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【なぜ不動産登記は放置されるのか】相続後も放置される不動産登記[POSTED]：2018-08-20
実態を反映しない不動産登記
法律を初めて学んだときに感じた違和感の１つなのだが、不動産登記が本当の所有者を反映していないことがある。
しかも珍しいことではない。
そんなことが果たしてあるのだろうかと思ったものだ。
不動産登記が実態通りになっていない原因は事情によってさまざまであろうが、登記費用が掛かってしまうことが大きい。
数万円ではなく、数十万円もかかるとなれば、登記をしないでおくという選択も不合理ではないだろう。
相続で放置される不動産登記
不動産は通常、高額でいくつも所有するものではない財産であるから、所有者が変更になることはないのだが、相続が発生すると当然に所有者が変わる。
遺言がなければ遺産分割を経ないと不動産の所有権の最終的な帰属は決定しないのだが、遺産分割に締め切りがないことも不動産の登記が放置される原因である。
相続が発生すると実質的に相続人の共有状態を経て最終的に遺産分割の結果、不動産を取得した相続人のものになる。
遺産分割未了のうちにわざわざ相続登記をするケースは多くない。
もめているケースであればなおさらである。
遺産分割における不動産の分けにくさ
不動産が分けにくく、不動産を占有している相続人がいることが多いことも、遺産分割を長期化させて不動産の帰属を宙ぶらりんにさせてしまう原因だろう。
不動産はいずれかの相続人が単独所有するように遺産分割をすべきであるから、分割がまとまりにくい。
他方で不動産を相続すべき相続人は、もともと被相続人と同居している相続人になると決まっている。
相続登記を義務付けるという法改正の動きは、いったん相続が発生しても相続登記をなかなか実行しない実務の現状を是正することになろう。
不動産登記でも解決できない新たな問題
もっとも不動産が分けにくく、遺産分割を長期化させている状況が変わらなければ、不動産の相続が決まらない間の固定資産税の支払いなど新しい問題が出てくるのではないか。
被相続人と同居していた相続人のもとに納付書が届き、不動産を占有している立替払いをしているのが現状で、利用している相続人が固定資産税を負担することは当事者の意識として合理的なものとなっている。
だが相続による共有登記ということになれば、占有しない相続人も固定資産税の納付義務を負っていることがより明確になる。
不動産を利用する者が固定資産税の相続分に応じた負担を求めた場合、遺産分割において新たな火種になりかねない。
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