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【節税だけではなく遺産分割の側面からの検討も必要】相続においてタワーマンションを相続すると有利なのか [POSTED]:2018-12-27
相続対策で注目されるタワーマンション
富裕層に人気のタワーマンションは相続すると有利な財産なのでしょうか。
タワーマンションの特徴は、眺望によって値段が大きく異なるという点です。
高層階と低層階では販売価格が数倍にも開くことがあります。
階数や方角によって販売価格が大きく異なることから、同じ面積で同じ間取りの部屋でも極端に高い部屋が存在する一方、お買い得な部屋も存在します。
ペントハウスは1階の同じ間取りの部屋の数倍も高いのです。
様々な広さの住戸が混在していることで各居住者間の所得格差が大きく、マンションの管理組合での運営方針が決まりにくいという傾向にあるという問題点もあります。
相続におけるタワーマンションの評価方法
タワーマンションが人気である理由のひとつに、相続税の節税対策として有効だという点があります。
タワーマンションを購入すればその価格の分だけ現金がなくなります。
その分タワーマンションが財産として増えるのですが、その増え方は微増程度にすぎません。
その理由は次のとおりです。
タワーマンションを相続した場合、建物部分の相続税は固定資産税評価額で評価されます。
一方、土地部分についての相続税は、そのタワーマンションが建っている敷地全体を路線価によって評価し、それに敷地権割合を乗じて評価します。
敷地権割合は、各専有部分の床面積をすべての専有部分の床面積の合計で割って算出します。
ということは、分母になる「すべての専有部分の床面積」が大きければ大きいほど、敷地権割合は小さくなります。
つまり、戸数が多ければ多いほど、敷地権割合は小さくなるのです。
固定資産税評価額は時価の7割程度、路線価は時価の8割程度とされていますから、もともと不動産は現金に比べて評価が低くなるのですが、特に戸数の多いタワーマンションの場合はさらに相続税評価額が低くなるのです。
先ほど説明したとおり、タワーマンションの価格は、広さが同じであっても一般的に高層階のほうが高くなります。
一方、相続税評価の際に考慮されるのは固定資産税評価額と敷地全体の路線価、敷地権割合のみで、階数などは考慮されませんでした。
敷地権割合が同じであれば、低層階でも高層階でも相続税評価額は同じだったのです。
そうすると、購入価格と相続税評価額との差額が大きい物件は節税効果が高いといえるのです。
高層階ほど固定資産税額が上昇することに
タワーマンションについては重大な税制改正がありました。
2017年度の税制改正により、タワーマンションに係る固定資産税の計算方法が見直されたのです。
つまり、タワーマンションの階層の差異による実際の時価の違いを考慮し、高層階ほど固定資産税額の負担を増やす見直しが公表されたのです。
具体的な改正内容には、高さが60mを超える建築物のうち、複数の階に住戸が所在している、いわゆるタワーマンションについて、1棟のタワーマンションに係る固定資産税額を案分する基準となる各専有部分の床面積を階層別専有床面積補正率により補正するというものです。
階層別専有床面積補正率とは、階層が1階上がると固定資産税額を案分する基準となる床面積が約0.26%増加するように設定された補正率のことです。
簡単に言えば、高層階ほど案分の基準となる床面積が増えて、固定資産税額も上昇するということです。
つまり、同じ棟でも階層が1解上がると固定資産税額が0.26%高くなるのです。
1棟当たりの税額の総額は変わりませんが、高層階では増税、低層階では減税ということになります。
今回の改正は2018年度から新たに課税されることになるタワーマンションに適用されることになっています。
注意が必要なのは、この改正は固定資産税額の案分に関する見直しであって、固定資産税評価額そのものに関する見直しではありませんから、タワーマンションの財産評価方法そのものが変わるわけではありません。
遺産分割の側面からタワーマンションを検討
タワーマンションに係る固定資産税の計算方法が改正され、高層階においては増税となったとはいえ、税務面から考えると相続するほうが有利な財産といえるでしょう。
もっとも、遺産分割の側面から考えると、有利とはいえない点もあります。
タワーマンションの場合、総戸数が多いことから一戸でも投げ売りすると、マンション全体の価値が下落してしまうと考えられます。
好景気であれば、割高な価格のタワーマンションを購入しようと検討する買い手もいますが、景気が悪くなると買い手が全くつかなくなる可能性もあるでしょう。
また、タワーマンションはエレベーターが複数台設置されていたり、共用部の設備が充実していたりすることが多いことから、修繕費も高額になるケースが多いのですが、修繕積立金が不足してしまうことも考えられます。
小規模なマンションに比べて、居住者間の所得や資金力の格差が大きく、意思統一を図ることが困難であるともいわれています。
そうすると、マンションの建替えが問題となった際に、居住者で話し合って建替決議が成立する可能性は低いと思われますから、数十年経過してマンションの建替えが必要になったとしても実行することができず、最終的にはゴーストマンション化するリスクは否定できません。
流動性の高い不動産を相続すべき
不動産は流動性が肝要です。
相続した当時は羨望の的となるタワーマンションであったものの、いざ売却しようと考えた時には買い手がつかず流動性のない不動産となってしまう可能性もあることを考えると、一概に相続して有利な財産といえるかは検討の余地がありそうです。
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