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【相続業務において、弁護士と税理士の立場はどのように違うのか】相続人の代理人である弁護士と相続税申告の代行者である税理士[POSTED]:2018-12-19
相続税の申告期限の問題
財産目録を作成した税理士が、相続税の申告に加えて、各相続人が相続財産を相続した後の利益状況にも言及してアドバイスしてくれれば問題ないのかもしれませんが、現実的ではないでしょう。
ひとつには相続税の申告期限の問題があります。
相続税は相続発生から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。
税理士としてはこの期限内に申告したいと考えますから、相続人間で話合いの余地が生じることはできるだけ言及したくないと考えます。
税理士は、相続人全員の話合いはスムーズに進むことを目指すのです。
相続における税理士と弁護士の立場の違い
また、税理士の立場から考えても、前記のようなアドバイスは難しいといえます。
税理士は特定の相続人の代理人という立場である弁護士と異なり、適正な税務申告のための代行者の役割を担っています。
依頼も複数の相続人から受けていることがほとんどです。
したがって、特定の相続人に有利となるような分割方法や財産評価を提案することは、そもそも予定されていないのです。
そうすると、相続後の利益状況などを加味せずに、客観的な評価額を用いて粛々と相続税の申告を目指すことにならざるを得ないのです。
実態は、何も考えずにそのまま税理士作成の財産目録記載の評価額をそのまま採用してしまっているケースが多いのではないでしょうか。
弁護士が代理人として就いているケースであっても、この点を意識せずに遺産分割を進める弁護士は少なくありません。
専門家である税理士が作成したのだから間違いはないはずだ、数字のことは税理士の言うとおりにしておいたほうが無難だ、自分が計算するのは面倒臭く自信もない、という意識があるのでしょう。
このような事情がありますから、税理士が作成した財産目録を遺産分割の際に使用するのは注意が必要なのです。
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