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【戦国時代でも問題となった遺産分割問題】相続において「嫡流」がモノを言った戦国時代[POSTED]:2018-08-10
三谷幸喜監督の6作目の映画「清須会議」を先日、DVDで観ました。
映画が描いた清須会議は、当時の相続に関する考え方を象徴的に表しています。
年齢よりも、「嫡流」つまり正統であるかどうかがモノを言いました。
信孝は母が側室でしたが、信雄は信忠と同じ、信長の正室ともいえる母親から生まれましたから、血という意味では後継者の資格はあったわけです。
しかしながら、三法師は「嫡男の嫡男」ということで、さらに強い後継者としての資格があるとされました。
他にも、織田家には、信長の弟たちや信雄、信孝の弟たちなど多くの男児がいました。
しかし、この時代の人たちは、個人の能力ではなく、正統であるかどうかにこだわった。
結果的に、秀吉が織田家から実力本位で政権を奪うことになったといえるでしょう。
皮肉なことに、秀吉にはなかなか子供ができませんでした。
結局、晩年に側室の淀殿が秀頼を生みますが、もとより幼少で父秀吉を亡くしてしまいます。
老練な徳川家康が最終的に天下を奪うことになったのです。
秀吉の次の覇者、家康は対照的に子宝に恵まれました。
しかしながら、徳川家を存続させるため、「嫡男」の信康を若い時に自殺に追い込まざるを得ず、次男の秀康は秀吉の養子に出していたため、三男の秀忠を後継者としています。
この秀忠は、関ヶ原の合戦の際も家康の本体と合流するのが遅れるなど、あまり秀でた武人ではなかったようですが、秀忠の後継者を決める際にも一悶着がありました。
秀忠は長男を早くに亡くしており、次男として生まれた男児が祖父・家康の幼名と同じ竹千代と名付けられました。
この時点で、家康の「嫡流」という位置づけがなされたわけです。
しかし、この竹千代は病弱で容貌もあまり優れていなかったため、秀忠は次に生まれた弟の国松をよりかわいがったようです。
そこで暗躍したのが、竹千代の乳母のお福と呼ばれる女性です。
お福は、将軍を秀忠に譲ってからも「大御所様」として不動の権力者であった家康に取り入り、竹千代を秀忠の後継ぎにと決めさせてしまいました。
後の三代目将軍・家光です。
ここでも、やはり「嫡流」がモノを言ったわけです。
ちなみに、このお福は後に大奥の権力者とも言われた春日局です。
国松は結局、松平姓をもらい、松平忠長として徳川政権の一大名となりますが、結局、いろいろな落ち度があったとして領地を没収され、群馬の高崎で自殺を強いられています。
戦国の世のこととはいえ、「嫡流」かどうかというだけで天と地ほども違う人生を送ることになったわけです。
かつては、長子相続というのが日本人にとって当たり前の考え方でした。戦後、日本国憲法が施行された昭和22年に改正された民法で、明治民法で明記されていた長子相続が廃止されました。
今では、子供は全員平等に相続権を持つ時代です。
もはや、長子がすべて相続する単純な時代ではありませんが、骨肉の争いにならないように、平和な遺産分割協議をしたいものですね。
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