発生後の相談者の中で、遺言を持参される方はこの10年間でかなり増えました。10年前は遺言を持参されるケースは極めて少数でしたが、今は逆に法律事務所に相談する相談者の半分以上は、遺言を持参されている印象です。日本公証人連合会公表による全国で作成された遺言公正証書の件数も、年々増加傾向にありま…
- 相続税対策や相続争い(争族)における養子縁組』で氏は変わる?
- 相続税対策や相続争いにおいて、特定の相続人の遺留分を少なくするために養子縁組をすることは、非常に有効です。それにもかかわらず養子縁組を躊躇される方が多いのですが、理由の1つは氏が変わるからというものです。養子縁組をすると必ず氏は変わるのか。変わらないために何か対策はないのかを考えます。 養子縁組をした場合の養子の氏がどうなるかは、養子になる方の属性によって異なります。まず養子が単身者で結婚をして…
- 相続税申告が間に合わないときには
- 相続税の申告には期限があります。相続開始から10カ月以内、つまり被相続人が亡くなってから10カ月以内、もしくは、被相続人の死亡を知ったときから10カ月とされています。ちなみに納付期限と申告期限は同じです。 10カ月と聞くと一見長いようにも感じますが、相続開始からの10カ月は本当にあっという間に過ぎ去ります。相続人が複数人いた場合、そう簡単に遺産分割は終わりません。しかし、相続税は遺産分割が終わっ…
他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。
無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争には参加せず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある相続事件に限定しています。
「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は電話相談(初回15分)・メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話相談(初回15分)で対応します。
相続税を納める必要があり、
かつ遺産分割でもめている方は相談無料
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
相続税の納税義務があり、 かつ遺産分割でもめている事件 | 無 料 | 1時間:62,000円税別 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
内容証明が届いた事件 | 1時間:12,000円税別 ※来所困難な方に限り、 1時間30,000円税別にて 電話相談に応じます。 | ||
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間:50,000円~税別 | 1時間:100,000円~税別 | |
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間:100,000円~税別 | 1時間:150,000円~税別 |
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円(税別) ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
|
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 | ||
税務に関する法律相談 | 1時間: 50,000円~(税別) | ||
国際法務・国際税務に関する法律相談 | 1時間: 100,000円~(税別) |
- ※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している相続事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談、電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。
- ※一般的な相続知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
一般的な相続知識に関する情報は弊所の各サイトでご案内していますので、こちらをご利用ください。
- 来所予約・お問い合わせ
- 03-5532-1112 9:00~18:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。