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【ライフスタイルや価値観の変化に即した相続制度の見直しが必要】相続の仕組みの見直し[POSTED]:2018-07-11
平成25年9月4日に出された非嫡出子を巡る最高裁判決を踏まえた改正民法は平成25年12月、参議院本会議で全会一致により可決し成立しました。
これを受け、法務省では新たな相続の仕組みを検討するワーキングチーム(研究会)を設け、平成26年1月から会議を開始しました。
メンバーは、大学教授、弁護士、マスコミ関係者、法務省・最高裁の幹部など14人で構成されました。
ワーキングチームにおける議論を受けて、高齢化社会の進展や家族のあり方に関する国民意識の変化といった社会情勢を考慮し、配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮等の観点から、相続に関する規律を見直す必要があるという判断に至ったため、法務省の法制審議会は平成28年6月に、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」をまとめました。
今回の中間試案では、5つのテーマを議論の内容として挙げています。
1点目は「配偶者の居住権を保護するための方策」です。
例えば、夫を亡くした正妻が遺産分割の際に、他の相続人に配分する金銭を確保するため、夫と長年暮らしてきた家を売却せざるを得ないケース。
夫が自宅以外に金銭などの財産をほとんど残さなかった場合に起こりえます。
中間試案では、配偶者が、相続開始時に遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその建物(以下「居住建物」)を使用することができるようにするとされています。
また、配偶者が、居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認めることを内容とする法定の権利を創設し、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に長期居住権を取得させることができるようにするとしています。
2点目は「遺産分割に関する見直し」です。
例えば、夫を亡くした正妻が、子と共に財産を相続する場合の相続分は2分の1です。
しかし同じ正妻でも、長年にわたって夫を支えた人もいれば、結婚後間もない時期から別居していた人、夫の死亡直前に結婚した人、とさまざまなケースがあります。
現行の法定相続分では、配偶者の貢献の反映が不十分であるとの指摘があることから、
①被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やすという考え方、
②婚姻成立後、一定期間(例えば20年、30年)が経過した場合に、一定の要件(例えば当該夫婦の届出)の下で、又は当然に、法定相続分を増やすという考え方に基づく見直しが検討されています。
3点目は「遺言制度に関する見直し」です。
自筆証書遺言を作成する場合、全文を自筆で記載しなければ無効とされるのが現状ですが、財産目録はワープロで作成してもよいとする等、財産の特定に関する事項については自筆でなくてもよいものとし、自筆証書遺言の方式の緩和について見直されています。
また、自筆証書遺言の保管制度を創設し、せっかく遺言を作成したにも関わらず発見されなかったり、第三者により遺言が書き換えられたりすることを防ぐ方策も検討されています。
4点目は「遺留分制度に関する見直し」です。
現行法では、遺留分権利者が権利行使することにより、遺贈又は贈与された目的物について当然に共有状態が生じることとされていますが、遺留分権利者の権利行使により、原則として金銭債権が発生することとするという見直しがなされています。
5点目は「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」です。
現行法では、寄与分は相続人にのみ認められるものですが、例えば、息子の妻である嫁が被相続人である義母の療養看護等を行った場合には、嫁が相続人に対して、一定の要件のもとで金銭請求をすることができるようにするという見直しがなされています。
ライフスタイルや価値観の変化によって、相続に関する諸制度も変わりつつあることがお分かりいただけると思います。
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